食事
2025.09.18
清々しい緑に包まれる本いっぱいのカフェ「ryuryu coffee and bake」
こんにちは!日頃リュックと水筒を持って沖縄本島中を散歩しているライターの小鍋悠です。
今回、沖縄本島南部の南風原町(はえばるちょう)に、清々しい緑に包まれるカフェ「ryuryu coffee and bake」(以下「ryuryu」と省略)を見つけたのでご紹介します。
緑と本と、魅力がいっぱいのカフェ
ryuryuがあるエリアは、県道507号線と国道82号線が交わる津嘉山(南)交差点付近。スーパーや病院、沖縄自動車道南風原南ICなどが近くにあり、観光客も地元客もアクセスしやすい場所です。
筆者はお店から車で約2分のところにある農産物直売店「アグリハウス こちんだ」によく行くため、その行き帰りに偶然ryuryuを発見しました。
最初に伺った8月中旬はギラギラと暑い日でした。12時ごろに行きましたが、すでにほぼ満席。
この日は、筆者はアップルジュースを注文。ハイセンスなデザインのグラスで心躍ります。
ケーキは、お惣菜系と甘いのを1つずつ注文。どちらも外はサクッと中はふんわりしていて素朴な味で、とても美味しかったです。
ryuryuは店内も外も緑がいっぱい。お店の中はカウンター席、テーブル席、ソファ席といろんな席があるので、おひとりさまやカップル、ファミリー、PC作業などと色んな用途で席を選べますよ。
座ってゆったりとしたい場合は、11時の開店直後を狙うのがおすすめです。
店内には観光本やエッセイ、雑誌、小説など心くすぐる素敵な本がたくさん。筆者は目を閉じて、最初に手に触れた本を取りました。
開いた本には名言がいっぱい。ケーキを頬張りながらノートにメモし、体も心もだいぶリフレッシュして元気になれました。
そしてryuryuの魅力を深堀りしたく、お店のスタッフさんに取材依頼をしてみたところ有難く快諾してくれましたので、後日また改めて伺ってみました!
体に優しいおやつと、こだわりのコーヒーと
改めて筆者を明るく迎えてくれたのは、店長の仲兼久 朋子(なかがねく・ともこ)さん。
この日は沖縄の旧盆初日だったため、沖縄中の家庭が準備に大忙しの日です。
なので、逆に店内のお客様は少なくゆったり。仲兼久さんは「旧盆に開けるのは初めてなんです。ゆっくり取材受けられます」と微笑みます。
さっそく仲兼久さんがオススメして下さったのは「スペシャルティコーヒー(ホット)570円」。試飲してみると、柔らかくて飲みやすい口当たり。
「『香りの女王』といわれるエチオピアのイルガチェフェのフェアトレードのコーヒー豆を使用しているんです。お店をつくるときに夫と色々なコーヒー豆を試し、まろやかで香りが良くてバランスが良くて、ウチの米粉のおやつにも合うものがイルガチェフェでした。コーヒー豆も100g1,300円(8〜10杯分)で販売しているので、結構イルガチェフェのファンも多くて、男性客がよく買いに来られますよ」
もう1つオススメして下さったのは「アーモンドミルクラテ 620円(アイス)」。とてもいい香りがするのでその匂いを堪能していると「アーモンドの匂いですよ〜」と教えてくれました。
こちらは「米粉のクッキー」。左が黒糖味、右がアールグレー味。サクッと食感の一口サイズのおやつです。
小腹が空いたときに食べたいのは「夏野菜のケークサレ 400円」。
トマト、ゴーヤー、かぼちゃ、豆など夏野菜がゴロゴロぎっしり入った砂糖不使用の惣菜ケーキ。外はサクッと中はしっとり食感。
とても丁寧に作られているので、筆者は最初に食べた時、こころが温かくなって思わずホロっと涙してしまいました。
「ケーキは当日の朝に作っているんです。もともとは自分の子供のおやつの延長でつくりはじめました。ホッとするおやつを作りたいなぁと。お家でお母さんが作ってくれる体に優しいおやつをイメージして作っています。映えないおやつなので、お客様が写真を撮られているとドキッとします(笑)」。
取材したからこそ分かったお店作りの話やお店への愛
店長の仲兼久さんは、もともと手作り菓子や編み物など、ゼロから形にしていくのが好きなのだそう。カウンターのカゴや壁のマクラメ(格子編)なども、すべて仲兼久さんの手編み。
「お店は1周年を迎えたので、人間でいうとちょうど1歳。自分の子供が1歳の時のようにお店がとても可愛いくてたまらない」と、お母さんの顔で目を細めます。
「カウンター席のテーブルのニスは子供と塗りました(笑)。(レジ)カウンターも手作りですし、床のフロアも天井の照明やドライフラワーも自分たちで。電気工事だけ業者さんにお願いしました」
「お店をやると思ってなかったですし、カフェ巡りなんかもしたことなかったです。心の準備もできてなかったので、もう見切り発車です(笑)。2024年8月にオープンしましたが、お店をやってみて初めて分かることばかりでしたので、完璧に準備していたらいつまでもオープンできなかったですね。後押ししてくれた夫には本当に感謝です」
