くらし
2018.08.24
最新技術で沖縄のダムの未来を変える!金武町の自然とコストに優しい「金武ダム」
台形CSGダムと呼ばれる金武ダムの構造。堤体の断面を台形にすることにより堤体内部に必要な強度が小さくてすみ、それほど硬い材料ではなくても建造することができたそうです。従来のように硬い材料を求めて深く山を削らないので、自然保護にも役立ちました
。強度を上げるためのセメントも少なくて済むなど、経費節減と工期短縮にも貢献しています。表面保護のため、工事中使用した型枠を残したままにしているので独特な雰囲気を醸し出していますね。
これが非常用洪水吐部。ダムの貯水位が洪水時最高水位を超えると、ここから越流するんですね。このように蛇腹状にしV字の両側から越流することで、洪水吐部を短くすることに成功しました。「オーバーフローの瞬間を見てみたい!」とも思ったのですが、ここから越流するほど雨が降ると下流は大変なことになるんだとか。
管理支所内の展示室。金武ダムについて詳しく知る資料のほかに、周辺で見つかった文化財の展示もしています。さらに、屋上からは金武の海や森を360度パノラマで見ることができます。
ダムカードをゲット!建設時に配られた別バージョンもあったんだとか。
ダム周辺
金武ダムの堤体からは、時代ごとに特色の違う6つの道路を見ることができます。右端の遠くに見えるのが琉球王朝時代の宿道、真ん中の金武大橋にその奥にちらっと見える建設中の金武バイパス。金武大橋の手前にあるのが戦後米軍が作った道路(現在は町道)で左端が戦前にあった橋の残骸です。また、反対のダム湖側には沖縄自動車道が見えます。町道の周辺では、春に桜も見られるのだとか。
金武ダム堤体のすぐそばで、首里から各地に伸びていた宿道と呼ばれる国頭方東海道の一部が見つかったそうです。ここはそれをダム堤体完成後に復元したもの。木々が生いしげり、当時の景観が再現されています。
ここには1931年に億首川にかけられた橋があったそうです。当時の写真が下の画像。この橋も当時の最新技術を使って建造されたそうですが、戦時中にアメリカ軍の侵攻を恐れた日本軍により破壊されたと言われています。独特なアーチの形状が今でも分かりますね。
金武ダム周辺は自然も豊か。億首川の下流には4種類のマングローブが根を張り、貴重な生き物も住んでいます。野鳥も70種近く確認されているんだとか。ここは、そんな野鳥が羽を休める幸地原湿地。元々は旧金武ダムの貯水池末端にあったのですが、この環境を残すためにまるごと移設したそうです。
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4種類のマングローブが自生し、豊かな自然を残す億首川。その中流付近、沖縄自動車道のすぐ近くに「金武ダム」はあります。ここには元々米軍基地の飲み水確保のためにアメリカ軍が作り、本土復帰以降は沖縄県企業局が管理していた「旧金武ダム」があったらしく、洪水調節や新たな水道用水の確保などの目的をもたせ貯水する水の量をさらに増やすために今の堤体が出来上がりました。貯水率が30%を切ると、旧金武ダムの堤体が見えてくるそうですよ。ところでこのダムは、最新技術を用いて工期短縮と経費節約に成功しています。ダム本体の工事が始まったのが2009年で運用が開始されたのが2014年、堤体に至っては約8ヶ月で完成したというから驚きですね。また、ダムの周辺は緑がいっぱいで文化財の道路もあるので、お散歩やサイクリングにも最適ですよ。
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[基本情報]金武ダム
住所:沖縄県国頭郡金武町金武9959
営業時間:8:30〜17:15(金武ダム管理支所)
電話:0980-52-3872
定休日:なし
駐車場:あり
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