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食事

2021.12.22

【大好き!沖縄の駄菓子】創業当時の機械で手焼きにこだわる那覇市「丸吉塩せんべい」

【大好き!沖縄の駄菓子】創業当時の機械で手焼きにこだわる那覇市「丸吉塩せんべい」

独自の歴史を歩んできた沖縄は他県との違いが多々ありますが、食文化もそのひとつ。子供の頃に誰もが食べた駄菓子にも、沖縄ならではのものがあるのではないでしょうか。

今回選んだのはシンプルで素朴な味が大人にも人気の焼き菓子「塩せんべい」。塩せんべいと言えば思い浮かぶ、老舗メーカーを訪ねました。

工場直送!焼き立て塩せんべいが並ぶ直売店

那覇を代表する市場としてにぎわっていた「農連市場」が、新たな複合施設「のうれんプラザ」に生まれ変わったのが2017年10月。

現在は青果店・鮮魚店をはじめ飲食店もあり、営業時間は各店舗で異なりますが、ビル自体は24時間営業。国際通りからも徒歩10分程度なので、どんなお店があるかチェックして、旅の空き時間に活用したい施設です。

丸吉塩せんべい

この「のうれんプラザ」でオススメしたいのが「丸吉塩せんべいカフェ・せんべい直売店」。市場ムードの他店に比べるとおしゃれ感のあるこのお店は、「丸吉塩せんべい」が運営するカフェでお菓子販売の店舗も兼ねています。

塩せんべい

沖縄県民にとって塩せんべいとは、子どもの時からとても身近で、大人になっても気になるお菓子。駄菓子屋さんやスーパーで買ったり、お茶の間にあったり、お土産にしたりと老若男女に愛され、駄菓子系の代表といえる県産菓子です。

県内には塩せんべいメーカーがいくつかある中、歴史があり種類豊富なブランドといえば何と言っても「丸吉塩せんべい」。創業46年、昔から今も手焼きにこだわるメーカーです。

本店は那覇市繁多川にあり、商品販売もしていますが工場としての機能がメイン。この「のうれんプラザ」の店舗がカフェ併設の直売店で、工場直送の焼きたて塩せんべいが店先に並んでいます。スーパーはじめ小売店で購入するよりも割安な商品もありますので、要チェックです!

取締役部長の新田崇太さ

今回お話を伺ったのは、取締役部長の新田崇太さん。塩せんべいについてまず教えてくれたのは「原料が小麦粉である」ことです。

「本土の煎餅の多くは米粉が原料です。沖縄の塩せんべいが小麦粉なのは、戦後入手しやすかったことが由来している説が濃厚なようです。近年、塩せんべいはさまざまな種類が作られるようになってきて、手焼きはもちろんトッピングやコーティングで高級感のある品も製造・販売されていますよ」とのこと。

創業当時の機械でていねいに手焼き

丸吉塩せんべい

「丸吉塩せんべいの創業者は祖母で、現在は母が社長を務めています。生まれた時にはすでに塩せんべい屋を営んでいました」と話す新田さんは、おばあ様が塩せんべいを焼いている姿を子どものころから見ていたそうです。

おばあ様は元々、那覇市寄宮で雑貨店を経営していたそうですが、塩せんべいを焼く機械を譲り受けたことがきっかけで「丸吉塩せんべい」として新たにスタート。店名の由来は、創業当時「丸」や「吉」を名称に入れるのが縁起が良いとされていた時代に「栄吉」さんというおじい様の名前から一文字取り、「丸吉塩せんべい」と名付けられました。

創業当時から機械を使った手焼き製法は時代遅れになりつつあったそうですが、実は現在も当時の機械を使い製造しているとのこと!50年近く同じ方法で作っていると知り驚きました。

「ぜんまい仕掛けの機械が2台あります。部品の入手が難しくなりメンテナンスが大変ですが、大量生産の機械で作った塩せんべいとは味が違います!」と力強く語る新田さん。

若き取締役部長の新田さんは、現在29歳。塩せんべい屋を継ぐと決めて大学で経営を学び、卒業後に工場に入りました。「塩せんべいは僕の日常にいつもあるお菓子。昔は家ではそんなに食べずに、たま〜につまみ食いする程度でした」と笑顔です。

