観光
2025.01.29
ダムの中で遊ぶ?!東村にある県内最大の「福地ダム」でカヤックと自然観察船クルーズを体験
沖縄本島北部、東海岸沿いに位置する東村。村のキャッチフレーズは「花と水とパインの村」で、その豊かな自然と土壌から育まれる特産品が数多くあり、特にはパイナップルが有名です。
前回は「東村村民の森 つつじエコパーク」でパークゴルフやアスレチック、バンガローなど1日を通した楽しみ方を取材。
やんばるの大自然で遊んで泊まって!「東村村民の森 つつじエコパーク」で1日まるっと楽しむ
今回はキャッチフレーズにもある東村の豊かな「水」を求めてやってきました!
那覇市内から沖縄自動車道を経由して車で1時間45分ほどで到着するのは、東村に流れる二級河川・福地川の本流に建設された「福地(ふくじ)ダム」。
福地ダムの総貯水容量は、5,500万立方メートル。分かりやすく例えると、なんと25メートルプールが9万杯分!
県内最大のダムとして洪水調節や発電、河川環境の保全などの役割のほか、県民の大事な水源として生活を支えています。
そして福地ダムでは、豊かな水を利用してここでしかできないアクティビティを体験することができます。
ゆったりとダムの湖面に浮かぶ!福地ダムのカヤック体験
沖縄でのカヌー、カヤックの体験といえば海や川が定番。初心者でも比較的簡単に季節問わず楽しめることから、体験したことある方も多いのではないでしょうか。
さらに沖縄でできる特別な体験として、福地ダムでは湖内でカヌー・カヤックに乗ることができます。
体験当日は、まず「つつじエコパーク」内のサービスセンターで受付を行います。体験は事前予約制で、公式サイトから申し込みができます。
服装は、舟に乗り降りの際に足元は水につかるので濡れても問題ない服装で参加しましょう。漕いでる間は腰元も濡れるので、下着を含む着替えとタオルを必ず持参してください。
夏場は水着やハーフパンツに、熱中症対策の帽子やサングラスの着用がおすすめ。冬場は上半身用の防寒着があると安心です。
レンタル用シューズの用意などは基本的に無いため、足元は滑りにくいサンダルやマリンシューズを履いていくのがベスト。
スマホなどの私物は持ち込み可能ですが、ダム内に水没してしまっても自己責任となるのでご注意を。
水深が浅いところでも20m、深いところで70m(!)もあるので拾い上げる事も難しく、改めてここがダムであることを思い知ります。
もし思い出の撮影用にスマートフォンやカメラを持っていきたいけど、水没は心配・・・!という方のために、施設所有のスマートフォンで撮影した写真を体験後にもらうことも出来ます。(希望の場合は事前に相談)
受付と準備ができたら施設の車、もしくは先導車に続いて自身の車で福地ダムへ向かいます。
つつじエコパークからは5分ほどで到着。目の前に広がる並々としたダム湖は眺めているだけでも爽快な気持ちになります。
まずは救命胴衣をつけ、ガイドさんから乗り方、漕ぎ方のレクチャーを受けます。
前に漕ぎ進めたい時は腕を水泳のクロールのフォームで動かし、後ろに進みたい時は背泳ぎのフォームで動かします。舟に乗る時はお尻→足の順で乗り込み、降りる時は足→お尻の順で降りましょう。
カヤックは1名乗りと2名乗りがあり、家族やカップルで同乗して一緒に楽しむことも可能。1人でマイペースに漕ぐのもよし、家族や友達と息を合わせて漕ぐのもいい思い出になります。
レクチャー通り慎重に乗り込み、パドルを動かし漕ぎ始めます。最初は不慣れだったパドルも、ガイドさんの指示で徐々に様になっていきます。
海のように波が立たないダム湖で、パドルを一漕ぎすると穏やかな湖面をスーッと進んでいくカヤック。
ガイドさんが進むルートやダム湖内のポイントを教えてくれるので、そこを目指して漕ぎ進めましょう。
ダムの四方を囲む東村の山々は緑いっぱい。よくよく観察しながら進んでいきます。ダム内に落ちる小さい滝もあり、近くに寄ると心地よい水音とともに水飛沫が上がっていました。
ガイドさんが、カヤックで進みながらときおり福地ダムについてや、湖面から見える植物などについても説明してくれますよ。
今回体験したのは1月の中旬。カヤックは水辺のアクティビティなので沖縄でも冬場は寒そうなイメージでしたが、防寒着があれば問題なく過ごせました。ガイドさんは「夏場は日差しが結構きついので、暑すぎない時期もおすすめですよ」とのこと。
