観光
2023.06.30
沖縄本島最北端のまち国頭村の辺土名をぶらり散歩!漁港セリや地元の三線の音色でローカル旅三昧
こんにちは!沖縄さんぽ好きのライター小鍋悠です。
日頃よくリュックと水筒を持って沖縄本島内を巡っていますが、今回は、沖縄本島北端にある国頭村の辺土名(へんとな)エリアをぶらり散歩してみました!
辺土名がある国頭村は、2021年に世界遺産に登録された沖縄本島北部3村の1つ。辺土名は国頭村役場所在地という村のメインエリアで、昔ながらのまち並みと新しいお洒落なお店が軒を並べる新旧混在のユニークなまちです。今回は朝から夜までどっぷり、地元の人たちの暮らしぶりが垣間見えるローカル旅を楽しんできました!
目 次
知っている人はツウ!辺土名漁港の朝のセリを見学!
最初にやってきたのは辺土名漁港。辺土名大通り会会長の岩渕そよさんより「毎朝10時から漁港でやっている朝セリおすすめですよ」と教えてもらったので、さっそく見学に。開始30分前に着きましたが、新鮮な魚介類を求めて仲買人や関係者などがいっぱい。
獲れたての新鮮な魚介類を見るのは、筆者は相当久しぶり。漁師だった亡き祖父が庭先で魚をさばいているのを見た小学生ぶりかも!
セリが行われました。イケメンのセリ長・大河内海さんの威勢のいい掛け声とともに、次々と競り落とされていきます。参加者の皆さんの真剣な顔と笑顔に囲まれてなごやかな雰囲気!あっという間に15分程でセリが終わりました。
大河内さんは「今日は高級魚アカジンやイラブチャー、タコ、夜光貝などが出ていました。うちのセリは魚を売る人も買う人も辺土名の方が多いのでアットホームです。買う人はほぼ毎日来ますし、今日は遠くからも来ていましたよ」と笑顔。
愛知県出身の大河内さんは、大学4年生の春休みに名護市や国頭村、離島など沖縄エリアで様々な体験をしたなかで、国頭の定置網漁が忘れられず、大学を卒業して働いていた地元バンクの仕事を辞めて、1年前に辺土名に移住。
「セリがやりたかったんです(笑)。辺土名は昔ながらの地元の良さが残っていますし、1次産業が目に見えて誇りに思います。住民の皆さんシャイだけどアットホームで優しくて、辺土名に来たら毎日魚が食べられますよ」と、くしゃっとした笑顔を見せました。
辺土名漁港でのセリは一般見学もOK。観光客も見学できるので、ローカル旅が好きな人は、国頭ドライブのはじめに訪れてみてはいかがでしょうか?
[基本情報]国頭漁業協同組合
住所/沖縄県国頭村字辺土名183-4
電話/0980-41-2588
http://instagram.com/jf_kunigami
辺土名の名物漁師と遭遇!魚を捕まえる秘訣と道具とは
先出の辺土名大通り会会長の岩渕そよさんが「あい!名物漁師のカツさんがいる~!」と筆者を手招き。紹介してもらった山城善勝さん(80)、通称カツさんは漁師歴約70年というベテラン漁師。辺土名の最高齢クラスの漁師だそう。いやはや、すごい方を捕獲してしまいました。
筆者が「もしや(カツさんの)船も見れますか?」とカツさんに聞いたところ、即OK。取材班を船まで誘導し、「スルカシー」という仕事道具を見せてくれました。手作りでつくったという竹製の棒の両端には、白いビニールと鎖。この白い色や鎖の音に反応して逃げる魚を網に追いやり魚を捕まえるのだとか。
「海では白い色が目立つわけよ。水中では陸上の何十倍も音が聞こえるから、棒の音にびっくりした魚を獲ってる。サメは音がするとエサだと思って近寄ってくる。小さい魚は音で逃げる。サメは自分が1番だと思っているから、サメが来たら僕も逃げる」と笑います。
沖縄芸能の舞台でよく使われる弦楽器「胡弓(こきゅう)」をおもむろに取り出し、カツさんは弾きながら色々話してくれました。
「僕は(うるま市)石川出身。50年前に辺土名に来た時は、ここ(漁港)は海だった。僕は漁は1人でやってる。普通は5人~10人でやるけど、人間は3人以上いると十人十色だからね。ズル休みする人がでてくるから(笑)。僕は今年80歳だけど、現役で頑張れている秘訣は『死ぬまで(漁を)やること』」。
腕にハチがついても微動だにしない山城さん。タバコをふかしながら「大丈夫だよ~」と優しく微笑みます。自然と共に生きる者は自然との付き合いが上手い。
※真似をしないでください
「若い人もいて活気がある漁港。辺土名や国頭の海に惚れた人が働いていて、皆カッコいいです!」
辺土名のまち歩きをして迷子になったらココ!地域のコミュニティの中心「辺土名公民館」
次に岩渕さんが案内してくれたのは、辺土名漁港から徒歩約5分の「辺土名公民館」。
公民館のすぐ隣には、拝所「世神の宮(ゆーがみのみや)」。辺土名に古くから住む5つの血縁集団、屋宿(ヤジク)の5つの拝所(守護神)をこの世神の森1ヶ所に集めて森御嶽(うたき)にしたものだそうで、創設は沖縄の琉球王朝時代の1700年代とも1550年代とも言われているとか。
辺土名区区長の前田善勇さんは「正月の初詣や安全祈願、豊年祭、7月モーイなど、地域の行事では欠かせない場所です。地域の祭祀ではまずここで拝んだあと他の場所に行く。ここは神の山といわれていましてね、木1本も倒せない。どうしても生木を切らなきゃいけない時はお祓いしてから。遠くからもお参りに来られる方もいますよ。夕方になると、子供たちが山を駆け回って遊んでいます(笑)」と前田さん。
ちなみに、国頭村で区長が公民館に常勤しているのは辺土名と奥間の2ヶ所とのレア情報をGet!前田さんは以前はホテルマンだったそうで、「前田さん、ジェントルマンでカッコいいですよね~」との岩渕さんに前田さんは照れます。
取材中も、公民館に訪れた地元の方が世神の宮に一礼をしてから公民館に入る姿も見られるほど、地域の尊い拝所「世神の宮」。辺土名さんぽで訪れたら、ぜひ手を合わせたい場所です。
[基本情報]辺土名地区公民館
住所/沖縄県国頭村字辺土名791番地
電話/0980-41-2347
※世神の宮の庭にある屋外トイレは常時使用OK
「ここにくると、何か辺土名のパワーが集まっている感じがします!辺土名公民館は気軽に訪れられる憩いのスペース。イケメン&ダンディーな区長さんが常駐しているのでおしゃべりしてみて♪」
辺土名のくらしの中で三線!ホームガーデンに美しい音が鳴り響く
次に訪れたのは、地域の住民・平安山和恵さんのお宅。先出の岩渕さんが月1回ほど三線の練習に訪れているお宅だそうで、ホームガーデンがとにかくキレイなのだとか。
まるで外国のような美しいホームガーデン!いやはや、筆者は絶句しました!