「手焼きの味はやはりおいしいです。大量生産された塩せんべいは、手焼きには敵わないと思っています。ティーアンダーかもしれませんね」と、手作りだと心がこもっておいしくなるという沖縄の言い回しで説明します。手焼きでプレスすると程良いキツネ色の焼き加減になり、味も食感も全く違うのだそう。

実は時代の流れで一度は完全機械化を図った丸吉塩せんべいでしたが、創業当時からの伝統を守り「手焼き製法を続けよう」と決めたのだとか。創業者のおばあ様は塩せんべい作りを引退し、今はご両親と新田さんが丹精込めて焼きあげています。

サクサク美味しい!塩せんべいの作り方

塩せんべい

お店の歴史に触れた後、工程について聞きました。

塩せんべいは膨化(ぼうか)食品と呼ばれ、原料を膨張させて作る食べ物。圧力を加えることで「パン!」とふくらみ、丸い形になります。それをプレスして焼き上げ、味付け機の中で油をかけながら塩をまぶして仕上げていきます。

他のメーカーはふくらませた後に揚げるパターンが多いそうですが「時間が経つと酸化して味が変わる」という理由で丸吉塩せんべいは揚げないとのこと。なので食べても油っぽくありません。

「味付けは薄味。小麦粉の風味もしっかり味わっていただきたいので、原料は厳選しています」と新田さん。さらに「沖縄で一番おいしい塩せんべい、と自負しています。自分が納得できるおいしい塩せんべいをお客様に提供することに意義を感じます。納得できない物は販売しません」と言い切り、老舗店を守り継ぐプライドが伝わってきました。

実際「自称・塩せんべいファン」を名乗る私も、丸吉塩せんべいは他と味が違い、油っこさがなくて食感が良く本当に一番おいしいと思っているので、太鼓判を押します!

気になる値段ですが、塩せんべいは1枚40円。パックになると4枚入りで150円ですので、自分用のおやつとしても、お土産としても気軽に買えるお手頃価格。

天使のはね

そして丸吉食品のもうひとつの看板商品が「天使のはね」。

しお味とうめ味があり、直売価格はそれぞれ150円。このお菓子の元になっているのは、塩せんべいを焼いた時にチョロチョロ出てくる余りの部分。本当なら捨てるはずの部分ですが、もったいないという理由から袋詰めして地元の産業祭りに出品したところ大好評でした。

天使のはね

食感は軽くてフワッとしていて「食べても音が出ないチップス!」というキャッチフレーズで知られています。全国放送のテレビ番組で紹介されてファンを公言するタレントさんも多く、たくさんのメディアで取り上げられてきたそう。中でも人気番組『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で取り上げられた時には、新田さんと社長(お母様)がそろって出演し、スタジオの爆笑をかっさらいました。

「考案者の母は、最初は『エンジェルチップ』と言っていました」と新田さんは笑顔で語り、「僕が中学3年生のころにはすでに商品化されていましたね」と振り返ります。

天使のはねシリーズ みすてないで

そしてこの全国区の人気商品のシリーズ菓子が、今年3月に販売スタート!「天使のはねシリーズ みすてないで」(150円)というユニークなネーミングで、話題性たっぷりです。

名付け親はやはり社長で、パリッとした食感で人気をじわじわ集めているとのこと。りうぼう、ビッグワン、ドン・キホーテなど県内のスーパーやショップでも販売中です。

他では買えない直売店限定のスペシャルせんべい

うす焼きせんべいのフロランタン

この直売店でしか買えない商品もありました!ナッツの風味が香ばしいフランス菓子仕様の「うす焼きせんべいのフロランタン」は、1枚180円。だいぶ高級感がありますね。

しゃれたパッケージで目を引く「ひとくち黒胡麻キャラメル煎」(300円)も限定品。黒胡麻の風味とキャラメルがしょっぱい塩せんべいとコラボした、相性抜群の一品です。上品な雰囲気と味で、お祝いなどの贈答用にも喜ばれているそうですよ。