夏場はダム内の噴水から放水するので、その周辺をカヤックで回ったりとまた夏らしい楽しみ方ができるそうです。
山に囲まれたダム湖内は、風が止むと静まり返ります。漕ぐ手を止めると、聞こえてくるのは船体に当たるかすかな水音、遠くの木々の揺れる音。
波のない湖面に反射する太陽の光は、海とはまた違った輝き方を見せます。
ここがダムだということで、特別贅沢に感じられる非日常空間。日々の生活のあれこれを一旦手放して、自然の中でカヤックに身をゆだねて揺られているだけでも、肩がふっと軽くなります。
体験時間は約90分。パドルを漕いでほどよい運動をしたはずなのに、カヤック体験が終わる頃には不思議とエネルギーチャージされた気分になれました。
体験後はつつじエコパークに戻り、着替えなどを済ませて解散となります。パーク内のシャワーも利用可能なので、この後すぐに観光や食事に出かける場合でも安心です。
みんなで気軽にダム内を楽しめる!自然観察船でダム湖クルーズ
カヌー・カヤック体験よりもっと気楽にダム内で楽しみたい!という場合は、ダム湖専用の自然観察船がおすすめです。
最大定員46名の船で、3歳以上から乗船可能なので家族やグループみんなで一緒に楽しむ事ができます。
自然観察船もカヤック同様、事前予約制。
体験当日は乗船時間の30分前までにつつじエコパーク内のサービスセンターで受付をします。受付後、お手洗いなどを済ませたら車で乗り場まで移動です。
まずはライフジャケットをつけ、注意事項を聞いたら桟橋を渡って乗船。所要時間は約60分、ダム湖クルーズのスタートです。
四方を豊かな森で囲まれているダム湖内をグングン進んでいく船は、ジャングルクルーズのような冒険感も味わえます。湖面なので大きな波もなく、船酔いの心配もありません。
運行中は、スタッフさんがパネル写真を用いてダムやこの集落の歴史、周辺の自然についても解説してくれました。
途中、ダム湖内にあらわれた「ハラマタガー」の看板。「ガー」とは沖縄の方言で「川」を意味し、「ハラマタガー」はダムになる以前にこの地域にあった川の名前だそう。
他にも、湖岸に丸く窪んでいる箇所があり、そこは昔の炭焼き場だったと説明してくれました。ダムになる前、元々は林業を生業にしていた集落だった頃の面影を残す場所などもみる事ができます。
水面を走る様に飛んでいく鳥を時折見かけ、ガイドさんに何の鳥なのか尋ねると「あれは鴨ですね!泳ぐのは得意だけど、飛ぶのはあんまり得意じゃないみたいです」と詳しく教えてくれました。
三線が得意なスタッフさんが乗船している場合は、タイミングをみて弾いてくれることもあるそうです。ダムの湖面で三線の音色を聞くなんて超レア体験。一度は体験してみたいですね。
あっという間のクルーズが終わり、乗船場所に戻ってライフジャケットを返却したら体験終了です。
やんばるの自然を感じられる県内最大の福地ダム
ダムと聞くと人工的な施設としてイメージしますが、実際にダム内まで訪れてみると自然の中にできているものだと感じます。
福地ダム資料館まで訪れると展示物やパネルでより詳しくダムの役割や自然、生態系に対しての配慮なども合わせて学ぶ事ができます。今回訪れた時には、福地ダム50周年記念の企画展示もありました。
またこちらの資料館で、ダム好きの方にはお馴染みの「ダムカード」と「インフラカード」を貰うこともできます。
2024年12月20日から福地ダム50周年を記念した村内を巡るデジタルスタンプラリーを開催中で、限定の50周年記念ダムカードと首里城建設に使われている材木を使用したスマホスタンドもプレゼント中!なくなり次第終了とのことなので、興味のある方は要チェックです。
ダム湖内でのカヌー・カヤック体験と自然観察船でのクルーズ体験。それぞれ東村観光の合間に体験するのも良いですし、丸一日福地ダムを楽しみたい場合は両方体験するのもおすすめ。
これまではダムを訪れてもその大きさに驚くだけでしたが、福地ダムではそれだけじゃない深い体験ができました。豊かな水があることの重要性、新たなダムの楽しみ方とやんばるの自然を存分に感じることができましたよ。
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