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食事

2021.03.30

【沖縄の古民家を訪ねて】八重瀬町の100年越える登録有形文化財「沖縄そばと茶処・屋宜家」

【沖縄の古民家を訪ねて】八重瀬町の100年越える登録有形文化財「屋宜家」

目に映った瞬間に歴史を感じ、中に入るとどこか懐かしく、ほっと落ち着けるのが古民家。日本全国各地に多数あり、その土地ならではの家屋作りの工夫で、時を経た現在も人々の暮らしに根付いています。

沖縄県内にも多くあり、現在は飲食施設として新たな魅力を放つ古民家も。ぜひ訪ねてほしい古民家の飲食店を、一軒ずつ探しながら紹介していきます。

初回は沖縄本島南部・八重瀬町の長い歴史を持つお店「屋宜家」です。

八重瀬町の由緒正しい古民家「屋宜家」でおいしい沖縄料理を

八重瀬町の由緒正しい古民家「屋宜家」でおいしい沖縄料理を

周りにはサトウキビ畑が広がり、時には野鳥のさえずりも聞こえてくるロケーションに佇む「沖縄そばと茶処・屋宜家(やぎや)」。

八重瀬町の美しい自然に囲まれたこのお店は、由緒正しい古民家でおいしい沖縄そばと沖縄料理、デザートがいただけると注目を集めています。

ひんぷん

敷地内でまず目に入るのが、前方をさえぎる「ひんぷん」。

目隠しとなり邪気(魔物)の侵入を防ぐという意味を持つのが「ひんぷん」で、魔物は角を曲がらずに直進すると信じられているため、主屋の正面に防壁として配置していたのだそう。

お店の入り口で魔除け効果のある「ひんぷん」を見ることで昔ながらの沖縄の家作りを実感でき、気持ちが高まります。

【沖縄の古民家を訪ねて】八重瀬町の100年越える登録有形文化財「屋宜家」

「ひんぷん」を抜けて庭に入ると立派なガジュマルの木が立ち、屋根には来訪者を見つめるシーサーの姿がありました。主屋を正面に左手には家畜小屋、右手には「あしゃぎ」と呼ばれる離れがあり、タイムスリップしたかのような古き良き空間が広がります。

それもそのはず、なんと「屋宜家」は、100年以上の歴史がある屋敷とのこと。もうすぐ築70年を迎える主屋からも、どっしりとした趣を感じます。

古き良き建物を残したい店主の思い

登録有形文化財

200911月、屋宜家の建物は文化庁に歴史的な価値を認められ、登録有形文化財になりました。店主・屋宜利夫さんの祖父である屋宜松さんが、戦後すぐにこの家屋を建てたそうです。

話を聞くと「とても頭の切れるおじいさんでした。私にはよく、自慢の孫だと言ってくれましたよ」と笑顔で語る屋宜さん。

建築当時は終戦間もないころで、物資が少なく木材を調達するために奔走したそうです。材料確保に苦労しながら建てられたこの家は、たちまち村で大評判に。また風水にも精通していた松さんは屋敷を作るにあたり、各所の配置と植栽など細部まで気を配り、計算された建築を施したとのこと。

歴史と家屋作りの思いが重なる素敵なこの空間が、訪れる者に言葉では表現できない癒やしを与えてくれるのもうなずけます。

屋宜家

屋宜さんはこの家で生まれ育ったそうですが、ご両親が亡くなり空き家になって、一時は取り壊すのが良いのではないかという話になったそうです。

ですが「古き良き建物を残したい」と思った屋宜さんが、宮大工に修理できないかと相談。「この作りでこの景観を持つこの家は、文化財に値する」と言われたことがきっかけで、調査を依頼したそうです。

「申請書を出したら通ったんですよ」と茶目っ気たっぷりに語る屋宜さん。どんな方なのかと気になり前職を聞いてみたところ、何と大手航空会社の元パイロット。退職後に生家でお店を開こうと奥様に相談したところ「沖縄そば屋が良いのでは」と提案され、オープンに至ったそうです。

