伝統
2019.12.27
意外と知らない!?沖縄と奄美の似ているようでちょっと違うところ
沖縄出身のライターオオシロジュンコです。奄美出身の友人との会話がきっかけで「あれ?沖縄と奄美は似てるようで違う?」と思うところがあり、おもしろいなと感じました。
沖縄は、古くからアジア諸国との交流が多く琉球王国として発展してきましたが、戦後アメリカの統治下に置かれ、1972年に日本本土復帰。
一方、奄美はその昔、琉球王国の統治下にあり同じ文化を歩んでいました。その後、薩摩藩に占領され薩摩(鹿児島)の一部となり、本土の文化や風習が入ってきます。戦後は、沖縄と同じようにアメリカ占領時代を経て、再び鹿児島県へ戻りました。
それぞれの歴史のなかで、互いの文化や風習が少しづつ変化してきたのでしょう。
目 次
島の大きさと人口
日本の中では、北方領土を除いて1番目に大きい島が 沖縄本島(1,703㎢)、2番目は、佐渡ヶ島(854.8㎢)、3番目に大きいのが奄美大島(712.35㎢)。
奄美大島は小さな島と思われがちですが、面積でいうと意外と大きな島なんです。
人口は沖縄が129万人、奄美が10.3万人です。面積の差と比べると沖縄は人が多いですね。
島の気候と風景
沖縄と奄美の気候は、どちらも高温多湿の亜熱帯気候でほとんど変わりません。夏場は平均30℃前後、冬場は20℃前後です。
気候が似ているので当然でしょうが、生息している植物、青い空、青い海の風景も似ています。
島の習慣の違いにびっくり!?
奄美出身の知人と話をしていて、沖縄のお墓は「亀甲墓」ですが、奄美のお墓は本土風と聞いてびっくりしました。
また、お正月料理も違っています。沖縄では、特別にお正月料理というより、年中行事でいただく料理が主流です。三枚肉、昆布、天ぷら、かまぼこ、ごぼう、こんにゃくなど7品から9品を重箱やオードブルにします。
奄美のお正月料理は「三献(さんごん)」といって、本土のおせち料理とも違う独特の文化があります。三つの膳からなっていて、一の膳ではかつお出汁、出汁昆布を使ったしょうゆ味のお吸い物、二の膳ではお刺身、三の膳では豚や鶏などの肉の出汁をいただきます。
沖縄の文化や風習は近隣国の影響を受け、奄美は本州からの影響が残っていたりするのですね。
沖縄方言の「あげ!」と奄美の方言「はげー!」
沖縄の方言 | 奄美の方言 | 標準語 |
はいさい、はいたい | うがみんしょーらん | こんにちは |
めんそーれ | いもーれ | ようこそ |
にへーでーびる | ありがっさまりょうた | ありがとう |
ちゅら | きょら | 美しい |
うんじゅ | なん | あなた |
わん | わん | 私 |
あげ!、あぎちゃびよい! | はげー!、はげばーど! | 驚く時の感嘆詞 |
方言の違いも面白いです。
「ようこそ」を意味する「めんそーれ」と「いもーれ」は言葉の雰囲気が似ていますし、「あげ」「はげ」や「ちゅら」「きょら」なんかは、それぞれ一文字違い。
お互い方言の意味を知らなくても、なんとなくニュアンスで通じそうですね。
どちらも食べてみたい郷土料理「イナムドゥチ」と「鶏飯」
イナムドゥチは沖縄のお祝い料理のひとつです。
具沢山の味噌汁で、細い短冊切りにした豚の三枚肉、こんにゃく、かまぼこ、しいたけ、油揚げなどを白味噌仕立てにしたもの。
お盆や正月に家庭で作られたり、食堂のメニューにもなっています。
鶏飯(けいはん)は、奄美を代表する郷土料理。
茶碗に盛った白飯に、茹でてほぐした鶏肉、甘辛く煮たしいたけ、パパイヤ漬け、錦糸卵、沢庵漬けなどの具材や、ねぎや紅ショウガなどの薬味をのせて、鶏の出し汁をかけていただく料理です。
