食事
2020.01.31
沖縄市でカフェランチ!食材にこだわった料理とあんこスイーツを食べて、ほっこり心が落ち着くひとときを
沖縄市中央にある「cafe ouchi:(カフェおうち)」は、訪れる人を実家のような温もりで迎えてくれます。保健所通りから、1本中に入った道沿いに姿を見せる白い外装の店舗は、閑静な住宅街に溶け込んでいます。
入り口の扉を開くと、その先で待っているのは、オーナーが選び抜いた国産・県産の食材を使ったフード、デザート、コーヒー。そしてオーナーと常連さんの笑顔です。
「いらっしゃいませ」よりは「お帰りなさい」の言葉が似合い、「こんにちは」よりも「ただいま」と声をかけたくなるカフェ。忙しい合間に立ち寄っても、ホッと落ち着く時間を過ごせます。
目 次
「人が集まるのが好き」だという、オーナーの気持ちが原点だった
「cafe ouchi:」のオーナー・安次富夏希さんは、沖縄県出身。転校を重ねた末、小学校5年生の頃から沖縄市に住んでいます。
安次富さんは、もともと人が集まることやお菓子作りが好きで、自宅で友達と一緒にごはんを食べることも多く、高校生の頃から「自分でカフェを開きたい」と漠然と思っていたそうです。
「人が自然と集まってくるような場所を作りたい」との想いを強く抱くようになり、35歳の時に沖縄市でカフェをオープンしました。
「理想は子供を見ながら仕事ができること。そして、カフェをオープンするなら場所は沖縄市であること」この2点を基準に考えた理由は、地元の沖縄市で人と繋がりながら生活したい気持ちがあったためだそう。
「cafe ouchi:」の店舗は、もともとパスタ屋だったらしく、安次富さんが高校生の頃は、家族でよくパスタ屋に訪れたそうです。店内の落ち着いた雰囲気と、安次富さん好みの内装が印象的だったとか。
cafe ouchi:をオープンする以前に、実家の仕事の絡みから、うるま市の障害者施設のカフェ「cafe ゆくれれ」で働いていました(2019年閉店)。安次富さんが辞めるタイミングで、偶然にも空き店舗になっていた現在の店舗物件を見つけて、2017年10月に「cafe ouchi:」をオープンさせました。
“誰もが帰って来たくなる場所”という意味が込められた店舗名。最後につくコロン(:)の意味をうかがうと、「ひらがなやカタカナで考えたけれど、バランス的に何か足りない…コロン(:)付けちゃえ!」との思いつきから、店名を決めたそうです。
こうして、「cafe ouchi:」の歩みがスタートしました。
誰もがほっと落ち着ける「cafe ouchi:」の空間作りにおける工夫とは!?
お店の雰囲気に、とてもこだわったと語る安次富さん。
「男性の方や、年配の方が一人で来ても落ち着くようなカフェを作りたい。地元のおじいちゃんやおばあちゃんが、気軽にごはんを食べに来れるような雰囲気にしたいと考えていました」
内装の壁の色にもこだわって、紺色に決めたのだそう。色ムラが出やすいところは友人の塗装屋さんにお任せし、あとは安次富さん自身で塗ったそうです。
店内で目を引き、何気なく飾られている大きなアンティーク調の時計にも、理由がありました。
「お客様と一緒に時間を刻んでいけたら楽しいだろうな、と思ったんです。時計って必要だけど、あると逆に焦ることもあるでしょ?せかせかした時間を感じずに、ゆったりと時を刻むような時計が欲しいなと。この時計を見た時は、即決でしたね。お店のシンボルにもなるし、ロゴにも入れています」
窓辺の壁面には、沖縄市出身の画家DENPAさんによるペイントが描かれています。もともと壁に絵が欲しいと思っていたところに、DENPAさんから描かせてほしいと依頼が来たそうです。
「だから『お店の雰囲気に合っていれば、あとはお任せします』と伝えたんです。その時にご本人が抱いている気持ちを描いているそうで、テーマは特にないらしいですよ。笑」と安次富さんが当時の様子を語ってくれました。
店内の一角にある雑貨コーナーでは、安次富さんの友人が制作したピアス、模合仲間のフォトグラファーさんによる写真、常連さんが制作したCDなどが並んでいます。
