体験
2020.09.11
昔ながらのウチナー菓子店、那覇市「外間製菓所」でちんすこう手作り体験!
那覇市牧志、懐かしい沖縄風情があふれる市場本通りの「外間製菓所(ほかませいかじょ)」は、創業67年目を迎えたお菓子屋さん。沖縄県民はもちろんのこと他県の観光客も訪れる通りにあり、多くの人たちに愛されている老舗のウチナー菓子店です。
目 次
マチカジにコーグヮーシ、にぎやかな品揃えに甘い香りのお菓子たち
店頭の看板のさらに上を見ると、今も残る創業当時の看板があると気付き、歴史を感じ思わずノスタルジック気分になります。
店先に並んでいるのは沖縄の行事菓子。
鮮やかなピンク色の生地に白ごまがたっぷり振りかかった「松風(まちかじ)」は結納などに使われるお煎餅で、お祝いや法事に欠かせない落雁(らくがん)風の「コーグヮーシ」はいろいろな形があります。
見ているだけで南の島・沖縄を感じませんか。
そのような沖縄ならではの行事菓子以外にも、チョコスポンジ生地の「田芋チョコバーガー」や「紅芋サンド」など洋風のオリジナル菓子もあり。
味や材料の説明コメントが付いているのでどんなお菓子かすぐ分かり、サンドイッチや食パンも並んでいて種類が豊富。にぎやかな品揃えとあま〜い香りに包まれ、幸せな気持ちになります。
那覇のキャンペーンレディを経て、老舗の伝統守り挑戦を始めた三代目
現在代表を務めるのは、三代目の外間有里(ほかま・ゆり)さん。
29歳という若さで老舗店を牽引する外間さんは2018年まで県外在住でしたが、「沖縄のことを話している時が一番楽しい」自分に気付き、色々な角度から沖縄の良さを伝えたいと一念発起。沖縄に戻り家業を継ぐことを決意しました。
お店を手伝いながら「2018那覇観光キャンペーンレディ」を務め、県内外のイベントで那覇市の魅力を発信するキャリアも積んだそうです。2019年5月、先代の勇退後に引き継ぎ、代表に就任しました。
「市場の魅力といえば、やはり相対売りだと思っています。顔を向き合わせてお客さまとお話しながら、しーぶん(おまけ)などできるコミュニケーションを大切にしたいです」と、市場周辺らしい商売の心得を受け継いだ外間さん。
心得の他にも大切にしていることがあり、「お菓子の意味合いを守りたい。供え方をはじめ、お菓子1つ1つが持つ意味をしっかり理解して答えられるようにしています」と語ります。見た目で判断できる形や菓子名だけではなく、本質までしっかりと受け継いでいます。
そして伝統を守る一方で、新しいことにもチャレンジ!
まず昨年(2019年)6月に店舗を改装。イートインスペースを作り、お菓子を焼くオーブンを設置しました。これまで店頭販売のみだった外間製菓所が、休憩所のように気軽に利用できるお菓子屋さんに、変身しました。お菓子+ドリンクセットで250円から利用できます。
続いて那覇市が優れた品を表彰する「これぞ那覇のスグリムン」へ、沖縄の伝統菓子である「こんぺん」を出品。見ごと優秀賞に輝きました。ゴマ味とピーナッツ味の2種類の食べごろサイズのこんぺんが、箱詰めされお土産にもぴったりといったポイントなどが、受賞の決め手だったそうです。
外間さんは「2018年は観光レディとして受賞者を讃える立場で出席しましたが、2019年は受賞した製造者として授賞式に出席しました」と振り返っていました。他にも同業者の方と積極的に交流しながら情報交換をしているそうで、新感覚のさまざまなアイデアで老舗店に彩りを与え続けています。
今回の取材のメインも外間さんのアイデアのひとつ。何と店内で「ちんすこうの手作り体験」ができちゃうのです!
「ちんすこう作りをお客さまに体験していただく、と創業者の祖父に話すと『そんな発想があったか!』と驚いていました」と笑顔を見せた外間さん。沖縄在住でも、ちんすこうを作るのは貴重なチャンスです。早速体験しレポートします!
気軽に参加! 手づくり「ちんすこう」体験教室
沖縄土産としてポピュラーな沖縄菓子を自分で作るのは、ステキな体験となり、旅の良い思い出になりますね。
当日はマスク着用で出向き、貸してもらった三角巾とエプロンを身に付けてスタートします!
