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2021.06.28

【沖縄の古民家を訪ねて】リピーター多数! やんばるの森にある隠れ家的な人気店、本部町「そば処 夢の舎」

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

目に映った瞬間に歴史を感じ、中に入るとどこか懐かしく、ほっと落ち着けるのが古民家。日本全国各地に多数あり、その土地ならではの家屋作りの工夫で、時を経た現在も人々の暮らしに根付いています。

沖縄県内にも多くあり、現在は飲食施設として新たな魅力を放つ古民家も。ぜひ訪ねてほしい古民家の飲食店を、一軒ずつ探しながら紹介していきます。

今回は5回目。自然に恵まれた本島北部のヤンバルと呼ばれる地域にある、知る人ぞ知る名店「そば処 夢の舎(ゆめのや)」を紹介。優しくて親しみやすい店主たえさんが、笑顔いっぱいで迎えてくれます。

【沖縄の古民家を訪ねて】過去のシリーズはこちら▼

たえさんの笑顔とかわいいベッキーが歓迎

外観 本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

原生林が多く残り、自然を間近に感じることができる本部町の森。その奥深くにある「そば処 夢の舎」は、隠れ家的な沖縄そば屋さん。

那覇からは遠くて基本「金・土・日の週末営業」という、正直行きにくいと思えるお店なのですが、それでもとにかく人気。その理由を深掘りしましょう。

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ 看板犬 本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

趣のある門をくぐってやんばるらしい木々に囲まれた庭に入ったら、このお店のアイドル犬・ベッキーが歓迎してくれました。ベッキーはもともと保護犬だったとのこと。元気で人懐っこくて、かわいいアイドル犬に癒されました。

店主 たえさん 本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

そして古民家を改装した店内と厨房を眺めていると、どこからともなく元気な声が。その声の主は店主の又吉妙子さんで「たえさん」と呼ばれ多くの人に慕われています。

帰り仕度をして会計に向かうお客さんに「携帯持ったか〜?」と忘れ物確認の声かけをするたえさん。その声に誰もが思わず笑顔になり、気さくにコミュニケーションを取るお人柄が伝わってきます。

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

それで店内はいつも和やかムードなのだと納得していると、「あ、バッタがいる!」というたえさんのつぶやきが。店の中にバッタが入ってくる、自然に囲まれた環境ならではの光景にも出合えました。

島言葉たっぷりのイントネーションで話すたえさんなので、てっきりウチナーンチュだと思っていましたが、実は三重県出身。思わずビックリでしたが、沖縄に来たきっかけを聞いてみるとご主人・又吉榮光さんとのなれ初めが関係していました。

三重と沖縄、10年間手紙を交わし夫婦に

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

ご主人とたえさんの出会いは、なんと雑誌の文通コーナー。14歳だったたえさんは、10年間も手紙でやり取りを交わしてご主人と交流し、24歳の時に単身沖縄へ。当時の沖縄は本土復帰前で、パスポートを所持しての渡航でした。勇気あるたえさんの行動で会うことが叶った2人はドラマのような大恋愛を経て、結婚。

結婚後の1975年、「沖縄国際海洋博覧会」開催中にバスガイドをしていたというたえさん。「ガイドの仕事は楽しくて、沖縄のさまざまな事を学ぶことができました」と振り返ります。

しばらく続けたそうですが、29歳の時には転身して那覇市首里で軽食店を開業。「今から40年近く前、首里で“チッチ”という店をやっていました」と語り、学校の近くで毎日学生たちが来店し賑わっていた思い出を教えてくれました。

たこ焼きなど、学生が食べたい軽食をメニューにしていたそうですが、「その時の学生たちは今はもう還暦オーバー。お孫さんを連れてここに遊びに来てくれます」とほほ笑みながら語ってくれました。

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

その後はメニューを替え沖縄そば屋になり、ご主人は陶芸家の道へと進んだそうです。そして陶芸に没頭したいというご主人と共に現在の店舗となる本部町の森へ。

陶芸の窯元は「器に夢をのせる」思いを込め「夢坏窯(ゆめつきがま)」と名付け、たえさんのそば屋は「夢の舎」として新たなスタートを切りました。

熟成ガジュマルが風味の決め手!ひと味違う沖縄そば

沖縄そば 本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

ご主人とたえさん。夫婦の夢にあふれたこの場所で営業する「夢の舎」は、ロケーションの良さと沖縄のオバーを感じさせるたえさんのお人柄もさることながら、人気を上乗せしている秘密はおいしい沖縄そば。

開店当時はご主人が麺を打ち、たえさんはスープ作りを担当。ご主人のお母さまから受け継いだ味を自己流でアレンジしていたそうです。そして研究に研究を重ね、現在の味にたどり着いたそうですよ。お庭の席でさわやかな風に吹かれながら、自慢のおそばをいただきます!