また、地域のものを一緒に消費していきたいとの思いから、この地域で作っているラ・クッチーナのアロマも販売しています。
雑貨を置いている棚の下段に並ぶのは、絵本や大人向けの本。店内には、キッズスペースも設けてあり、子どもが遊んだり昼寝したりとのびのびできます。
「わたしも子育てをしてきたからわかるんですが、お母さんが一人でゆっくりできる時間ってそんなにないんですよね。キッズスペースで子どもが本を読んでいる間に、お母さんはコーヒーを飲む。そんなリフレッシュできる場所を提供したいと思っています」
そう語る安次富さんの思いは、お店の内装や雑貨を見るだけでも伝わってきました。
オーナーこだわりの食材と器、手間ひまかけた“あんこ”でおもてなし
「cafe ouchi:」では、食材を厳選しています。野菜は県産や国産、豚肉は県産を使用。この日のランチプレートは、メインが豚の生姜焼きでした。おから、にんじんしりしりーなど6品のおかずとごはんに味噌汁がつき、栄養バランスの良さそうなメニューです。
使用している器は、那覇市壺屋にある育陶園の「Kamany(カマニー)」のもの。
若手職人たちによる、昔ながらの壺屋焼の青、茶色、緑といった色を使い、バナナや雷(沖縄は雷が多い)などの沖縄らしいモチーフを入れた、現代的なデザインが魅力です。沖縄の焼き物をよく知らない方にも興味を持ってもらいたいと、安次富さんの地元愛に対する思いが反映されています。
トーストプレートは、トースト、サラダ、ベーコン、スクランブルエッグを乗せた一皿。トーストは分厚く、3cm以上あります。口に運ぶとバターの風味が広がり、サクサクした食感が楽しめるとともに、食べ応えも満足。
特にこだわっているのが、食材を厳選した「あんこ」だそう。原料には、北海道産の小豆、沖縄県産の100%きび砂糖、その他の材料も国産を使用。中火で煮込むと粒がつぶれてしまうため、弱火でコトコト煮込み、蒸らす作業も含めて、4~5時間かけて作ります。
あんこブッセは、ブッセに挟まれたあんこ、コーヒーソース、ひんやりとしたホイップのハーモニーが絶妙です。
あんこウィンナー珈琲(HOT)は、小皿に乗ったあんこ付き。コーヒーにあんこを入れると、ふわっとまろやかな味わいが楽しめますよ。
「趣味で集めているカップをお店に持って来て、使っています。もともとコーヒーカップが好きだったんですよ。コーヒーも好きだからこだわるし、食べるのも好きだから、自分が作る料理をカフェに訪れたお客様に食べてもらえることが嬉しいんです」
安次富さんの好きなもので埋め尽くされたカフェ。だから、その好きや楽しい気持ちが安次富さん自身の言葉となり、笑顏となって、お客様にも伝染していきます。これが、人に優しく温かく、ほっこりするカフェだと感じる理由のひとつでしょう。
食材にこだわり、健康を意識した食事を提供する「cafe ouchi:」。
安次富さんは、地域の人との繋がりが大切だと感じていて、「怠けたくなったときは近くのお店に行って、頑張っている人を見て、気持ちを入れ替えている」と話します。互いに店を行き来する常連さんも、「このカフェは、ウェルカムな雰囲気があってとても落ち着く。皆、安次富さんの人柄やごはんのおいしさにほっとして寛いでますよ。笑」と満足気でした。
場所も味も最高!とお客さんに愛される、居心地の良さが魅力の「cafe ouchi:」は、オーナーの“好き”という思いから生まれた料理を、ほっと一息つける時間を過ごしたいお客様にお届けします。
【基本情報】cafe ouchi:(カフェおうち)
住所:沖縄県沖縄市中央1-33-3
電話:098-960-3363
営業時間:平日11:00~17:00(L.O.16:00)、土曜12:00~24:00
定休日:水曜日、日曜日
駐車場:あり(店舗前スペースに1台)
https://www.instagram.com/cafe_ouchi0902/
(文・撮影:當間弘子、宮尾仁子/編集:OKINAWA GRIT みやねえ )
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