①型選び
ハートに星、いろいろな型があり3つ選べます。今回は沖縄らしい石敢當(いしがんとう)・シーサー・ハイビスカスをチョイス。シーサーは模様が細かく難しいとのことですが、チャレンジしてみます!
手指は しっかり消毒し、使い捨てのビニール手袋も着けました。
②材料を混ぜ生地作り
ちんすこうの材料は小麦粉・卵・砂糖・ピーナツバター(少量)にラード。あらかじめ用意され器に入っているので、ダマが消えるまで混ぜ合わせます。
③型に生地を入れる
シンプル絵柄で作りやすいということで、まずはハイビスカスから。型いっぱいに生地を詰めていきます。
④生地をならす
生地が耳たぶの柔らかさになるくらいに、押さえながらなじませます。ギュギュッと押さえると少し入るようになるので、継ぎ足しながらなじませる作業を続けます。
⑤フタをする
なじませた生地が崩れないように、優しくフタをします。
⑥型抜き
フタより先に型枠から取ります。形が崩れないようにそ〜っと取るのがコツ。緊張の瞬間でしたが・・・思った以上に良い感じに取れました!
⑦フタをとる
形成した生地を押さえながらフタをとります。ここでも模様が崩れないように、そ〜っと取るのがポイント。無事成功です!
同じ工程で石敢當、そして最難関のシーサーへ。なんとか上手くできました!!
型抜き生地を並べたバットを外間さんに渡し、あとはお任せ。オーブンで焼いてもらいましょう。
「ちんすこう」をウチナー菓子知るきっかけに
焼き上がるのを待つ間、外間さんに展望を聞くと、今後はちんすこうに加え、伝統菓子「コーグヮーシ」の手作り体験もメニューに入れたいとのこと。
手作り体験が沖縄観光の充実につながるプログラムの1つになることに期待し、SNSなどを通してウチナー菓子を広めていきたいそうです。
「来年、2021年には世界のウチナーンチュ大会が開催予定です。沖縄にゆかりを持つ人が世界中から集まる大イベントなので、ウチナー菓子を国際的に広められるように発信していきたいです!」と元観光レディならではの、沖縄とウチナー菓子への愛と夢があふれるお話を聞かせてもらいました。
オーブンに入れ15分程で焼き上がり、手作りちんすこうが完成! なかなかいい出来栄えです。
きつね色にこんがり焼けた見た目は愛らしく、焼き立ての甘〜い香りがたまりません。生地作りから焼き上がるまで、計30分ほどの工程でした。
「沖縄の人でも、焼き立てのちんすこうを食べる機会は意外に少ないと思います。作り立ての風味を感じ、味わっていただける体験メニューです」と外間さん。
お土産系のちんすこうはサクサクした食感が多いですが、手づくりちんすこうはしっとりとした食感で「生ちんすこう」と表現するお客さまもいたそうですよ。温かくしっとりフワッとした食感と優しい味は、今まで食べたちんすこうとは違う別のおいしさがありました。
完成したちんすこうをその場で食べるのはもちろんOKですが、希望すると「ほかませいか」のシールが貼られたかわいい透明の箱に入れてくれます。お土産として持ち帰るのもオススメです。
「文化に紐づいている沖縄のお菓子は特別で、興味深く思えます。冠婚葬祭・年中行事・家族が集まる場には必ずといっていいほどウチナー菓子があり、その光景はいつ見ても素晴らしいと思います」と語る外間さん。伝統を大切にしながら時代に合わせていろいろとチャレンジするその姿に、沖縄女性の力強さとウチナー菓子の明るい未来を感じました。
沖縄にいらした際はぜひ「外間製菓所」
【手づくりちんすこう体験教室】
体験日:平日(月〜金)11:00〜15:00受付(約60分)
体験料:1100円
体験定員:4名まで(小学生以下は保護者同伴)
※申し込み・お問い合わせは電話や公式サイトにて受け付け中。
[基本情報]外間製菓所(ほかませいかじょ)
住所:那覇市牧志3-1-1 市場本通り
電話:098-863-0252
営業時間=9:00〜18:00
定休日=日曜日
駐車場=なし
URL:https://www.hokamaseika.com
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