ま~さいび~ん

他にも、この直売店や一部のショップでしか販売していない「沖縄県産小麦粉使用のスペシャルな塩せんべい」、カラフルなパッケージとポップなネーミングが印象的なスナック菓子「ま~さいび~ん」シリーズなど、街中ではあまり見かけない個性的な商品がいろいろとあり興味津々。

ベーシックな塩せんべいに始まり、味や食材の組み合わせに工夫をこらした塩せんべい、そして新感覚のお菓子など、アイデア豊かな新田さんファミリーの取り組みに感動しました。昔ながらの定番菓子は製法そのままに守り続け、新たな発想で新商品を開発するチャレンジ心が溢れています。

ユニークな菓子名が気になりますが、社長が考案するケースが多いそう。「めちゃくちゃな名前を付ける時もあります。新商品の名前を知った祖母は、何だろうと不思議がったりしていますよ(笑)」と、新田さん自身が程良くコントロールしていることも明かしてくれました。

母と息子のコンビネーションや創業者として見守っているおばあ様との関係性もステキです。

「新商品も作りますが、大切にしているのは昔ながらの味を守ること。それが最優先です」と、引き締まった表情で心を込めた新田さんの発言でした。

朝から夜まで、カフェのうれしい充実メニュー

朝から夜まで、カフェのうれしい充実メニュー

他では見ない塩せんべいがいろいろとあるのうれんプラザ内の「丸吉塩せんべい直売店」ですが、カフェスペースも広くくつろげる空間となっています。

オススメはうす焼き塩せんべいを使った「ピザせんべい」(200円)、塩気がアイスに絶妙にマッチする「塩せんべいアイス」(300円)など、この店ならではのスイーツも!

そして沖縄の定番の味ともいえる「ポークタマゴ定食」(500円)や丸々一個のタマネギを使用したこだわりの「カレーセット」(600円)など、お食事メニューが常連さんに人気だそうです。

他にものうれんプラザの八百屋の野菜を使ったフレッシュな「365スムージー」(400円)は朝に飲みたくなるドリンクで、夜に行った時は「さしみ・てびち・馬刺し」(各400円)などお酒のあてになる一品が気になります。

メニューが充実

メニューが充実していますので、塩せんべいメニューを楽しむのも良し、しっかりお食事するのも良し、ビールを飲みながらおいしいツマミに舌鼓を打つも良しで、気分や好みに応じてカフェ利用も満喫してください。

カフェで働いた経験があるという新田さんがチョイスした、おいしいコーヒーもありました。お腹いっぱいになって帰りにお土産の塩せんべいを買ったら、パーフェクトですね!

「これからも温故知新の気持ちを忘れず、昔ながらの塩せんべいを作り続けていきます。ぜひ食べていただきたいですし、カフェに遊びに来てください」と語る新田さん。

ブランドを守りながら、商品開発にもカフェのメニュー作りにも全力投球する「丸吉塩せんべい」。自慢の塩せんべいと合わせて、他のお菓子屋メニューもぜひ味わってみてください。

[基本情報]丸吉塩せんべい カフェ・せんべい直売店
住所:沖縄県那覇市樋川2-3-1 のうれんプラザ1階(店舗番号111)
電話:098-987-0444
営業時間=7:00~19:00
定休日:なし
駐車場:3階にあり(1時間無料、以降1時間ごとに300円)
Instagram:@maruyoshi_cafe

●執筆協力:Shotaro
●撮影・編集:饒波貴子

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この記事を書いた人饒波 貴子
那覇市出身・在住。OL生活、週刊レキオ編集室勤務を経て、フリーライターに。現在は沖縄のエンターテインメントおよび店舗紹介を中心に取材・執筆。ウェブマガジン「琉球新報Style」、雑誌「porte」ほかで執筆中。 このライターの記事一覧

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