伝統
2021.03.09
沖縄本島の漁師町、糸満市に色濃く残る「旧正月」文化
ハイタイ!主婦ライターのオオシロ ジュンコです。沖縄の年中行事は旧暦で行われることが多く、お正月もそれに習う場合があります。
とはいえ、現在では新暦でお正月を祝う家庭がほとんどですが、漁港のある糸満市や離島では旧正月を祝う風習が色濃く残っています。
私の嫁ぎ先も糸満市なので、旧正月をメインにお祝いをします。子供達へのお年玉も旧正月に渡すのが恒例です。
今回は沖縄文化にとっても重要な、旧正月について紹介します。
目 次
新暦のお正月と旧正月の違いってあるの?
沖縄の新暦のお正月と旧暦のお正月に特に違いはありません。ただ、本土のお正月と比べた場合には様々な違いがあります。
まず沖縄の年越しそばは「沖縄そば」をいただきます。お節料理はなく、特別にお正月料理というより、年中行事でいただく料理が主流です。各家庭によって違いはありますが、三枚肉、昆布、天ぷら、かまぼこ、ごぼう、こんにゃくなどをいただきます。
新暦でお祝いをする地域でも、お仏壇がある家庭では旧正月にもお供え物をします。
糸満漁港では、漁師町らしく大漁旗が掲げられ見た目も華やかになります。元旦の早朝から大漁旗の飾り付けを行い、1年の豊漁を祈念したあとは漁を休んでゆっくり過ごします。
期間限定で食べられる「ナントゥ餅」
地元のスーパーには、旧正月に合わせてお供えするお餅やお菓子の詰め合わせなどが並びます。ほとんどのお餅屋さんでは、お正月期間限定で「ナントゥ餅」が販売されます。
赤味噌、黒糖、胡椒や生姜などが入っていてピーナッツがトッピングされています。
長方形の形が主流でしたが、近頃は食べやすく1つづつパックに個包装されているものも。お土産にも良さそうですね。
私は赤味噌のコクと胡椒のピリッと感が好きで、よく食べていました。
お仏壇を彩るお正月の飾り物
お正月の飾り物としては「アカカビー」という三枚重ねにした赤、黄、白の色紙を飾ります。赤紙には「健康運」、黄紙には「金運」、白紙には「開運」の願いが込められています。
昆布で巻いた炭は「あらたまぬ年に 炭と昆布飾で 心から姿 若くゆなさ」という、新年の祝いにたくさん喜びがありますようにと思いが込められています。
お米は、一粒万倍で子孫繁栄、五穀豊穣を表します。みかんは黄金(クガニ)を表現し、金運を願います。沖縄産のタンカンをお供えすることが多いです。
こうやって一つ一つの意味を考えてお供えすると感慨深いものがあります。
大切な年始の挨拶回り「ニントゥーマーイ」
ニントゥーマーイ(年始の挨拶回り)は、年頭(ニントゥ)に親元、本家、親戚の家を廻って、ご先祖様へご挨拶をします。
その時に、糸満では必ず挨拶に訪れる場所「糸満祝女殿内」があります。
祝女(ノロ)は、琉球王朝時代の琉球神道における女司祭・神官の事を指し、国王により任命され、各地域に配属されたと言われています。
現在でも年頭の挨拶廻りの最初に「糸満祝女殿内」を訪れてご挨拶と感謝の意を表します。
実は3回ある?!沖縄のお正月
新暦・旧暦のお正月のほか、もう1つ、あの世のお正月と言われる「ジュウルクニチー」。
ジュウルクニチーは旧暦の1月16日で、2021年は2月27日に当たります。
あの世(後世)のお正月は、沖縄本島ではお仏壇にお供物をしますが、地域によってはお墓へ親戚一同集まって、お供え物をしてご先祖様と一緒にご馳走を食べます。県外のお墓参りのようなものですね。
沖縄のお正月に関する方言
標準語 | 沖縄の方言 |
大晦日 | トゥシヌユルー |
お正月 | ソーグヮチ |
年頭の挨拶廻り | ニントゥーマーイ |
仕事初め | ハチウクシー |
お正月の挨拶は、「いーそーぐゎちでーびる、わかどぅしとぅいみそーち」と言います。良いお正月ですね、若年を迎えましたねという意。
本来は年をとるのに若くなっていくなんて、何てポジティブなんでしょう。沖縄の方言の面白いところですね。
うちなーんちゅのバイブル?おすすめの御願本
沖縄の年中行事は、古来から受け継がれた神やご先祖様への敬愛そのもの。本屋さんへ立ち寄ると、思わず手にとってしまった本。
沖縄に生きる女性として、伝統をきちんと残したいと思いました。
沖縄は琉球王朝時代から近隣の中国やアジア諸国との交易が盛んでした。そのことからも外国から受けた影響も多く、県外とは異なる独特の文化や風習があります。
ぜひ、沖縄の文化や歴史を知り、いつもと違った角度でも沖縄をお楽しみください。
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