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2025.10.27

つくって、さわって。鹿児島県日置市で「薩摩焼」の伝統に触れる旅

つくって、さわって。鹿児島県日置市で「薩摩焼」の伝統に触れる旅

鹿児島を代表する伝統工芸「薩摩焼」。その歴史は、実に420年以上。

鹿児島県日置市にある薩摩焼発祥の地「美山(みやま)」は、文禄・慶長の役の際に朝鮮から連れ帰られた陶工たちによって築かれた、薩摩焼の一大産地。

今もその技術と伝統が継承され、竹林や石垣が立ち並ぶ、風情ある街並みが広がっています。

歴史と自然が調和した薩摩焼の里「美山」で、陶芸と食を通じて、作って・触れて・癒される体験をご紹介します。

薩摩焼の陶芸体験ができる「美山陶遊館」

薩摩焼の陶芸体験ができる「美山陶遊館」

1996年、薩摩焼の観光振興を目的に設立された「美山陶遊館(みやまとうゆうかん)」。薩摩焼の魅力に触れながら、陶芸を手軽に楽しめる体験型のレクリエーション施設です。

大人から子供まで幅広い世代が楽しめ、観光客だけでなく、地元の人々にも親しまれる文化的な拠点となっています。

こちらでできる薩摩焼の陶芸体験は、エプロンなど必要なものはすべて無料で貸し出しており、手ぶらで参加可能。

また、経験豊富な指導員が親切にサポートしてくれるため、初心者の方も安心です。

美山陶遊館

体験コースは、「ろくろ」・「手ひねり」・「薩摩ボタン絵付け」の3種類。(メニュー表に「絵付け体験」がありますが、現在は行っておりません)

所要時間は「ろくろ」が約45分、「手ひねり」が約2時間、「薩摩ボタン絵付け」が約1時間です。

美山陶遊館

ろくろ体験ではマグカップや茶碗など、最大2点の作品を作れます。大皿の場合は1点のみ。

小学生以上が対象です。小さいお子様も体験可能ですが、その場合は指導員が中心となり、ほぼ代わりに作品を仕上げます。

美山陶遊館

ろくろは難しそうに思えるかもしれませんが、コツをつかむとその楽しさに夢中になりますよ。

美山陶遊館

手ひねり体験では、少し固めの土を使って、手で形を作り上げていきます。

美山陶遊館

器だけでなく、自由に成形して色付けもできるので、小さなお子様も楽しめます。作品は最大2点まで。

美山陶遊館

薩摩ボタン絵付けは、無地の白薩摩のボタンに、14種類の絵の具を使って色を付けます。

出来上がったボタンは、ヘアゴムやブローチ、かんざしなど、普段使いのアクセサリーに加工可能。作品は1点のみで、対象は中学生以上。

美山陶遊館

ちなみに今回は、ろくろ体験で大皿を作ってみました。

最初は指先の力加減が難しかったものの、少しずつ形が整っていくのが嬉しくて熱中しました。指導員の丁寧なサポートもあって、自分の手で器をつくれたことに感動。焼き上がりが楽しみです!​

美山陶遊館

陶芸体験では「成形作業」までの体験ですが、残りの、乾燥・素焼き・釉薬・本焼きの作業は、スタッフの方がしっかり仕上げてくれます。薩摩ボタンの加工もスタッフが担当します。

美山陶遊館

仕上がりまでは約2か月。作品は発送も可能(送料は別途)なので、遠方な方でも安心です。

美山陶遊館

10名以上の団体コースもあります。(ただし手ひねりのみ)

体験のスタート時間は以下の通り。週末の体験には予約が必須です。

【ろくろ・絵付け体験】
10:00/11:00/13:00/14:00/15:00/16:00

【手ひねり体験】
10:00/13:00/14:00/15:00

美山陶遊館

館内には周辺窯元の作品が展示されており、気に入った作品を購入することも可能。

美山陶遊館

薩摩焼の伝統が息づく美山で、作る楽しさを体験し、あなただけのオリジナル作品を作ってみませんか?

[基本情報]美山陶遊館
住所:鹿児島県日置市東市来町美山1051
電話:099-274-5778
営業時間:9:00〜18:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日がお休み)
駐車場:あり
URL:https://touyukan.com

