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食事

2022.12.16

おいしくて美しい琉球料理を伝承。カフェのように気軽に行ける店、那覇市「琉球Styleまつもと」

おいしくて美しい琉球料理を伝承。カフェのように気軽に行ける店、那覇市「琉球Styleまつもと」

本格的な琉球料理をカフェ・スタイルで味わえるお店。そんな素敵なお店が、那覇市のメインストリート・国際通りの近くにあります。

食堂や家庭で普段目にすることのない料理がメニューにそろい、観光で那覇を訪ねる方はもちろん沖縄在住の方にもおすすめ。琉球の食文化体験ということで、気軽に訪ねてみましょう。

歴史ある料理学校が手掛ける、こだわりの琉球料理カフェ

那覇市泉崎、那覇市役所のすぐそばにある「琉球Styleまつもと」は、沖縄では広く知られる歴史のある料理学校「松本料理学院」が経営するお店。2021年春にオープンしました。

入り口から奥へと広がる店内は落ち着いた色調のインテリアが並び、ゆったりとした時間が過ごせます。実は料理教室としても活用中の空間で、IHコンロが設置されたテーブルも。機能的な新感覚のカフェという印象です。

「カフェのある料理学校というのはめずらしいのでは!?」と、オーナー・がなはりえこさんに聞いてみると「通常、料理学校はあまり出店しません」とのこと。「こだわりすぎてしまうから」というのが理由なのだそう。

コストと調理時間のバランスを取るのが飲食店の経営セオリーですが、料理の味や質を追求するのが料理学校。相反する面がある訳です。

このカフェは料理学校のポリシーそのままに、仕込みに手間暇をかけ、おいしい食材を惜しみなく使うなどのこだわりを貫いています。茶目っ気たっぷりに「休みなしで仕込んでいるんですよ」と語るがなはさん。

特に「だしを取る」のに時間をかけ、琉球料理に欠かせない「豚だし」は何と8時間もかけて取っているそう。

「だしは料理の基本。毎日取り続けても間に合わないんです」と話すがなはさんは、お客さまにおいしい料理を提供したいという思いでキッチンに立ち、丁寧な料理作りを続けます。

そんな「琉球Styleまつもと」の最大の特徴は、格式高い宮廷料理をはじめとする琉球料理を食べられること。本格的な琉球料理のディナーコースは1人1万円近くする高級イメージがありますが、ここではカジュアルにいただくことができます。

体が喜ぶ沖縄の朝ごはん

今回はランチにおすすめしたいメニューを紹介しますが、先に朝メニュー(7時~10時30分)の情報を。

ふーちばー(ヨモギ)がたっぷりと入った沖縄式雑炊「ふーちばージューシーセット」(990円)は、もずく酢・人参シリシリー・白和えが付いていて、とにかく体に良さそう。ふーちばーは、古来からデトックス効果や美容効果が高いとされる薬草なので、朝一番にいただくと元気になりそうですね。豚とカツオの濃厚なだしで煮込んだジューシーは、優しい味で好評です。

もうひとつの朝メニュー「まつもとStyle朝ごはん」(1770円)は、イナムドゥチ(白味噌で具だくさんの甘口の味噌汁)とクファジューシーという炊き込みご飯がメイン。アーサ(あおさ)だし巻き、からし菜炒めなどのおかず7品ついた御膳で、朝食をしっかりとりたい時におすすめです。

ちなみにイナムドゥチは、おめでたい席に出てくる沖縄の代表的な汁物。老若男女に人気なので、ぜひ一度は食べていただきたい一品です。

ヘルシーな具材でいただく、繊細で上品な琉球の味

ランチメニュー(11時~15時)のおすすめは、何といっても「セーファンランチ」(1890円)。ごはんの上に椎茸や野菜・玉子などが載っていて、熱いだし汁をかけて食べる宮廷料理「セーファン(菜飯)」。

現在は一般的に食べられる機会が少ない、とても珍しい料理です。

気になる味は、かけ汁と野菜の甘みが混ざり合いとても上品。カツオだしに生姜の搾り汁も入っているので発汗作用があり、額に汗をにじませながらいただくお客さんもいるのだそう。