平安山さんの趣味が高じて作ったとは思えない素敵なお庭。ホームコンサートも度々開催しているそうですよ♪
はじまりました!三線を弾いているのは、岩渕さんと又吉政伸さん(写真奥)、平安山英信さん(手前)。
「この人たちは、いつも飽きずに2時間ぐらい弾いてから帰る(笑)。工工四(三線の楽譜)があれば、なんでも弾く」と、こちらのお宅に住む和恵さんは微笑みます。
「辺土名はいい所よ~。人の事を悪く言うひとはいないし、みんな親切。外から移住してきた人は『住みやすいまち』と言うね。そよさんは全てに前向きで斬新だし、忙しくても全ての行事や集まりなどに参加する優しい人」と和恵さんは、にっこり。
こちらは、和恵さんがくれたフルーツ「グミ」。沖縄42年の筆者も初めてみる珍しい果物。酸っぱくて自然の旨味が美味でした♪
(写真左から)平安山和恵さんほか3人。
夜長の気持ちいい風に三線の音がそよぐこと1時間。辺土名のローカルでゆったりとした雰囲気のなか、貴重な辺土名の三線の音色をありがとうございましたー!
「生きがいづくりのためにはじめた練習会ですが、真面目な会話も楽しい!地元ならではの話が聞けて楽しい!地元の歌を練習できる貴重な機会。私に声をかけてくれたら三線体験したい方、つなぎます!笑」
沖縄本島最北端の国頭村でテキーラnight!!「夜の公民館 MITSU BAR」
最後に訪れたのは、岩渕さんが「沖縄本島最北端のテキーラバー」と教えてくれた「夜の公民館 MITSU BAR」。
オーナーで岩渕さんの実妹・金城会美さんが営んでいるお店で、店名は金城さんが以前にパーソナリティーを務めていたFMやんばる「エンジェルとの密な夜」の番組名から由来。
よく見ると「密」が「MITSU」に!「公民館のように人がたくさん集う場所にしたい」と金城さんの想いが込められています。
国頭村では珍しく個室があるお店だそうで、カラオケやダーツ、卓球も揃います。飲み放題や歌い放題もあります。カラオケは1曲200円!
「テキーラではじまりテキーラで終われば、2日酔いしないわよ♪」。feel crewと金城姉妹が乾杯!
お店にはたくさんのお酒がズラっ。ウィスキー、ハイボール、カクテル、チューハイ、ワイン、泡盛などの飲み放題プランもあるそうですよ♪
「私がテキーラにハマった理由は、早く酔えて2日酔いがないからなの(笑)」。テキーラの香りやコクなど、テキーラ1つ1つ異なる個性もたまらなく好きだと話します。
沖縄旅行の最後は、沖縄本島最北端の国頭で地元の人とテキーラnight。これぞローカル旅!
フツーの沖縄旅行に飽きたという人や国頭をもっと知りたいという人に、かなりオススメです!
夜の公民館「MITSU BAR」
住所:国頭村字辺土名1713-2 2F
電話:0980-43-7257
時間:21時~翌3時頃
休日:不定休
駐車場:有り
https://instagram.com/mitsubar0108
※飲み放題有り。昼飲み、貸し切り等相談可
「私の妹がやっている沖縄本島最北端のテキーラbarです!妹はテキーラの話をさせると止まりません!笑」
これにて、ローカル旅「辺土名さんぽ」は終了です!
1日だけではとても辺土名の魅力の全てはお伝えできませんが、少しでも辺土名のローカルな魅力や住民の皆さんの温かさが伝わったらすごく嬉しいです。
沖縄本島最北端の辺戸岬へのドライブの行き帰りに、まずは辺土名のスーパーで飲み物やおやつを買いに立ち寄ってみませんか?
〈参考文献〉
・辺土名誌〈下巻〉(2007年7月/国頭村字辺土名公民館)
・くんじゃん(2016年10月31日/国頭村役場)
・国頭村の今昔(1970年11月1日/沖縄風土記刊行会)
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