観光
2019.02.22
1960年代を思わせる、名護市辺野古で繁栄した社交街「アップルタウン」でアメリカンレトロな街並みを散策
宜野湾市にある普天間基地を名護市辺野古沿岸部へ移設するという「辺野古移設問題」を巡り、連日ニュースで世間を賑わせている辺野古区。名護市辺野古区は沖縄県北部の東海岸に位置し、那覇から沖縄自動車道経由で約1時間。宜野座ICで下車します。
辺野古には米海兵隊基地「キャンプ・シュワブ」があり、辺野古の住民たちは、最も近い場所で基地の入り口から約1キロ離れた地域に住んでいます。住民たちが住む集落は、通称「アップルタウン」と呼ばれ、昔は社交街として繁栄したそうです。今でも当時の面影が残っているのか、散策してきました。
目 次
かつての「アップルタウン」は、2,000人以上が暮らしていた!その由来について解説します
「アップルタウンの由来」について書かれた案内板がありました。
案内板によると、1957年に辺野古区の地域開発が行われ、その際、尽力された米軍民政府土地課長「アップル中佐」を称えて、「アップルタウン」と命名したそうです。
また、辺野古区公民館の公式サイトによると、この開発により急成長した町は、1965年には309世帯、2,000人以上の規模となったそうです。
その背景には、ベトナム戦争中の1960年から1970年代、米海兵隊基地「キャンプ・シュワブ」が辺野古に開設されたことが理由に挙げられます。米兵で賑わうスナックやバー、クラブが誕生して社交街として繁栄していき、最盛期には約200店舗もあったそうです。
ベトナム戦争後、お店の数は激減しましたが、今でも昔ながらの沖縄らしい建物が立ち並び、どこか懐かしいのどかな光景でした。
辺野古交差点から入ると、すぐに「WELCOME 辺野古社交街」と書かれた集落入口の歓迎塔。そのまま道なりに進んでいきます。
辺野古交差点から入ってすぐ右手に、現在の辺野古案内図があります。主に飲食店などの店名が書かれたマップです。
辺野古交差点から入ってすぐの場所に、オレンジの外観が目立つパーラークイックストップ。英字看板と明るいビタミンカラーが目を引きます。
その少し先には、インド料理「SHIVA(シバ)」の鮮やかな赤い外壁。グリーンの看板といい、沖縄の青い空にとてもマッチしそうです。
ここが現在のアップルタウンのメイン通りです。昔は繁華街として賑わっていたメインストリートの入り口が左側に現れます。
民家の近くの空き地には、自然の中で育ったパパイヤの木もありました。
現在は静かなたたずまいとなったメインストリート。昔の繁華街としての面影はなく、穏やかな時間が流れています。
集落には1960年代のアメリカンレトロな建物が残っていた
アップルタウンでは、住宅以外にもアメリカンレトロな外観を残す建物が目立ちます。その当時、クラブとして賑わっていた「CLUB CHAMPION」は、赤のアクセントが効いています。
入り口の上、屋根の部分を見ると、うっすらと「RESTAURANT」の英字が読めます。この看板や英字も昔の名残です。
出入口の看板に「酔竹」と書かれ、屋根には「み〜な」の看板。どちらが本当の店名なのかを迷うところに、沖縄あるあるの素朴さを感じます。
営業中のお店「イタリアンレストラン」の外観も歴史を感じます。PIZZA、TACOSなどの英字ロゴもカッコイイ。店内は食堂のようなのどかさがあります。
こちらも営業中の寿司レストラン「オーシャン」。建物も趣があって壁の波型デザインが、オーシャンという名前にピッタリ。看板をよく見ると、シュワブ スシ レストランと書かれ、どのようなお寿司か訪ねてみると、一般的なお寿司のようでした。
酒味処TEXASの看板は、アメリカの国旗を思わせるような色使い。
昭和の風情を感じる東芝ラジオの看板を発見。写真を取ろうとしていると、ちょうど住人の方が現れて、「約50年前の看板だよ」と教えてくれました。
辺野古集落の入り口から、メインの通りを奥に進むと、アメリカンレトロな建物が集まる一角があり、この周辺の散策はおすすめです。
1960年代にタイムスリップしたかのような「BAR CASSEY」。店名の英字に大文字と小文字が入り混じり、現在は空き家になっていました。
壁に星条旗が描かれた建物がとてもユニークです。フォトジェニックなスポットのひとつでしょう。現在、個性的な建物は映画やミュージックビデオの撮影使用、写真スポットとしても楽しまれています。
主要なストアが2つ!住民の暮らしを支える辺野古の商店たち
パーラー併設のファミリーストアキヨタは、9時から23時まで営業中。但し、14時から16時の間は休憩時間だそうです。外に設けられたパーラーは、17時から23時まで。パーラーのタコライスは地元で人気のようです。
2002年に映画化された「ホテル・ハイビスカス」にも登場した渡具知ストアー。8時30分から22時まで営業し、土日は21時で終了するそう。
昔懐かしい沖縄限定のボンカレー、沖縄の弁当やお惣菜も販売し、商品の品揃えが豊富です。沖縄ならではの商店の様子を、ぜひ買い物がてらのぞいてみてください。
活気を取り戻しつつある「アップルタウン」
訪れたのは平日の昼間。静けさの中、住民の人々が散歩したり、学校帰りの小学生が楽しそうに歩いていたり、のどかな光景が広がっていました。
集落を散策中、お店を再開した人や起業した人と偶然に遭遇し、集落の良さを大切にしながら、少しずつ活気を取り戻してほしいですね。名護市まで来たなら、昔ながらのアメリカンレトロな建物や沖縄のストアを散策しに、ぜひ辺野古集落にも訪れてみてください。
(編集・一部撮影/Feel OKINAWA初代編集長みやねえ)
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