観光
2021.04.14
県民に親しまれて50年!かわいい・ めずらしい・たくさんの生き物たちに合える沖縄市「沖縄こどもの国」
動物園を中心とした複合レジャー施設「沖縄こどもの国」は、2020年に開園50周年を迎えた県を代表する人気スポットです。広い敷地にはたくさんの動物・生物たちが暮らしていて、その数なんと146種類で約1200点。
花も景色も美しく見どころいっぱいで、子どもも大人も思いきり楽しめます! 写真と文章でくまなく紹介したいところですが、規模が大きくおすすめポイントがあり過ぎて難しい。なので今回は、沖縄ならではの生き物を中心に紹介します。
入場券を購入しメインゲートをくぐると、広がるのは 沖縄らしい風景!南国色を感じます。そして、ここから始まる生き物たちとの出合いにワクワクします。
今回は特別に動物園課・課長の大宜見こずえさんに案内していただくことに。務めて32年になる大宜見さんは、メディアに数多く登場している「沖縄こどもの国」の顔ともいえる有名飼育員さん。よろしくお願いします!
ゲートからの移動中、池の上を優雅に滑空する鳥たちの姿が。「あれはミサゴという渡り鳥ですよ」と大宜見さん。園内の動物ではない野生動物にも関心をもつ大宜見さんから、動物に向けられる温かな愛情を感じました。
2020年に50周年という記念の年を迎えた「沖縄こどもの国」ですが、コロナ禍による休園もあり来場者が遠のきました。ですが10月には夜イベント「秋ZOOナイト 2020」を開催し、少しずつ客足が回復してきたそう。夜行性の動物が観察できるレアな機会ですので、今年もぜひ開催してほしいと思いました!
沖縄ならではの琉球孤の生き物大集合!
動物愛あふれる大宜見さんの話を聞きながら今回のメインスポット「琉球孤の生き物が暮らすエリア」に到着しました。
琉球孤は北琉球・中琉球・南琉球に分かれていて、それぞれ生息動物が異なるそうです。狭い中で違いがあるとは驚きですね。
「ここにいるのは傷病個体です」と大宜見さんが指したゲージの中には、たくさんのオリイオオコウモリがいました。菜園のネットなどに絡まったり、交通事故などで負傷し救護ドクターによる治療後に後遺症などで野生に返せなくなった個体を、ボランティアの野生救護ドクターとのつながりで受け入れているのだそうです。
珍しかったのが、地面をはってエサを食べるコウモリたちの姿。飛ぶために筋肉をなくし立つことができないため、そのように動くのだそうです。コウモリといえば木にぶら下がっているか飛び回る姿しかイメージがなく、意外性のある動きに興味津々でした。
続いては「秋を告げる使者」と呼ばれる鳥で「ピックィー」という鳴き声が特徴的なサシバ。「本来東南アジアに行くはずですが、フユーナー(なまけもの)が沖縄に残っているはず」と、ユニークな言い回しで大宜見さんが教えてくれました。
他にも日本最大のハトのカラスバト、色鮮やかな夏鳥のアカショウビンやオシドリなどを見ることができました。
基本的には冬鳥とされるオシドリですが、やんばるの一部に一年中同じ場所に暮らす「留鳥(りゅうちょう)」として確認された事もあったのだそうです。
耳なじみのあるオシドリを実際に見るのは初めて。オールバック風の頭のオス鳥は、繁殖期は美しくなっていくそうです。その逆でメスは地味で、卵を守るために目立たないようにしているそう。
初めて聞く話に動物たちの生態の神秘性を感じます。(この日のオシドリのオス鳥ですが、羽根の状態から「繁殖期の終わりごろではないか」とのことでした)
佇まいに際立ったカッコ良さがあったのが、カンムリワシ。日本では石垣島と西表島のみ生息するそうです。興奮すると後頭部の羽毛が逆立って冠に見えることから、カンムリワシという名前がついたんだとか。
「鳥で季節が分かります。8月の終わりはまだまだ残暑厳しいころですが、冬鳥が渡ってきたら『秋が近付いてきている』という会話になったりします」と、大宜見さんに教わった「飼育員あるある」。他県に比べると季節を感じることが少ない沖縄ですが、鳥が告げてくれていると知り感動しました。
他県の方は特に必見!「アークおきまる」
琉球列島に生息する生き物たちの飼育場が「アークおきまる」。沖縄こどもの国でしか見られない生き物が大集合していますので、他県の方には旅の思い出にぜひ訪ねていただきたいです。
とはいえ、県内在住者も一度に見物できる機会は滅多にありませんよね!? なので、来場したみなさま全員にオススメします。飼育場名の「アーク」は方舟という意味があり、「動物たちを未来へ運ぶ」という思いが込められているよう。公募で決まったネーミングだそうですよ。
シリケンイモリ、アオカナヘビ、オキナワアオガエル、天然記念物のイボイモリなどを鑑賞しました。
