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2026.02.03
【沖縄のJAZZ店散策】ジャズで踊る、 華麗でアットホームな夜「The Harvest Moon JAZZ CLUB」

こんにちは!日頃リュックと水筒を持って沖縄本島中を散歩しているライターの小鍋です。いつも南部のローカルスポットを中心に散歩していますが、今回はちょっと趣向を凝らして、私の大好きな音楽ジャンル「ジャズ」を探求すべくジャズバーに行ってきました!
沖縄のジャズは、他ではなかなか味わえない独特な奥深さを秘めていると言われています。その理由は、沖縄の戦後アメリカ統治下時代に米軍基地クラブで演奏してきたバンドマン達の演奏が今なお息付いているから。
さぁて、今宵どんな音楽が聴けるのか楽しみです!

今回伺ったお店は沖縄の人気ジャズシンガー、Mitchy(ミッチー)さんのお店「The Harvest Moon JAZZ CLUB」(以下、ハーベストムーン)。
地元客にも観光客にも人気なレトロさが魅力の栄町(さかえまち)にあり、沖縄都市モノレール「ゆいレール」の安里駅からは徒歩3分。人気観光スポット「国際通り」からも徒歩約7分で到着できます。

お店の周辺は居酒屋や飲食店が軒を並べています。昔ながらの赤ちょうちんが揺れているのも栄町の魅力的な風景のひとつ。
栄町内の飲食店でご飯を食べてから2次会使いでハーベストムーンを訪れるのもおすすめです。

Mitchyさんの歌で華やかに繰り広げられるステージでは、スタンダードジャズとラテンジャズを中心に、様々なジャンルのジャズが楽しめます。音楽に合わせて踊ったり、ライブの合間に出演者とユンタク(沖縄方言:「おしゃべり」の意)もできますよ。
ジャズのお店というと、どこか敷居が高く感じる人も少なくないのではと思いますが、ハーベストムーンは華麗でアットホームでチャーミング。これらをぜんぶ叶えた不思議なお店です。店主のMitchyさんそのままのお店。
とても居心地が良いので、初めての人もあっという間に時間が過ぎていきますよ。最近は観光客や若いお客様も多いそうなので、那覇観光の穴場スポットとしてもおすすめです。

ちなみにチャージ料金は1,500円(飲食料金別途)。特別ライブなどはバンドの編成に合わせて料金が変動するそうなので、気になる人は行きたい日の料金を事前にご確認ください。
目 次
沖縄ならではの、自由なジャズが楽しめる「ハーベストムーン」

ハーベストムーンは2008年9月、中秋の名月に産声を上げました。
店名は収穫が多くなりますように、人生も豊かになりますように、との願いを込めてオーナーのMitchyさんが命名。 ご自身が好きな月の光や月の満ち欠けの様子、ジャズの曲にも多く登場する「月」を店名にしたいと「ムーン」をいれました。

お店は20時オープン。ライブは21時頃にスタートし、そのあと2ndステージ、3rdステージと夜中2時頃まで続きます。
どこかで食事や会合をした後に、フラッと好きなステージから楽しんでもOK。遅くから来店して閉店間際まで楽しむ人もいるそうですので、夜更かし好きの人も大歓迎です。

店内はカウンター席、ソファ席、テーブル席(禁煙席/喫煙席)と3エリアに分かれています。CD好きな人にオススメしたいのは「カウンター席」、ミュージシャンの熱を感じたい人は「ソファ席」、音楽もトークも楽しみたい人は「テーブル席」がオススメ。

筆者のおすすめは断然「ソファ席」。ミュージシャンの熱を感じられるリアル感を味わえるのが、もう最高。ボーカルより後ろに席があるので、出演者が客席を見る目線も楽しめます。

それぞれの席にはお通しのチョコレート。Mitchyさんのように華やかな一粒が、来店客をもてなしてくれます。

筆者は車の運転を控えていたのでノンアルコールのビールを注文。フードメニューを見るとピザやチーズ、ソーセージの盛り合わせ、「生ハムと合鴨のオリーブ1,500円」などがありましたよ。