薩摩焼で楽しむ、心と体の癒しの薬膳料理「沈壽官茶寮 美山」

沈壽官茶寮 美山

薩摩焼の代表的な名窯といえば、沈壽官窯(ちんじゅかんがま)。伝統的な技法と美しい絵付けで知られ、薩摩焼の名匠として高く評価されています。

現当主の十五代沈壽官さんの「薩摩焼を身近に感じてほしい」という思いから、2021年に創設されたのが「沈壽官茶寮 美山」。茶寮は沈壽官窯の敷地内にあります。

沈壽官茶寮 美山

「沈壽官茶寮 美山」は薬膳料理を提供するお店。「訪れる人が健康で元気になって帰ってほしい」という当主の願いが、メニューに反映されています。

また、すべての器は沈壽官窯製。各料理に合わせて器もセレクトされているので、料理とともに薩摩焼の手触りや色合い、釉薬のニュアンスなども感じられるのも魅力。

ちなみに、使用されている器は「沈壽官窯」の売店で販売されています。

沈壽官茶寮 美山

黒を基調にした和モダンの落ち着いた店内。

4人掛けが4卓、2人掛けが1卓、さらにカウンター席が2席と、席数もほどよく、落ち着いて過ごせます。

沈壽官茶寮 美山

ランチメニューは4種類。定番メニューは「薬膳煮麺(にゅうめん)」と「薬膳ビビンバ」、さらに2日前までの予約制で「薬膳美麗湯(ビレイタン)」と「薬膳参鶏湯(サムゲタン)」もあります。いずれもデザートと薬膳茶付き。

料理の薬膳効能はメニューにも記載されていますが、給仕の際にも丁寧に説明されます。

ランチタイムは二部制なのでご注意ください。また、ランチタイムは小学生以下のお子様はご利用できません。(乳児を除く)

沈壽官茶寮 美山

今回注文したのは「薬膳煮麺」と「薬膳ビビンバ」。

「薬膳煮麺」は、煮麺・サラダ・味変用の七味唐辛子・小鉢付き。また「薬膳ビビンバ」は、ナムル・十六穀米・肉味噌・スープ・小鉢付き。小鉢の内容は季節で変わります。

なじみのある料理ですが、色鮮やかで薩摩焼の器に映えて、ひときわ特別感があります。

お出汁や具材に、抗ウイルス作用や血液浄化が期待される生薬を使った「薬膳煮麺」。

エビと彩り豊かな具材が華やかで、ヘルシーながら心までほっとする、味わい深い一品。「糸唐辛子」のほんのりした辛さがアクセントになっています。辛みが苦手な方は、注文時にお伝えください。

サラダドレッシングには、美肌とアンチエイジングに効果的な食材が使用されています。

美しく盛り付けられたナムルが目を引く「薬膳ビビンバ」。十六穀米の上にナムルをのせ、滋養強壮に効果がある「黒ニンニクペースト」入りの肉味噌とよく混ぜ合わせます。

お好みで「辛味噌」を加えると、味にぐっと深みが出ます。また、添えられた韓国のりをちぎって散らすと香ばしさも加わります。

ナムルのシャキシャキ感と十六穀米のもちもち感、そして肉味噌の甘みがよく調和して、とても満足感のある一皿。

一緒に出された生薬入りの地鶏スープは、あっさりとしていて滋味深く、ビビンバとの相性もぴったりでした。

食後のデザートは、落花生や煮小豆が添えられた台湾スイーツ「豆花(とうふぁ)」と薬膳茶。

「豆花」は滑らかでつるっとした食感。きびシロップの優しい甘さが口いっぱいに広がり、トッピングの歯ごたえが楽しい一品です。

通常ランチメニューに付くデザートは「豆花」ですが、取材時は、特別に一つを九州地方の伝統菓子「高麗餅」に替えていただきました。

鹿児島の老舗菓子店「明石屋」製で、お持ち帰りも可能です。

薩摩焼の「白薩摩」と「黒薩摩」に合わせて、白と黒の2色白は白いんげん、黒はあずきを使い、砂糖・米粉・もち粉で仕上げた、やさしい甘さでもちっとした食感のお菓子です。

沈壽官茶寮 美山

この日の薬膳茶は、緑茶・桑の葉・とうもろこしのひげ・レモングラスの4種の温かいブレンド茶。すっきりとした爽やかさの中に、ふわりと香る余韻が印象的でした。

薬膳茶は、季節に合わせて調合を変えるため、訪れるたびに違う味わいがありますよ。また、自宅でも楽しめるよう、独自のブレンド薬膳茶も販売されています。

ティータイムとしては、薬膳甘味やコーヒー、アルコールなどのメニューが揃っています。また、お子様には、オレンジやアップルなどのフルーツジュースが用意されていますよ。

沈壽官茶寮 美山

一品一品に、訪れる人への思いやりが込められた料理は、どれも体にやさしく、心がほっと和む味。その料理を引き立てる器も、使い心地と美しさを兼ね備えていて、とても魅力的でした。

旅の途中、心地よいおもてなしを体験できる「沈壽官茶寮 美山」に立ち寄ってみませんか?

