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2020.05.31
沖縄の神社「琉球八社」の歴史巡り!識名宮編
識名宮の創建は不明ですが、少なくとも1556年以降とされています。創建当初は洞窟内にお宮がありましたが、老朽化により1680年に洞窟外に移動しました。現在は、毎月新暦の1日と15日には洞窟を参拝することができます。
首里城からの距離は1キロ程と八社の中ではもっとも近く、国王と臣下・女官等が参拝の際に通った道は、ほぼ当時のまま残されています。
ここでは、首里城を起点に真珠道(まだまみち)と呼ばれる歴史の道を辿りながら参拝する経路をご案内します。
識名宮の設立と識名村の繁栄
識名宮の縁起は、次のような不思議な出来事だったとされています。
識名方面から夜空に向かって光が放射しているのをみた大阿母志良礼(おおあむしられ=神女の役職名)が調べに行ったところ、賓頭盧(びんずる)が安置されていました。そこで、尚元(1556年〜1572年)の長子、尚康伯の病の平癒を祈願したところ、もとの元気な体になりました。その霊験を得て、識名宮と神応寺が建てられました。
また、大阿母の孫娘は全身雪のように白く、屋敷のガジュマルのあたりで姿を消してしまいました。孫娘は神の化身として尊ばれ、人家の少なかった識名村に人が集まるようになり、繁栄したと言われています。
写真は金城町からみた識名方面です。写真中央から斜めに識名坂が通っているのがわかるでしょうか。識名宮は現在繁多川に位置していますが、王国時代は識名台地のほぼ全域が識名村となっていました。
のんびりと徒歩で歴史の道を巡るのがおすすめ
琉球国王はいつから、どのように識名宮を参拝していたのでしょう。繁多川の100周年記念誌によると、国王の参拝は、1644年の尚賢王時代から毎年1月、5月、9月の吉日に始まったとされています。
国王は歓会門を出発し、中山門、金城町村屋を経て識名坂を上り、前道(めーみち)を通り識名宮へ参拝し、臣下や女官は継世門からヒジガーを経て後道(くしみち)を通り先回りしてお宮で待機していたとの事です。簡単に言うと、国王は正面玄関を、臣下は裏口を使用していたという事ですね。
赤=国王参拝路 青=臣下移動路 黄色=今回紹介する経路
今回紹介する金城町石畳道は、尚真王(1477年〜1526年)が首里城から那覇港にかけて整備した街道でした。この道は真珠道(まだまみち)といい、元は国防のための軍用道路として整備された道だったのです。
現在は、金城町に現存する238mの区間が金城町石畳道として首里の面影を残しています。
石畳の途中にある金城町村屋から国王の参拝路と合流しますが、途中に金城町の大アカギ(内金城御嶽)もありますので、お時間のある方は立ち寄ってみてくださいね。
【猫ものんびりお散歩する金城町石畳道】
【内金城御嶽と赤木の群生】
【金城町の村屋】
【石畳を下りきった先にある金城橋と識名坂】戦前までは松並木の石畳道でした
さらにお時間に余裕のある方は、臣下が通った道も歩いてみてくださいね。こちらも王国時代に整備された幹線道路の一つですので、歴史が好きな方には特におすすめです。
【ヒジ川坂 安里川(金城川・かなぐしくがー)へ繋がる道】
【ヒジ川橋】金城ダムの敷地内に残されています
静かに歴史を物語る境内の石垣と福木
王国時代に思いを馳せながら識名宮へ到着したら、時代を先へ進めてみましょう。境内にある2本の福木と、石垣にご注目ください。
先の大戦ではこの一体も甚大な被害を受けましたが、参道の福木と、隣接していた神応寺へと続く石垣は戦果をまぬがれ現存しています。また、戦後は小さな祠が造られたものの、管理者はなく御神体も不在だったそうです。
その後、1967年(昭和42年)に鳥居が建設され、翌年には本殿と拝殿が完成し、御神体をお迎えして現在に至ります。
参拝の際は、識名宮を大切に守ってきた地域の方々の思いも感じてくださいね。
【参道の福木】
【石垣】かつては神応寺が隣接していました
毎月1日と15日には洞窟が解放
創建当時お宮のあった洞窟は毎月新暦の1日と15日に開門され、洞窟内にて参拝することができます。
開放日以外は洞窟内に入ることはできませんが、門の外からでもお参りすることはできますので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
歴史散策には徒歩がおすすめですが、識名坂は想像以上に急坂です。日差しの強い時期などは無理をせずタクシーを利用してもいいかもしれません。(金城橋からワンメーターでした)
お宮周辺には史跡がたくさんあり、案内板が整備されていますので周辺散策もおすすめです。
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[基本情報]識名宮
住所:沖縄県那覇市繁多川4-1-43
電話:098-853-7225
営業時間:なし
定休日:なし
駐車場:あり(2台)
URL:http://sikinagu.com/
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