この日の1stステージはジャズスタンダードを中心にラテンナンバーやバラードが続き、最後は店員でもあるMitchyさんの妹さんが音楽に合わせてサルサを踊って大盛り上がり。
「妹がサルサを踊れるので、お客様にも教えることができます。ジャズのお店は敷居が高いと思われていますけど、そうじゃないんです。頭で聞くものじゃないので、メロディやリズムなど、何か楽しいなぁと思ってくれたら」
ハーベストムーンの特徴は、スタンダードナンバーに加えて「ラテンジャズ」を多く聞けること。「ライブの音と歌に合わせて出演者と客が一緒に踊れるのがハーベストムーンの大きな特徴かも」とMitchyさんは笑います。

筆者の知り合いの県外在住のジャズ関係者は、こういったお店を「沖縄ならではだよね」だと話します。
もしかすると米軍統治下の沖縄で広がった「ダンス」の血脈が今なお息付いていて、ハーベストムーンで踊ることも、当時の沖縄の歴史や文化を体感できる貴重な瞬間なのかもしれません。
「歌のおかげで今がある」歌手Mitchyさんにインタビュー

さて、ライブと別日に改めてMitchyさんがお話を聞かせてくれました。自分のお店や人生の転機、人生で大切なことなど、ジャズ以外の人生論もたくさん聞かせてくださいました。

自分のお店を持つ前は、那覇の久茂地や久米、若狭など毎夜どこかのお店やホテル、イベントなどで歌っていたというMitchyさん。
「いつかお店を持ちたい、母にお店をプレゼントしたいと夢見ていました。私の父はギタリストだったので、母と2人でギターラウンジのお店をやっていたんです。私と妹は小さい頃、夜はいつもお店の物置で寝かされていました(笑)。だから音楽は私にとって、いつもの風景。すごく身近な存在でした」。

お店を出す場所は、自宅からも程近く、これから盛り上がりそうだと思っていた栄町を選びます。レトロな街並みとジャズのギャップも決め手となりました。
「グランドピアノが入れられる箱(店)をひたすら探しましたね。内装は、業者さんにワガママいって妥協せずに納得いくまでやりましたよ。お店をやり始めて分かったこともあったので、オープン後に1つずつ改善していきました」

開店15周年の時には、店内を全面リニューアル。
それでも、オープン時から使っている古いスピーカーはそのまま残しました。
「亡き弟が音響の会社だったので、スピーカーを選んでもらったんです。おかげで、音の響きが広がるようなお店のつくりになりました」

演奏を担当しているミュージシャンは、もはや家族のような存在だと話します。息のあったステージも、このお店での長い演奏歴があってのもの。外国人客に『ファミリーみたい』と言われることもあるのだとか。
「私のボーカルだけでは何もできないです。私はアバウトな伝言ばかりですが、ミュージシャンはみんなどうにか汲み取ってくれて私に寄り添って、ステージをつくってくれます。毎日のようにメンバーが来てくれて一緒に音を重ねるのは、それだけでも素晴らしいことですよね。ただただ嬉しいです」

オープンから10年目ぐらいまでは、紹介制のお店だったというハーベストムーン。
「ガチガチの紹介制じゃなくて、ゆる〜くやっていました。その時は圧倒的に地元のお客さんが多かったですね。それから、音楽好きな方やジャズ好き、観光客、音楽関係者がくるようになって、いつの間にか地元と、そうでもないお客さんが半々。いや、地元客のほうが少なくなってきたかも(笑)」
この5年は誰でもウェルカムなお店とし、実際に「音が聞こえたから来た」、「看板があったから」と気軽に入ってくるお客様もいるそうです。

20年近くお店をやっていた中で、やはり大変だったのは2020年以降のコロナ禍。
「コロナは予想が全くできないものだったので、お客様が戻ってくるかとても心配でしたが、そこは風の時代だからでしょうか、上手い具合に客層も変わって、新規のお客様も増えてきました」と振り返ります。