[基本情報]沈壽官茶寮 美山
住所:鹿児島県日置市東市来町美山1713
電話:099-201-3206
営業時間:ランチタイム一部11:00~12:30(予約優先、火曜は二部のみ)
           二部13:00~14:30        
     ティータイム     11:00〜17:00 (ラストオーダー16:00)
定休日:月曜日(祝日の場合は営業)
駐車場:あり
URL:https://www.instagram.com/chinjukansaryo_miyama

沈壽官茶寮 美山に来たからには、ぜひ見てほしい!見どころ満載の「沈壽官窯」

沈壽官茶寮 美山

茶寮と同敷地内にある「沈壽官窯」には、おすすめの見どころがたくさん!売店や資料館、また職人さんの工房なども見学できますので、ぜひ足を運んでみてください。

①沈壽官窯 売店

沈壽官茶寮 美山

「沈壽官茶寮 美山」で使用されている器は、沈壽官窯の売店で購入可能。

沈壽官窯 売店

売店には、日常使いの器や遊び心ある器、贈り物にぴったりの焼き物や可愛い動物の置物まで、バリエーション豊かに揃っています。ひとつひとつ見て回るだけでも、楽しい時間が過ごせますよ。

[基本情報]沈壽官窯
住所:鹿児島県日置市東市来町美山1715
電話:099-274-0305
営業時間:9:00 〜17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は営業)
駐車場:あり
URL:https://chin-jukan.jp

②沈壽官窯 茶室「鶴壽軒」(かくじゅけん)

②沈壽官窯 茶室「鶴壽軒」(かくじゅけん)

今年3月に、国登録有形文化財に指定された茶室「鶴壽軒」。1969年に建てられた木造平家建ての建物です。室内は一般公開されていませんが、庭園は見学可能。

鶴壽軒

庭園には、かつて使用された石臼や、江戸時代に窯の神を祀っていた塔(移設されたもの)など、歴史を感じさせるものが点在しています。

③沈壽官窯 収蔵庫

③沈壽官窯 収蔵庫

初代から十五代までの作品に加え、薩摩焼の歴史を伝える古文書や貴重な資料が豊富に揃った資料館。

当時の陶工たちの暮らしや、薩摩焼がどのように世界に広がったかが詳しく展示されています。また、今の礎を築いた「稀代の天才」と称される「十二代沈壽官」の展示は圧巻です。

美術的価値の高い十二代製作の薩摩焼は、世界各地に点在しており、現当主が時間をかけて収集したものもあります。

展示内容を深く理解できる「音声ガイド」も完備。

入館料:大人(高校生以上) 500円、10名以上の団体は400円
開館時間:9:00 〜17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は営業)
電話:099-274-2358(代表)
   099-274-0305(売店)

④沈壽官窯 ギャラリー

沈壽官窯 ギャラリー

売店2階の入場無料のギャラリー。十五代沈壽官の貴重な作品や最新作が見れます。

⑤沈壽官窯 登り窯

⑤沈壽官窯 登り窯

今も現役の希少な登り窯です。

⑥沈壽官窯 職人の工房

⑥沈壽官窯 職人の工房

窓越しに職人の手仕事を間近で見ることができます。制作の現場をのぞけるのも、この場所ならではの魅力。なお、12:00〜13:00は職人さんのお昼休みですので、ご注意ください。

⑦沈壽官窯 絵付体験工房

⑦沈壽官窯 絵付体験工房

今年6月にオープンした絵付体験。無地の器を選んで色付けします。未就学児のお子様も体験可能。

完成した作品の発送あり。

沈壽官窯 絵付体験工房

休業日:月曜日(祝日の場合は営業)
営業時間:10:00~15:00(受付は随時)
費用:体験料¥2000(税込)+生地代¥2000~
電話:099-274-2358(代表)
   099-274-0305(売店)

薩摩焼の歴史から触れて、味わって、体感する。美山の旅

沈壽官窯 収蔵庫

実は今回の訪問では、沈壽官窯の「収蔵庫」を最初に見学しました。

420年以上、この地で受け継がれてきた歴史の重みに胸を打たれ、深い感動を覚えます。

その余韻に浸りながら、「沈壽官茶寮 美山」で食事を味わい、「美山陶遊館」では陶芸にも挑戦。心地よい充実感に包まれ、記憶に残るひとときを過ごせました。

「美山」という名の通り、緑に抱かれた美しい街並み。その道を歩けば、薩摩焼の長い歴史に触れ、まるでかつての陶工たちとすれ違っているような気持ちになります。

歴史の風を感じながら、薩摩焼の魅力に触れるひとときを、ぜひ体験してみてください。

この記事を書いた人カオリ
鹿児島県霧島市在住。10年ほど前に鹿児島に戻って来ました。自然と温泉が好きで、時間を見つけては犬と小旅行へ。行く先々での出会いや、思いがけない道草の中にある発見を楽しんでいます。 このライターの記事一覧

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