爬虫類たちに別れを告げ、進んで行くと寄り添うハナジカたちが。近いところで似たポーズになっているまったり加減が仲良しそうで、とてもほのぼのしました。
さらに進むと、2020年6月にリニューアルした「ヤクシマザルのサル舎」に到着。このサル舎、遠くからサル山を眺めるのではなく、何と通路がサル山に入り込む設計で作られているので、歩きながら間近でサルたちを見物できるのです。
私が歩いている時も、赤ちゃんを抱っこしたお母さんザルがすぐそばに! 親子ザルの愛が伝わってきましたし、とにかくかわいい。そして一匹一匹の表情や動きなど自然のままの姿を近くで観察できる楽しさもあります。ボスのサイゴウの貫禄には、圧倒されました。
「一般的には人間がサル山を見下ろす作りが多いです。でもこのサル舎は、サルが人間を見下ろす作りになっています。本当に近くで見ることができると好評ですよ」と大宜見さん。感覚的には自分がサル山の中に入り、サルたちの生活空間をのぞき見しているような不思議体験でした。
サル舎を後にして「在来家畜コーナー」へ。
ヤギ舎にはひたすら頭突きで扉を攻撃し続けているヤギがいて、クスッと笑ってしまいましたが・・・その動きには意味があるのでしょうね。
小さな体が特徴的なヨナグニウマもいました。土・日・祝日などには乗馬体験や、餌あげ体験もできるそうです。
他にも、世界でやんばる(沖縄本島北部)地域にしかいないヤンバルガーミー(リュウキュウヤマガメ)、アグーにリュウキュウイノシシ、シマヒージャーなど沖縄のいろいろな在来動物に合えました。
年齢的におじいちゃんかおばあちゃんかな?と思える動物がチラホラいるなと気になったので大宜見さんに聞いてみると「老いた動物は野生では生きていけません。なので動物園でしか見られないんですよ」とのこと。今まで考えたことがなく、ハッとさせられました。
日本で一番ユニークな動物園を目指して
そして最後に訪れたのは、近代的な作りのライオン舎。ホワイトライオンがやって来た2019年には大注目を浴びました。「LION FIELD」と表示されたおしゃれな入り口から前方へ進んでいくと、サル舎同様ライオンたちの生活空間に入り込めます。
取材をした14時ごろはお昼寝中で活発な姿は見られませんでしたが、ライオンたちの顔をのぞくとまるで猫のよう。かわいくてつい、ほほ笑んでしまいました。百獣の王を象徴する迫力ある姿は、次に訪ねた時の楽しみにします。
最後に「ウチナーグチ(沖縄の言葉)」に触れる面白ポイントをご紹介。動物がいる場所にはそれぞれ正式名称や分類などの詳細が掲示されていますが、ウチナーグチで呼ばれる動物は呼び名もしっかり表示されています。
昔から沖縄にいる身近な動物は、沖縄ならではの呼び名があるとのこと。戦後にやって来た動物にはウチナーグチが付いていないことが多いそうです。沖縄にしかいない生き物、沖縄の名前が付いている生き物。ここでしか出合えないと思うと、愛らしさが増します。
他にも案内板がウチナーグチで書かれてて沖縄らしさを実感。「日本一ユニークな動物園」を目指しているそうですが、他県や他国とは違う、世界に誇れるスポットだと思いました。
昨年からステイホームを意識する日々が続き、ちょっぴり体が鈍ったと思うことがありますね。そんな時に状況や時間が許せば、たくさんの動物たちの生活を垣間見ることができる「沖縄こどもの国」に行ってみませんか。
日差しや風を感じながら散策するだけで開放的になり、心も体もリフレッシュできます。そして動物たちの自然体の姿に癒されます。
50年の歴史を重ねた「沖縄こどもの国」は年齢や個々に合わせた楽しみ方がかなう施設。ゾウやチンパンジーなど、子どもたちが大好きな動物ももちろんいますし、幼少期に行ったきりの大人は懐かしい気持ちになり、ご年配の方はお孫さんを連れて遊びに行けます。
家族で行っても大きな負担にならない、入場料の安さもうれしいポイント。ぜひお出かけください!
【入場料情報】大人500円/中高生200円/4歳以上〜小学生100円/幼児(3歳以下)無料
※ワンダーミュージアム入館料、乗り物代などは別途必要
[基本情報]沖縄こどもの国
住所:沖縄県沖縄市胡屋5-7-1
電話:098-933-4190
営業時間=冬時間(10月〜3月)9:30〜17:30(入場は16:30まで)
夏時間( 4月〜9月)9:30〜18:00(入場は17:00まで)
定休日=火曜日・年末年始
駐車場=あり
URL:https://www.okzm.jp
●執筆協力:Shotaro
●撮影・編集:饒波貴子
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