食事
2019.08.20
あなたのお気に入りのシーサーは!?季節問わずやんばるの自然が楽しめる、原生林に囲まれた「やちむん喫茶 シーサー園」
本部町伊豆味の県道116号線から伊豆味小中学校前を通り、山道を上がって行くと見えてくる「やちむん喫茶 シーサー園」は、豊かな自然に包まれた森カフェ。
お店は手付かずの原生林に囲まれていて、花が咲きたくさんの昆虫も集まり、イギリスの国営放送局・BBCが取材に来た貴重なスポットなんです。コノハチョウ、フタオチョウなどの天然記念物も園内で確認できたことがあるそうですよ。
約3300平方メートルの広い敷地内では、見渡す限りの大自然を満喫でき、店名の通りたくさんのシーサーに出合うこともできます。現在では、100体くらいのシーサーが住んでいる(!?)のではないか、とのこと。
シーサーが集まるやんばるの庭
笑顔で出迎えてくださったオーナーの宮城麗朝さんに話を聞くと・・・
「開店当初、シーサーは10体ほどしかいませんでした。でもシーサー園と名付けたら、本当にシーサーが集まってきたんですよ。ほとんどはもらい物で、訪ねてきた方がここに置いた方がいいと、シーサーを預けて行くんです」と教えてくれました。
伊豆味で生まれ育った宮城さんは、シーサー園を建てたこの土地を受け継いだ6代目。150年ほど前から宮城さん一族がこの土地を守っていて、「車道の並木は小学生のころに植えたもの」などたくさんのエピソードを教えてくださいました。
「雨の日も晴れの日も、年間通して自然を楽しめます。ぜひ自慢のやんばるの庭に遊びに来てください」と語る宮城麗朝さん。子どものころから庭いじりが好きで、自分が思い描く桃源郷を作りたかったのだそう。
開店した約30年前は、ゲーム機を店内に置く喫茶店が流行していた時代。その真逆のコンセプトともいえる、自然の中でのんびりくつろげる喫茶店を始めようと決意したそうです。そして当時としては珍しかった、自然派のカフェ。テレビやラジオの取材で注目を集め、瞬く間にたくさんのお客さんが訪れる人気店になっていったそうです。
屋根の上にも!足元や木々の陰にもシーサーが
そして何といってもお店の特徴なのが、シーサーたち。宮城さんが少年時代から見てきた木々の中や陰にひっそりと佇み、そんな「隠れシーサー」を探すのもまた一興、といえるのではないでしょうか。
宮城さんの案内で園内に入り、庭を登っていくとちょうど真ん中あたりに池が!何百年も前からある池なのだそうです。
脈々と受け継ぐ涼しげな池の上を見上げると、サガリバナも発見!庭には他にもヒジリやフウリンブッソウゲなど、色とりどりの花が咲き乱れていました。本当に美しい。
園内を一望できる小屋はしっとりした風情があり、気持ちが落ち着きました。
そして瓦屋根が敷かれた、趣のある店内へ。たくさんのやちむんが並んでいましたが、これらは知り合いの作家さんたちの作品で、販売もしているそうです。カフェスペースには手作りの味わい深いテーブルが並び、さらには和を感じるいろり席もあり、温かいムードに包まれていました。
風に吹かれて眺める景色
一階奥にある階段を登り二階に上がると、窓にガラスのない、風が吹き抜ける日本家屋風の空間が広がります。取材日は蒸し暑かったのですが、エアコン無しの自然の風で十分な涼しさが感じられるほど爽やかでした。
階段を上がると左側には壁のないベランダが広がり、座るだけで開放感がいっぱい!
「風光明媚」とはこのような状態を指すのでしょう。
目の前にはたくさんのシーサーたちがのっている瓦屋根があり、さっきまで目線の高さにあった木々を見下ろせます。目線を変えることでさまざまな表情がある・・・街中では気づかない、自然への思いに気付かせてくれます。
宮城さんの案内で再び一階へと降りる途中に、壁に貼られたたくさんの新聞記事を発見!
「過去にはここでイベントも開催したんですよ」とのことで、沖縄芝居の会場として盛り上がったことや、韓国の有名俳優のCMロケ地になったことなどを知ることができました。
かがり火を炊いて地域の人や歌手を招いて開催した手作りの音楽祭では、クチコミでなんと約300人のお客さまが訪れたとか。お店と共に親しみやすく飾らない宮城さんの人柄が、多くの方に愛されている事を感じました。
素朴なメニューを味わいながらほっとひと息
一階に降りて、うれしいカフェタイム。ちんびん・黒糖ぜんざい・みかんケーキなどの沖縄のおやつメニューが写真&分かりやすいコメント付きで並んでいました。
この日は「沖縄の代表的な軽食」といえる「ヒラヤーチー」をチョイス。お好み焼きや韓国のチヂミに似ていて、ニラとにんじんが入っています。素朴で昔ながらの優しい味で、どこか懐かしくホッとさせてくれる一品。甘口と辛口2種類のタレが付いてきて、酢や七味を少し加えて食べるなど、好みの味でゆっくりといただいてください。
そしてドリンクは、一目で気になった「ウルトラみかん生ジュース」をオーダー。庭に実っているシークヮーサーやタンカンなど、季節の柑橘類をしぼったフレッシュなジュース。キンキンに冷えた甘酸っぱいジュースはのど越しも爽やかで、いくらでも飲めてしまいそうなおいしさでした。暑い夏にはオススメです!
店内のメニューは、どれも全て一品500円です。
また、コーヒーがおいしいと評判なのもこの店のポイント。豆を自家焙煎しているこだわりのコーヒーで、園内の湧き水を使って淹れています。コーヒーの湯気と大自然の美しい空気が混ざり合い、店内は心地よい香りに包まれていました。
ザルに入ったコーヒー豆を見せてもらうと、さらに香ばしさが伝わり幸せな気持ちになりました。お客さまを思い手間暇をかける大切さを教わった感覚です。
最後に改めて、宮城さんにお店の人気の秘訣を聞いてみたところ「世の中の全てのモノは変わるか、守るかのどちらかしかありません。僕は守る方を選んだんです。伊豆味の原生林を守ったからこそ、ここが『侘び寂び』という美意識を感じる場所になったと思っています」と語ってくれました。
やんばるの自然を愛して守り、さらには自らも自然体でいると教えてくれた宮城さん。全てが調和し「やちむん喫茶 シーサー園」という空間を演出しているのだろうと思わせました。
やんばるの森のマイナスイオンを体中に浴びながら日常を忘れ、おいしいおやつとドリンクをいただきながら、ステキなひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
もちろん、「お気に入りのシーサー探し」もお忘れなく!
[基本情報] やちむん喫茶 シーサー園
住所:沖縄県本部町字伊豆味1439
電話0980-47-2160
営業時間:11:00~19:00
定休日:月・火曜日
駐車場:あり
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