Mitchyさんといえば「ラテンジャズ」の印象。他にも歌謡曲をジャズに乗せて歌ったりと、チャレンジ精神バツグンなシンガーでもあります。
一方で、他ジャンルの曲をジャズで歌うと「こんなのジャズじゃない」「なんで歌謡曲歌うの?」といった風当りも。
Mitchyさんは音楽のジャンル関係なくトライすることを「自分も人生弾けたいですし、ちょこちょこ、はみ出ていたくて(笑)。そしたら皆も何も言わなくなるでしょう?笑。『これがMitchyだもんね。やったらいいさ』みたいな。私はもっともっと『自分の音楽』をやりたいですね。やりたい事いっぱいです(笑)」といって 、明るく笑います。

表舞台に立つ者を待ち受ける壁は、苦さや悲しさという言葉では言い尽くせないほど、色々なものに取り巻かれているはず。
それでも、こんな話を颯爽と話すMitchyさんは、「だからこそ」引っ張りだこの沖縄の人気ジャズ歌手なのだろうと想像してしまいます。

歌の魅力については「歌のおかげで今があり、歌があるから元気で生きていられている」と話します。
「まだまだ人生は続きますが、歌に救われた人生でした。『今日もお店開けなきゃ』『メンバー来るし』『お客さん来てくれるし』と思ったら気が張りますし、調子悪い日も、歌っていたら不思議とだんだん元気になる。もうお店が生きがいです。たとえ高齢になって毎日歌えなくなくなっても、歌うことは忘れないでいたい」と目を輝かせます。

お店の雰囲気作りで大切にしていることは、雰囲気やステージはピシッとキメて、あとはゆるくすること。
そしてご自身に関しては、50歳すぎた頃から肩の荷がおりて楽しめるようになったのだそう。
どんなに飾り立てても歌は嘘がつけない、ステージでは歌手そのものが出る。
それならば自然体でいようと思っているのだとか。

他のお店にもよく飲みに行くというMitchyさん。お客様の立場にもなりながら出会いを増やしていくことで、お店や自身の人生も動かしているのだと話してくれました。
そして、SNS時代だからこそ、生身の人間が出す生の音や会話を大切にしたいというMitchyさん。
「私はパリピな性格なので(笑)、Facebookも大切だけどface to faceも大切。スパークリングのお酒が好きなので、止まらなくなってお店をハシゴしちゃうんですけどね(笑)」。

最後に「同じ曲でも毎回雰囲気が異なるのがジャズの魅力。歌謡曲がラテンジャズになったり、演歌がファンクジャズになったり。他のジャンルでも全部ジャズになっちゃいます。お若い方もたくさん来店されますし、観光客の皆さんも大歓迎です。ぜひ遊びにいらしてください」と締め括ってくれました。
沖縄の南国の夜をJAZZで彩って、JAZZで踊ってユンタク!

ハーベストムーンの客層は20代から90代までとさまざま。年配の男性客が多かったオープン当初に比べ、最近は女性客が増えました。
特に子育てを終えた余裕のある女性が、Mitchyさんに親近感を持ち、お洒落をして訪れることが多いのだとか。
「女性オーナーということもあって安心するみたいです。私自身が歌を歌いながら子供を育てあげたので。同じ境遇だと、どこか惹かれて来店につながっているのかもしれないですね。嬉しいです」とMitchyさんは喜びます。

場所柄、観光客や転勤族、単身赴任の常連さんも多いのだそう。
「単身赴任が終わる時に『さみしくなります』とお店に顔出してくれます。何年後かに皆さん大体来店してくれるので、これがまた嬉しいんですよ」と顔を綻ばせました。

沖縄ファンや沖縄リピーターさんこそ、ぜひ沖縄の人が普段使いするジャズ店「The Harvest Moon JAZZ CLUB」に立ち寄ってみませんか?
きっとまた違った沖縄の音楽文化が楽しめること間違いなし!
ぜひ皆さんの沖縄旅行に「沖縄ジャズ」をそっと入れてみてくださいね♪
The Harvest Moon JAZZ CLUB(ザ・ハーベストムーン・ジャズクラブ)
住所/沖縄県那覇市安里388-10 2階
営業/open20:00 start 21:00頃(close 2:00)※3ステージ
電話/098-885-0067
チャージ/1,500円(飲食別途)※スペシャル、イベント等は変動
定休日/日曜・火曜
アクセス/モノレール安里駅から徒歩3分
その他/禁煙席・喫煙席あり、周辺にコインP多数

この記事を書いた人小鍋 悠Keyword:



















