伝統
2020.12.10
沖縄の神社「琉球八社」の歴史巡り!天久宮編
天久宮(あめくぐう)は1465年〜1487年頃に創建されたとされており、当初は聖現寺(現存)の北方に位置していましたが、1734年に同寺の境内に遷座しました。
境内には弁財天の他、泊龍宮神なども祀られています。こじんまりとしていますが、御嶽と神社が敷地内に密接しており、沖縄ならではの信仰の歴史を感じることができるでしょう。
また、泊周辺の地形は古琉球時代から大きく変化しています。那覇港が整備される前は主要な港として使用されていたり、土砂が堆積した土地を利用して製塩が行われていたりと、参拝しながら歴史探索も楽しむことができます。
琉球古来の信仰と外来の宗教が融合
王国時代、天久宮は琉球八社のひとつとして重要な機能を果たしていましたが、明治後期に荒廃が進み、さらに昭和19年の空襲で社殿を焼失。戦後は御嶽形式により奉祀されました。
現在は県立泊高校の裏手にひっそりと鎮座していますが、境内には琉球の信仰と外来の宗教が融合し、琉球化を遂げた歴史をうかがい知ることができます。
御嶽と神社の3階建?!
天久宮は斜面を利用して建物が建てられており、駐車場の前に御嶽、階段を降りた所に拝殿と本殿、権現堂、そこからまた階段を降りて御嶽、という3階層の構造になっています。
駐車場と同じ高さにある御嶽
駐車場を下りたところにある拝殿
拝殿の先にある権現堂
拝殿と権現堂の間にある弁財天堂
ここに祀られている弁財天は国家の守護神とされており、琉球のおなり神信仰(姉妹に兄弟を守護する霊力があるとする信仰)とも深い関係があります。
古来琉球では女性優位の霊的信仰があり、外来の信仰である観音菩薩、弁財天、天妃は航海神として琉球人に受け入れられました。
琉球の男性は女性親族だけでなく、色々な国の女神から守られていたのですね。
本殿の下にある御嶽に行くには泊高校の脇の階段を下ります
本殿の地下部分にある泊ユイヤギウタキと三日月ウカー(手前の井戸)
時代の移り変わりを感じながら散策しよう
参拝にあたりおすすめの経路を2つご案内します。
1、国道58号線(紫色)
ゆいレール美栄橋駅から天久宮へ向かうには、久茂地川を渡り国道58号線を北上することになりますが、現在その一帯は埋立地となっています。
泊港の位置は変わりませんが、かつては海の部分が今よりもずっと広かったのです。長虹堤の建設後に安里川へ流れる砂が堆積され、潟原(干潟)となりました。その後1694年に塩田が作られたことを契機に製塩業者が増え、周辺に集落ができました。
古写真で塩田の風景を見たときは、のどかな沖縄の姿を感じました。もっと前は海だったと思うと、時の流れをひしひしと感じますね。
現在の泊港
2、県道29号線(緑色)
王国時代に首里から参拝するには、崇元寺から安里川に沿って進むのが一般的な経路であったと考えられます。現在の地図では、県道29号線を泊方面にまっすぐ進み、泊外人墓地を右折すると天久宮に到着します。当時の地形を想像しながら散策すると、参拝がより楽しいものとなるでしょう。
歩くにはかなり距離がありますが、ゆいレール安里駅を拠点に安里八幡宮と崇元寺に立ち寄るのもおすすめです。
さらに歴史散策をしたい方は、長虹堤の道筋を辿りつつ美栄橋まで行き、そこから1の経路へ合流しましょう。
※琉球八景については沖宮、長虹堤については波上宮をご参考ください。
小さな神社ですが、沖縄独自の信仰と外来の宗教が共存している様子を感じることができると思います。社務所では、お守りや御朱印なども拝受することができますので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
[基本情報]天久宮
住所:沖縄県那覇市泊3丁目19-3
電話:098-863-3405
営業時間:なし
定休日:なし
駐車場:あり
URL:http://jinjacho.naminouegu.jp/ameku.html
https://amekugu.jimdosite.com
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