「セーファンは食べ進めると最後は具材が混ざりきり、味が変わるんですよ」とがなはさん。汁はそのままに具材によって味変が起こる、繊細な料理です。

がなはさんいわく宮廷料理はコースとして振る舞われ、漆器に盛られて一品ずつ運ばれていたのだそう。セーファンは締めとして出される、最後の料理だったとのことです。

付け合わせの「ウジラ豆腐」は、島豆腐に魚のすり身や野菜、さらにピーナッツバターを混ぜ、小判型にして揚げた料理。がんもどきよりも濃い、しっかりとした味付けです。外はサクッと中はふんわり、口当たりの良さを感じます。丸くて小さな形がうずらの卵に似ているため、その名が付いたといわれているそうです。

「もずくごま和え」でさっぱりと口直し、「デークニイリチー(大根炒め)」は沖縄らしい味わい。

デザートの「あまがし」はほど良い甘さで、女性はもちろん男性にも喜ばれそう。琉球ロマンを感じる宮廷料理を味わう体験に大満足です。

ジューシーに汁をかける、初めての体験と味わい

沖縄を代表するごはん物・ジューシーに汁をかけていただくのは、「トゥンファンランチ」(1790円)。豚肉とかまぼこを入れたクファジューシーを「トゥンファン(豚飯)」というのだそうです。

ジューシーは茶碗によそって食べたりおにぎりにしたりと沖縄料理としても広く知られていますが、汁をかけていただく機会はほとんどなく興味津々。

豚だしで炊いたジューシーとかけ汁が上品に絡み合い、サラサラとした食感です。沖縄料理が好きな方にとって、味わいも特別感もたまらない一品になりそうですね。

付け合わせの「紅芋のウムクジアンダギー」は、蒸した紅芋に塩味のだしを加えて揚げた沖縄のおやつ。子どもから大人まで幅広い層に愛されているスイーツで、口にするとその理由が分かるはずです。

「もずく酢」などの副菜も付いています。

琉球料理のおいしさと味を伝承

他にもヘルシーで体に優しい「発芽玄米粥セット」(1145円)、ラフテー(豚の角煮)をはじめとする琉球料理8品が並ぶ「うちなープレートA」(2890円)など、充実のランチメニュー。

沖縄に住んでいてもなかなか味わうことができない宮廷料理を、料理学校が経営するお店でいただく・・・味に太鼓判をおされているスペシャルな料理を食べに行く訳ですから、イベントに出掛けるようで心が弾みますね。

そして今後は、積極的にお酒も出していきたいという計画も。沖縄名産の泡盛はもちろん、ワインの導入も考えているそうです。琉球料理には、白とロゼのワインが合うのだそうですよ。

「コロナ禍でしたがだんだんとお客さまが戻ってきました。これからは店舗を増やすことも視野に入れていきたいです」と語るがなはさんから、琉球料理の普及に力を入れる思いが伝わってきました。

「こだわりを持って作るおいしい琉球料理、ぜひ食べに来てください」とがなはさん(中央)、金城さつきさん(右)、糸数はるかさん(左)が笑顔で迎える「琉球Styleまつもと」。

かわいいイラストで描かれたメニューは丁寧で分かりやすく、スタッフさんの温かなおもてなしの心が伝わってきます。沖縄の食文化に触れる時間になりますので、いつ行こうか早速スケジュールを立ててくださいね。

[基本情報]琉球Styleまつもと
住所:沖縄県那覇市泉崎1-9-13 親和ビル1F
電話:098-917-2841
営業時間:朝ごはん7:00~10:30/ランチ11:00~14:30(変動あり)
​​定休日:日曜日/第1・2・3水曜日/第1・2・3土曜日
駐車場:なし
<Facebook> https://www.facebook.com/ryukyu.style.matsumoto
<Instagram>ryukyu_style_matsumoto

執筆協力:Shotaro
撮影・編集:饒波貴子

nohatakako
この記事を書いた人饒波 貴子
那覇市出身・在住。OL生活、週刊レキオ編集室勤務を経て、フリーライターに。現在は沖縄のエンターテインメントおよび店舗紹介を中心に取材・執筆。ウェブマガジン「琉球新報Style」、雑誌「porte」ほかで執筆中。 このライターの記事一覧

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