食事
2019.11.08
伝統菓子「楚辺ぽーぽー」発祥の地、読谷村「ぽーぽーとコーヒーの店 はっち」で味わう素朴なおやつ
生まれてこのかた読谷村在住のライター、ヤマシロです。
わたしが好きな沖縄の伝統菓子の1つに「ぽーぽー」があります。
県外の方だと「ぽーぽー」ってなんだろう?と思うでしょうか。
「サーターアンダギー」や「ちんすこう」に次ぐ沖縄の家庭ではポピュラーな伝統菓子で、イメージとしてはクレープを少し厚めに焼いて巻いたものです。
そのぽーぽーの発祥と言われているのが、読谷村の「楚辺ぽーぽー」です。
いざ!ぽーぽー発祥の地、読谷村の楚辺地区へ
読谷村の楚辺集落で旧暦の4月15日と16日に開催される農事(豊作祈願)の祭典「アブシバレー」で見物客や友人をもてなすために楚辺ぽーぽーを提供していたところ、人気の的になり楚辺から沖縄全域に広まったのではないかと言われています。
この楚辺地区では各家庭の味が親から子へと引き継がれていったそうで、なんとぽーぽー専用のフライパンが必ず家庭にあるという噂も!
今では糸満市など沖縄の南部方面からわざわざ「楚辺ぽーぽー」を買いに来るお客さんも多いのだとか。ということで、今回は実際に食べられるお店をご紹介します。
「今あいてます」の黄色いのぼりがとても印象的でずっと気になっていたぽーぽーとコーヒーの店 はっち。今回は特別に焼いている現場から見学させていただきました。
作る工程はたったの3つ!混ぜて焼いて巻くだけ
これが噂のぽーぽー専用フライパン。初めて見ました。
丸いフライパンを想像していましたが、まさかの四角い型でびっくり!
店主の初枝さんが子供の頃は、アンダナービー(サーターアンダギーなど作る深めの鍋)で生地を回して作っていたそうです。
アンダナービーに比べると、鍋の高さがないのでひっくり返しやすいのだそう。
生地を流し入れ、焼けてきたら裏返すのですが、ここでもまたびっくり。
フライ返しなどは一切使わず、手でひっくり返していました。熱くないのだろうか…。
焼きあがったぽーぽーをくるくるっと巻き上げれば完成です。
まるで陶器のようなツルツルの表面にするのはとても難しいようで、火の加減が肝だと初枝さんに教えていただきました。
以前はぽーぽーの作り方教室も開いていたようですが、みなさん家に帰ると「思うように焼けない…」と電話がかかってくるくらい難しいそう。簡単そうに見えて、実はとても繊細なお菓子です。
できたてのアチコーコー(温かいもの)を召し上がれ。
ぽーぽー以外にも沖縄の家庭料理が味わえる
シンプルなぽーぽーの他にも、近所の方のアレンジ方法を参考にしたマヨネーズやチーズを巻いたメニューもあります。
そして、ぽーぽーの次に人気なのが「そうめんいりちー」。観光客の方が、食べたことがないというので提供したところ人気になったそうです。
今回はお持ち帰りでいただきました。
「そうめんいりちー」とは茹でたそうめんにツナとニラを入れ、フライパンで炒めた沖縄の家庭料理です。そうめんの茹で加減が美味しさの肝になります。
はっちのそうめんいりちーは抜群の茹で加減に、ツナの香ばしい香りが食欲をそそります。
3世代に引き継がれる「はっち」の伝統の味
店主の初枝さんが、太鼓教室を営む妹さんから「隣の空きスペースで何かやらんね?」と言われたことをきっかけに、それまで作ったこともなかったぽーぽーを母から受継ぎ、60歳のときに始めた「ぽーぽーとコーヒーのお店 はっち」。
初めの半年ほどは想像以上に難しく、後悔したこともあったようですが「自分で言った以上、ここで負けてはいけない」と奮闘し、今ではお店が生きがいに。これから10年かけて、次の世代につないでいくそうです。
その初枝さんの思いと味、そして楚辺の伝統を残していきたいとおっしゃるのはお嫁さん。
3代にわたり受け継がれてゆく伝統の味と、優しい雰囲気が溢れるお店で初枝さんと楽しくユンタク(おしゃべり)しながら愛情たっぷりなぽーぽーを召し上がってください。
[基本情報]ぽーぽーとコーヒーの店 はっち
住所:沖縄県中頭郡読谷村字楚辺2049
電話:098-956-1123
営業時間:12:00〜19:00
定休日:日曜日、木曜日
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