大事な客人をもてなす料理で、奄美には専門店も多くあります。
醤油と塩で好みが変わる?「ラフテー」VS「塩豚」
琉球王朝時代からの保存食でもあるラフテー。皮付きの豚肉を甘辛の醤油、泡盛、砂糖を入れてじっくり煮込みます。
お正月や法事の重箱に用いられ、沖縄そばの具材にもなっています。
奄美にある塩豚も、保存食として古くから食されています。
正月に潰した豚肉を、次の正月まで持つように塩漬けにして大事に食べていたそうです。塩抜きをして、炒め物や汁物など、どんな料理にも合います。
つゆだくなら「油そーめん」、つゆぬきなら「そーめんチャンプルー」
おなじみ沖縄のそーめんチャンプルーは、家庭料理の定番。茹でたそーめんに、ねぎやツナ、もやし、人参などの野菜を入れて作ります。
一方、奄美の油そーめんは、具材はそーめんチャンプルーとほとんど変わりませんが作り方が違います。
そーめんチャンプルーは具材を炒めて作りますが、油そーめんは出汁で煮込んで作るので、汁だくになっています。
そーめんチャンプルー、油そーめん、どちらも食堂や居酒屋のメニューにもなっていて、小腹が空いたときやおつまみとして食されています。
地元のディスカウントショップも似てる?!「ビッグワン」と「ビッグⅡ」
沖縄にあるディスカウントショップ「ビッグワン」。
日用品はもちろん、食料品、ペット用品、家電、時計、貴金属買取、めがねまで揃っている、地元に親しまれているお店です。
対抗して奄美には「ビッグⅡ」があります。
一般食品から、衣料・雑貨・レジャー用品、お土産など、何でもそろう奄美でも最大級の総合スーパー。
名前をはじめ、お店の看板や雰囲気も似ていて姉妹店みたいですが、運営はまったくの別会社です。
演舞が胸を打つ「エイサー」、グルーヴ感味わえる「8月踊り」
本土の盆踊りにあたる沖縄の伝統芸能のひとつ、エイサー。
地域の青年会がそれぞれの型を持ち、旧盆の夜に地域を練り歩きます。ドンドンと太鼓の音が鳴り響き、躍動感あふれる演舞に心を打たれます。
奄美の八月踊りは集落ごとに輪になって踊り、男女が即興で唄を掛け合う唄遊び。
集落が違えば歌詞やメロディは全く異なり、それぞれの地域で伝承されています。
太鼓(チヂン)を叩くのは女性で、そのリズムに乗り三線に合わせて唄いながら輪になって踊ります。最初はゆっくりとしたテンポで始まり、徐々にテンポが速くなるにつれてテンションも上がり、グルーヴ感を味わえるのが八月踊りです。
どちらも時期を合わせて訪れると、観光客も参加できるイベントです。
運動会の花形!「エイサー」VS「大高の応援団」
沖縄の運動会で花形といえば、男子が踊るエイサー。
保育園〜高校の運動会には欠かせない出し物の一つです。体が小さいときは、小さな太鼓(パーランクー)で踊り、体が大きくなると大きな太鼓へ持ち替えて踊ります。
奄美の中心地にある大島高校、通称大高(だいこう)の運動会では、どの種目よりも注目されるのが「大高の応援団」。
青春真っ只中、あどけなさの残る笑顔、静と動、静寂と絶叫、熱い応援には心を打たれます。
沖縄と奄美の似ているところと違うところをまとめました。
都会的なリゾート感と自然を味わえる沖縄本島、手つかずの自然あふれる奄美大島。奄美へは、羽田・成田・関西国際・伊丹・福岡・鹿児島から直行便が飛んでいます。沖縄とアクセスの良さはほぼ同じ。
ぜひ、両方の島を訪れてみてそれぞれの良さを堪能してみてください。
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