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2022.09.06

案内親方と巡る世界遺産訪問 〜琉球王国の一族が眠る陵墓〜 那覇市「玉陵(たまうどぅん)」

那覇市首里金城町、首里城の近くにある「玉陵(たまうどぅん)」は琉球王国の一族が眠るお墓。世界遺産に登録され、日本の史跡にも指定されています。

また国宝や沖縄県の有形文化財の指定も受けており、とにかく歴史的価値の高い場所なのです。首里城公園や識名園を訪ねた時、足を延ばしてみませんか。

琉球史をガイドする「案内親方」と資料館へ

「玉陵」は敷地全体が世界遺産で国の史跡。琉球王国の第二尚氏王統の歴代国王が葬られている陵墓です。

沖縄戦では首里城に第32軍の司令部が置かれたため、米軍の艦砲射撃により「玉陵」も東室・西室が破壊されるという大きな被害を受けました。その後1974年から3年あまりの時間をかけ、修復作業を実施。2000年に世界遺産登録という歴史をたどりました。

琉球王国の歴史を語る上で欠かせない場所ですので、那覇市をはじめ県内史跡めぐりに詳しい「案内親方(ウェーカタ)」の奥濱眞市(おくはま・しんいち)さんにガイドをお願いしました。

「案内親方」とは那覇市文化財課が主催する講座を受講し、文化財に関する厳しい試験に合格したエキスパート。その深い知識で、史跡を分かりやすく解説してくれます。個人で依頼できますので、謝礼や交通費を確認の上お申し込みください。

詳細や登録者名簿はこちらです。

<那覇市 案内親方・識名里主ご利用の手引き>
https://www.city.naha.okinawa.jp/kankou/bunkazai/annnaioyakata.html

「沖縄の史跡はお任せください」と語る今回の案内親方、奥濱さんは約30年のキャリアを持つベテラン。

玉陵を見学する前に「資料館で予備知識を入れた方が良さそう」ということで、奥濱さんの解説を聞きながら資料を見ます。

第二尚氏王統・初代国王「尚円王」が眠る場所

最初に学ぶのは琉球王国の歴史。1372年、察度王が弟の泰期を中国につかわせたのをきっかけに、琉球は中国と国交を結びました。

14世紀、沖縄は南山・中山・北山と三つに分けた「三山時代」が100年以上続きました。そして1429年、第一尚氏王統の尚巴志王が三山を統一し「琉球王国」が成立したと考えられています。

15世紀以降、日本・朝鮮・東南アジアの各地と交易を行ったのが「第一尚氏王統時代」。中央集権化に成功し勢力を拡大していったのが「第二尚氏王統時代」といわれ、それぞれの特徴を持ちながら、琉球独自の文化が開花します。

「玉陵は尚真王のお父さん、つまり尚円王の遺骨を改葬するために作られました。そして第二尚氏王統の陵墓となっていきます」と語る奥濱さん。

50年以上政権が続いた時代、中国からの貢物や国内で使いきれないものを東南アジアなどに売るなどして、貿易によって富を増やしていったそうです。そのような背景もあり、尚真王は「玉陵」という立派なお墓をつくることができたのかもしれません。

形や原料で時代背景伝える「厨子」

資料館のジオラマを指で差しながら、「玉陵の墓室は三つに分かれていて、中室は洗骨前の遺骸を安置する部屋です。東室は洗骨後の王と王妃、西室は王子や王女、王族が葬られたそうです」と奥濱さんが解説。

ちなみに洗骨とは文字通り骨を洗うことで、死者を土葬か風葬し、数年後に遺骨を洗って清め再び埋葬するという葬制。沖縄では戦後までこの風習が残っていたそうです。

資料館にはさまざまな展示物があります。蔵骨器である「厨子(ジーシ)」は石をくり抜いた物、焼き物などさまざまな形状がある立派な造形物です。

「焼き物がまだ入ってきていない時代には石をくり抜いた厨子が使われていたなど、時代背景で変化が起こりました。歴史を感じることができるのが厨子なんですよ」と奥濱さん。

他にも香炉やとっくり、壺・鉢などの多くの副葬品を保管しているのだそうです。

石垣の積み方に門の作り、細部にも工夫

資料館で玉陵の概要や成り立ちを学んだら、いよいよ玉陵を観覧します。

沖縄戦で大きな被害を受けた玉陵でしたが、分散された文化財を那覇市が買い集め、地域の長老たちに聞き取り調査を繰り返して復元がかなったそうです。

「戦争により資料が消失したため、聞き取りするしかありませんでした。少ないヒントを手掛かりに苦労を重ね、復元に至りました」と奥濱さんは教えてくれました。

驚いたのは、玉陵の一般公開が世界遺産登録後の2000年からだということ。琉球の歴史を語る上でシンボルとなる史跡ですが、私たち一般人が目にできるようになってから、まだ日が浅いことを知りました。