沖縄そば 本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

ひと口味わい、「今まで食べた沖縄そばではない!」というのが素直な感想。麺に特徴がありました。

「私の沖縄そばの麺は木灰手打ち麺。4〜5年熟成させた香り高いガジュマルの木灰の風味を活かして、おそばを作ります。琉球大学の教授に監修してもらって、ガジュマルの木灰が一番良いということになったんですよ」とたえさん。

生麺特有のコシのある食感で、手もみによる縮れがスープと絶妙に絡み合います。

沖縄そば 本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

そのこだわりは麺だけではなくスープにも。豚骨・鰹・野菜をふんだんに使い、素材のうま味が凝縮されたあっさり味のヘルシースープです。

この日オーダーしたのは「海ぶどう 沖縄そば 三枚肉入り」で1100円。海ぶどうがたっぷり盛られた、ぜいたくな一品です。海ぶどうの塩気があっさりしたスープにマッチ。つるんとした麺とプチプチした海ブドウの食感のコントラストもくせになります。やわらかな三枚肉も加わり本当においしかったです。

沖縄そば 本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

付け合わせにも注目! ゴーヤーとニンジンの炒め物は、食材のうま味を引き出した素朴な味わい。ひそかな人気メニュー、ウムクジの天ぷらは過去にテレビ局の取材を受けたこともあり、サッと揚げる珍しい調理法だそうです。確かな味で人気なのがすぐに理解できました。

沖縄県認定の「琉球料理伝承人」としても知られている、たえさん。島野菜など県産食材の特徴を生かした調理法や味付けを、常に工夫しているのだと思います。

やんばるの森で食する、こだわりの沖縄そば

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

たえさんの話に耳を傾けると、「沖縄そばは昔、殿様しか食べられなかった高級なごちそうだと姑から聞いていました。でも正直言って、過去食べてきた沖縄そばをおいしいと思ったことがなかったんです」とのこと。

そんなたえさんは伝統的な沖縄そばの作り方を取り入れながら良いものを残し、取捨選択をして理想の味を追い求めたのです。そのこだわりを知ってか知らずか、たえさんのおそばを食べた人は「おいしい!」と笑顔になり、多くの人がファンになります。

注文を受けた後に麺をゆでるのでその分少しだけ時間がかかりますが、待ち時間もやんばるという土地で沖縄そばをいただく楽しみのひとつ。ゆでたての「たえさんご自慢の沖縄そば」を庭の澄んだ空気の中で口にするのは格別でした。作り込まれていない自然のままの草花や緑の中で食事できる機会はそうそうなく、リフレッシュできました。

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

北部に出向く時はまた訪ねよう、おいしい沖縄そばを食べに行こうと帰り際にはそう決めていましたが、取材当時(2020年末)の話では「最近は週末くらいしか営業していません」とたえさん。

元々は陶芸家のご主人と始めたお店ですが、ご主人が体調を崩し現在は1人で切り盛りしています。また近隣に住んでいると思っていたら、自宅は那覇市内。「一週間の半分は首里の自宅、半分は開店するために本部町にいます。ここにいる時はトレーラーで寝泊まりしているんですよ」という話にビックリ! 数日おきに長距離を移動し、車中泊で過ごしているとは!

現在72歳のたえさんですが、オバーとは言えないパワーと元気とたくましさあふれる女性です。

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

名残惜しくお店を後にする時にお土産としていただいたのが、シャツ型のカラフルなペーパーに包まれた「つまようじ」。

たえさんの似顔絵スタンプが押されたものもあり、かわいらしくておいしい沖縄そばの味がよみがえります。

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

そして最後に見せてくれたのが、沖縄に渡ってきた当時のパスポート。有効期限は「1972年の本土復帰前日まで」になっていました。

一通の手紙から始まったご夫婦のロマンティックな物語。約50年前、このパスポートを手にたえさんは、どんな思いで沖縄に来たのだろう・・・などつい考えてしまいました。

そして他にはないおいしいそばとたえさんの笑顔に再会したくて、リピーターになるのですね。本部町に行く時は、ぜひ「そば処 夢の舎」を訪ねてみてください。

なかなか行けないと、沖縄訪問が難しい方は「オンラインショップ」をのぞいてみてください。お肉付きの沖縄そばが購入でき、自宅などで「夢の舎」の味が楽しめます。

「オンラインショップ」を開店して数カ月、予想以上の注文が入り好評とのこと。実際に行ける日を楽しみに本部の森をイメージすると、さらにおいしくいただけそうですね。

本部町 そば処 夢の舎 古民家 ランチ

【沖縄の古民家を訪ねて】過去のシリーズはこちら▼

[基本情報]そば処 夢の舎(ゆめのや)
住所:沖縄県本部町字古島794-2
電話:0980-48-4529/携帯:080-1768-2362
営業日:金・土・日
※営業日時を変更する場合がありますので、詳しくは直接お問い合わせください。

駐車場:あり
https://bewithw.wixsite.com/yumenoya
「夢の舎」オンラインショップ:https://yumenoya.thebase.in

●執筆協力:Shotaro
●撮影・編集:饒波貴子

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この記事を書いた人饒波 貴子
那覇市出身・在住。OL生活、週刊レキオ編集室勤務を経て、フリーライターに。現在は沖縄のエンターテインメントおよび店舗紹介を中心に取材・執筆。ウェブマガジン「琉球新報Style」、雑誌「porte」ほかで執筆中。 このライターの記事一覧

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