屋宜家

しかし最初のころは、なかなか客足が伸びず苦労も。

「屋宜家」という名前から勘違いされ、「ヤギ汁ありますか?」と訪ねてくるお客さまがいたんだとか。そのような状況の中、沖縄そば屋の経営者や栄養士などの知り合いにアドバイスをもらったりしながら、メニューやサービスの工夫につないでいったそうです。

努力を続けていると徐々に他県からの客足が増えていき、やがて台湾や香港などのアジアからのお客さまも訪れるように。今では県内外問わず、多くのお客さまが足を運ぶ有名店になりました。

メニューに関しては奥様のアイデアとアドバイスが多々あり、「女房が偉いんですよ」と屋宜さん。奥様を立てるその話しぶりに、良きご夫婦でいらっしゃることが伝わってきました。

古民家で味わえる沖縄らしいメニュー

アーサそば

おすすめメニューを聞くと、イチオシは奥さまのアイデアではじめたという「アーサそば」(単品900円)。

アーサ(あおさ)を練り込んだ緑色の麺が特徴で、鰹節・豚骨・鶏ガラ・野菜を煮込んだお出汁のスープとアーサが香る麺が絶妙に絡み合います。丼にたっぷりと入ったアーサをサラっといただくと、あっさり味ながら食べ応えのある一品です。

他に「本ソーキそば」(890円)や「三枚肉そば」(820円)など、沖縄そばの定番メニューもあるので、お好みでどうぞ。

黒蜜きな粉黒糖ぜんざい

沖縄らしいデザート、氷たっぷりの「黒蜜きな粉黒糖ぜんざい」(430円)はぜひ旅の途中のひと休みに。氷の上には黒蜜きな粉が降りかかり、さっぱりとした口当たり。黒糖風味の小豆は深みのある優しい味わいで、氷と絡み合うことでおいしさがより引き立ちます。

沖縄そばを食べた後のデザートとしてぴったりなので、屋宜家に行ったら必食!と思えました。

パイナップルジュース(280円)、シークァーサージュース(330円)

ドリンクはパイナップルジュース(280円)、シークァーサージュース(330円)といった、沖縄イメージのトロピカル系がおすすめ。甘さ控えめで爽やかな味わいです。甘さを加えたい場合は、お好みでシロップを足してください。

景観とおいしさにこだわった屋宜家

景観と美味しさにこだわった屋宜家

「味良し、接客良し、空間良し」をモットーにしている屋宜家。

「この三つの輪が重なるところに大きな価値があるので大切にしようと、従業員に話しています」と語る屋宜さん。おいしいそばに行き届いたサービス、そして誇り高き文化財である建物。そのコンセプトを忠実に守りながら、家族、スタッフと共に日々実践しているそうです。

景観と美味しさにこだわった屋宜家

「屋敷の管理は大変です。きれいな庭ほど管理が必要で、それ相応の苦労があります」と話していましたが、「多くの人に屋宜家の景観とおいしさを味わってもらいたい」という思いで、毎日頑張られています。

屋宜家

1017日は沖縄そばの日です。そしてもう一つ、僕の誕生日でもあるんですよ」と笑いながら話を締めくくった屋宜さん。さすが、沖縄そばの名店の店主です。

その笑顔に会いにまた行こう。屋宜家のおいしいそば、また食べに行こうと早くも思っています。

[基本情報]屋宜家(やぎや)
住所:沖縄県島尻郡八重瀬町大頓1172番地
電話:098-998-2774
営業時間:11時〜16時(ラストオーダー 1545分)
定休日:火曜日
但し祝日・ゴールデンウィーク・夏休み期間・年末年始は通常営業。
臨時休業:11
駐車場:あり

●執筆協力:Shotaro
●撮影・編集:饒波貴子

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この記事を書いた人饒波 貴子
那覇市出身・在住。OL生活、週刊レキオ編集室勤務を経て、フリーライターに。現在は沖縄のエンターテインメントおよび店舗紹介を中心に取材・執筆。ウェブマガジン「琉球新報Style」、雑誌「porte」ほかで執筆中。 このライターの記事一覧

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