玉陵の正面に立つと、立派な門が構えていることに気付きます。石垣はあいかた積みという沖縄独特の積み方で、奥濱さんいわく「パズルのように形がフックになっていて石垣がズレない」そうです。

奥にある中の門は入り口が斜めになっていて、向こう側をのぞくことができません。これは沖縄の家屋などで見られる魔除けの壁「ひんぷん」のような効果を期待したのだそう。目隠しとしての機能もあり、入り口が重ならないようにして悪いものがストレートに入ってこないように、という沖縄文化の特徴が出ています。

「玉陵碑」が伝える沖縄戦

最初の門をくぐり抜けると大きな広場です。ここには魔除けのために、神の島として知られる久高島の珊瑚が敷かれているそうです。昔は正月に砂を持参してまく風習があったのだそう。

さらに、左側にあるのは1501年に建てられた長い歴史を持つ「玉陵碑」という石碑で、玉陵に葬られるべき人々が記されていることを教わりました。

「玉陵碑」を眺めてみると、尚真王をはじめ8人の名前が記されていました。背くのであれば「天に仰ぎ、地に伏して祟るべし」、というおどろおどろしい結びの言葉も目に入りました。

また、尚真王の長男と次男の名前がそこに記されていないことから、王室内には勢力の対立などの何らかの確執があったと考えられているそうです。

詳しく知ることで華々しい出来事とは真逆の裏エピソードがいろいろあることを理解でき、国王一族の物語の奧深さを感じました。この「玉陵碑」は、沖縄県の有形文化財に指定されています。

加えて、「玉陵碑」は銃弾の跡をいくつか確認でき、沖縄戦のすさまじさを感じ取る場所だともいえます。

墓室が示す琉球王国の風習

中の門をくぐり抜けると、いよいよ玉陵の墓室が現れます。厳かな雰囲気に包まれ、間近で見るとかなりの迫力を感じます。三棟の墓室は左手から、東室・中室・西室の順に並んでいます。

東室に並ぶ石獅子は子どもをあやす母獅子、右は玉紐と遊ぶ父獅子を表現。「石彫獅子」も沖縄県の有形文化財に指定されています。

また墓室三棟と二棟の石牆(せきしょう)は国宝に指定されていますので、玉陵の敷地内には実に多くの遺産があることがお分かりいただけると思います。

※詳しくは「文化遺産オンライン」でチェック
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/search/freetext:玉陵/sorttype:_

中庭の庭井戸と火葬場の跡も確認できました。火葬場は 洗骨後の遺体に火を入れる場所です。

また玉陵に遺体を運ぶ時は「がん」と呼ばれる籠に乗せていたそうですが、「がん」が大きいために門を通過できなかったそう。誰かが亡くなる度に石垣を崩して門を開き、「がん」を通していたとのことです。

どうしてわざわざそんな事を!?

思わず疑問に感じてしまいますが、「がん」が頻繁に玉陵の門を通ることがないようにという願いから。「なるべく死者が出ないように、という思いが込められているんですね」という奥濱さんの言葉がしみじみと響いてきました。

縁起をかついで文化や風習を大切にする、現代の沖縄の人々の思いにもつながるエピソードだと感じます。

史跡めぐりで触れる心の文化

「歴史の浪漫から学ぶ心の文化があります」と語る奥濱さん。

「ヨーロッパの外交文献に『レキオ』という表記がありますが琉球のことです。沖縄の文献は戦争で焼けてしまい、残っているものが少ないですが、外国の文献には琉球が出てくるんですね」と続けて語ります。

小さい島国ながら、海外との交易を重ねて世界にその名を轟かせた、かつての琉球。「沖縄に来て人生観が変わる人が多いです」と多くの出会いを重ねた奥濱さんが語るように、琉球王国を守り続けた王家一族が眠る玉陵に来れば、今まで感じたことのない気持ちが湧き出るかもしれません。

自分の足で、また詳しいガイドが必要な時は「案内親方」の予約をして、沖縄が誇る遺産の数々に触れる旅をお楽しみください。

[基本情報]玉陵(たまうどぅん)
住所:沖縄県那覇市首里金城町1-33
電話:098-885-2861
営業時間:9:00~18:00(入場締め切り 17:30)
観覧料:大人 300円/小人(中学生以下)150円
​​定休日:年中無休
駐車場:なし(首里城公園駐車場の利用が便利)
<公式サイト> https://www.city.naha.okinawa.jp/kankou/bunkazai/tamaudun.html

執筆協力:Shotaro
撮影・編集:饒波貴子

nohatakako
この記事を書いた人饒波 貴子

那覇市出身・在住。OL生活、週刊レキオ編集室勤務を経て、フリーライターに。現在は沖縄のエンターテインメントおよび店舗紹介を中心に取材・執筆。ウェブマガジン「琉球新報Style」、雑誌「porte」ほかで執筆中。

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