食事
2021.10.04
那覇市の首里にある憩いのカフェ。ヴィーガン料理も提供する「cafe Lotta」
首里駅から歩いて3分、首里鳥堀町で長らく愛されながらも閉店に至った珈琲専科 比韻豆 (ビーインズ) の面影を育みながら、主にヴィーガン料理を提供する「cafe Lotta(カフェ ロッタ)」という素朴で可愛らしいお店があります。
店内は、木とペンダントライトが灯る、落ち着きのある内装になっています。趣のある雰囲気でありながら、Wi-Fi対応、電源も利用でき、クレジットカードも対応予定とのこと。
店主の嘉味田さんは、いつも優しく出迎えてくれます。同じテーブルで、みんな一緒に微笑みあって食べれられる、誰でも来られる公民館のようなお店にしたいという、気張らない店主の気持ちが魅力的なお店です。
シンプルな木とガラス格子の入り口、小さなペンダントライトで店名を照らしています。タイルと木を組み合わせた、懐かしい雰囲気も感じられる階段は、大人も子供も掴めるよう高さの違う手すりがあります。
入り口を入るとナチュラルな「靴袋」があり、スリッパに履き替えて2階へ上がります。店内には子どもが遊べるキッズスペースがあり、子連れママでも安心して過ごせます。
古き良き首里の思い出と「今」をあふれる優しさで紡ぐカフェ
20年ほど前、同じカフェロッタという名前で喫茶店を開いていた店主。結婚を機にお店を閉めた後、2人の娘を授かって幸せに満ちた暮らしを送っていました。
店主の子どもが赤ちゃんだった頃、ある雑貨屋に訪れた時のこと。靴を脱いで上がり、子供が遊べる畳間がある。抱っこ紐からお子さんを降ろし、店内の雑貨を見学して心身ともに元気をもらったそうです。その経験から自分のお店を開くなら、子育て中のお母さんが落ち着いてコーヒーを飲めるような場所にしたいと思い始めました。
しかしその後、旦那さまが病で他界してしまったのです。2人の子どもと生きていくために、「自分ひとりでできることって何だろう?」とアーユルヴェーダのセラピストを目指して修行をしていたところ、アーユルヴェーダの恩師に「本当にこのまま料理の道に進まなくていいの?」と聞かれて、その一言をきっかけに「やっぱり料理かもしれない」と決心したそうです。
「いつ自分の身にも何が起こるかわからない。過去にもっとこうしたらよかったなと感じた経験を、ロッタという店やこれからの自分の人生に生かしたい」と思い、現在のlottaが生まれました。
Lottaという店名は、スウェーデンの児童文学に登場するロッタちゃんという女の子の名前から取ったもの。ロッタちゃんがとても好きだった店主は、その女の子の部屋に遊びに来たようなイメージのお店にしたかったそうです。
その後、偶然に今の店舗物件と出会いました。当時は首里周辺は観光客が多く、ひとりでカフェを営業するのは無理だと思い、最初はテイクアウトのお弁当やケイタリングだけを販売しようと考えていたそう。
おなじテーブルで、ほほえみあって食べる食事を提供したい
島豆腐のベジタコライス(1,000円)
ヴィーガン料理を提供している理由は、子供の頃の食生活が影響してるという。父や子どもたちは肉好きだった一方、母親はお肉を食べられない方で、家族の外食には同行せずに、一人で食事をしていた過去があったそう。
大人になってから、糖質制限中の方があれもこれも食べられない場面を見たことも引き金となり、「お肉が好きな人もそうでない人も、それぞれ好きなものを同じテーブルで仲良く一緒に食べられたら」という思いから、メインの食事に関しては、お肉もお魚もお野菜も取り扱うことにしたそうです。
特にオススメの食事は、島豆腐を使ったタコライス。店主曰く、「沖縄の島豆腐は本当に美味しい。アレンジすることで本物のお肉を食べているような満足感が得られる」とのこと。
ロッタのスイーツプレート(1,200円)
スイーツだけは全てヴィーガンで提供しており、バターや生クリーム、卵、蜂蜜など動物性の原料はもちろん、白糖も不使用です。
でも食べると驚くほど甘みとコクがあり、大満足のスイーツ。食事にプラスして、食後の楽しみに食べるスイーツをできるだけ体に優しく消化に負担がないようにと考えながらメニューづくりをしているそうです。
その優しい食事を引き立てるお皿は、県内で購入した沖縄のやちむんと琉球ガラスの他、海外のアンティーク食器で、パズルのピースを集めるように自分のイメージに合うものを収集したのだそう。こうして何度も試行錯誤しながらロッタの原点を形作っていきました。
テイクアウトをするなら、ダイエット中の方でも安心して食べられる低糖質弁当。ヘルシーなおかずの下は、カリフラワーをチョップしたライスとなっています。前日18時までにご予約くださいね。
多くの経験から得た、店主の思いを少しずつ形に
お店を開店する直前、首里城の火災があり、こんな時期に開店していいものかと迷い、一時はカフェの開店資金を寄付しようかとも考えたそうです。そんな中、古い友人から「お店を開けて、自分ができることをやってみたら?」と言われ、開店を決意。首里に住んでいる方々や首里に思いを馳せて歩かれている方に、ほっとできる休憩所を作りたいと思ったそうです。
その後、コロナ禍となり、更なる試練の日々。2021年の年始に、首里に住むおばあちゃんから「たまには友達とこの店で会いたいけれど、お店閉めてるんだね」という声を聞き、営業しようか悩んだそうです。その言葉がきっかけとなり、おばあちゃんたちが安心してお茶できるよう貸切を始めようと思いつき、現在は1日1組限定「おひとりさまロッタ」として貸切ができるようになりました。
店主の嘉味田さんは、今後はお弁当だけでなく惣菜も販売したいと考えているとか。「食卓が華やいだり、お母さんたちがホッとできるような食事をお出しできたらなと思っています」と語る店主の深い優しさと栄養が詰め込まれたメニューをゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。
[基本情報]cafe Lotta
住所:沖縄県那覇市首里鳥堀町1-45 2F
電話:098-975-9277
営業:12:00〜16:00(L.0 15:30)
定休日:土曜日、日曜日、月曜日
駐車場:なし(近隣にコインパーキングあり)
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/lotta.prays.for.shuri/
文・撮影/山下こずえ
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