「お客様から教えてもらうことも多いですし、初めて知ることも多くて楽しい」と仲兼久さん。もともと接客は得意じゃないそうですが、お客様から知ることが多くて楽しいと目を輝かせます。
前職は中国への留学経験を活かして中国語の翻訳や通訳ガイドをされていたそうで、カフェ経営は大きな大きな転機。
「飲食業をやるとは思っていませんでした。子供が生まれてなかったらお店もおやつも作ってなかったと思います。本当に夫と子供には感謝しています」と柔らかな笑みを浮かべます。
お店を訪れたらぜひ!本やフェアトレードの雑貨や食品たち
ryuryuの店内には本がいっぱいあります。本棚だけじゃなく、カウンターにも席にも鉢植えの下にも。
「私も夫も夫婦そろって本が好きなんです。最初は私物をお店に置いていましたが、今はお店に置いたら良さそうだなぁと思うものを置いています」
Ryuryuの本棚は心くすぐる素敵な本ばかり。ラフな本から雑誌、エッセイ、絵本までいろいろありますので是非ぜひ手に取ってみてください♪
読書をしているとどうしても時間が長くなってしまいますが、「お店で完読も大歓迎ですよ」との事です。
お店の出入り口付近には、フェアトレード(公正な取引)の雑貨や食品が置いてあります。
「いつかお店をやることがあれば、すべてフェアトレードで取引されたものを使おうと思っていました。生産者の方にも利益があって、彼らが気持ちよく安定した生活を送っていて、商品を届けてもらっている私も気持ち良くて、お客様も美味しく飲めて。それが誰かの支えになっているといいなと思って」
「フェアトレードの商品は高いですけど、雑貨は手作りの商品なので全て1点ものなんです。お店にフェアトレードの雑貨や食品を置くことで、お客様がフェアトレードを目にするきっかけになってくれたらと思っています」
商品の背景がわかるものを扱いたい。この視点は自身が親になり、商品を提供する側になってみて余計に意識しはじめたのだそう。
「理想は『フェアトレード』という言葉が使われなくなること。全部フェアトレードになって、その言葉を謳う世界がなくなればベストですね」と仲兼久さん。
みんなが笑顔になる世界をつくるのは、大人になればなるほどとても勇気のいることですが、誰かがやらなければ、誰かが第1歩を踏まなければその先も見えない。
仲兼久さんは飲食や空間を提供するだけでなく、みんなの笑顔もハンドメイドするチャレンジを行っています。
今回の取材中、店内で流れていたのはアイスランド出身のシンガーソングライター「Laufey」。
お客様が普段聞きなれない曲やお店の雰囲気に合う曲を、その日その日で合わせているそうで、基本は仲兼久さんとご主人が好きな音楽。
そう。今回の記事を最初から見て下さった方はもうお分かりかと思いますが、ryuryuはドリンクもケーキも音楽も本も内装もぜんぶ、店長さんとご主人さんが大好きなものばかり。
Instagramはやったことがなかった。
カフェ巡りもしたことがなかった。
ケーキ作りは独学。
節約したかったからテーブルは自作。
どちらかというと接客は得意じゃない。
それでも連日お店にはたくさんのお客様が詰めかけて、いつも満席状態。
「贅沢にワガママに」自分の好きなものを突き詰めていたら、我が子のような可愛いお店ができた。
地球の反対側、地球の端っこまで見え透いてしまう現代だからこそ、自分の好きなことをより突き詰めていくことで人に求められるようになるのだと、店長さんの柔らかい笑顔を見て改めて考えさせられました。
デジタルを駆使しなくてもITが苦手でも大丈夫。「時代の最先端」は地球の果てでもなく宇宙でもなく、目の前にありました。
取材が終わり、筆者がメモの整理をしていると「長時間で疲れましたでしょうに」と惣菜ケーキと飲み物を持ってきてくれた店長さん。
壁にかけられていた抽象画家 se-ra氏の作品には「最初から 私の中に あなたの中に もうすでにある」とハッとする言葉が。
たくさんのお客様が詰めかける、人気なお店の秘訣が少しわかったような気がしました。
[基本情報]ryuryu coffe and bake
住所:沖縄県島尻郡南風原町津嘉山1752-5
電話:090-1689-7369
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日・月
駐車場:店舗前に3台・店舗裏に第2駐車場(共同利用)
https://www.instagram.com/ryuryu_coffee_and_bake/


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