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2022.02.28

【博多から1時間】久留米絣の本格的な藍染を勉強&体験できる「池田絣工房」

博多から1時間で久留米絣の本格的な藍染を勉強&体験できる「池田絣工房」

日本には、その土地ならではの素敵な伝統工芸がたくさんあります。旅先で普段は目にすることのできない職人さんの技を垣間見たり、その素晴らしい伝統工芸の一端を体験するのも旅の醍醐味。

そんな本物の体験をできるのが、博多から車や電車で1時間、福岡県筑後市にある久留米絣(くるめがすり)の製造・販売を行っている「池田絣工房」。

職人さんの使う工房で本格的な藍染の体験ができると聞いて、行ってみました。

池田絣工房

池田絣工房は、車なら博多から九州自動車道の八女インターを経由して1時間ほど。

電車なら、博多から鹿児島本線を使って約1時間で羽犬塚駅へ。羽犬塚から車で約5分、徒歩だと約30分ほどで到着します。

「藍染」を体験する半日コースに参加!

今回は、久留米絣の工程の一つである「藍染」を体験する半日コースに参加してみました。

まず最初に、四代目の池田 大悟(いけだ だいご)さんに久留米絣について教えていただきます。

久留米絣

久留米絣は福岡県の久留米で作られている絣で、日本三大絣のひとつとしても有名です。また、久留米絣は1957年に、木綿でははじめて「国の重要無形文化財」として指定されました。

久留米絣

久留米絣のルーツは今から200年ほど前の1800年頃にさかのぼります。

当時12,3歳だった井上 伝(いのうえ でん)という少女が、色褪せた古着の白い斑点模様を不思議に思い、ほどいてみたら糸に模様ができていることに気が付きました。そこで、糸を別の糸でくくって藍で染めることで、縛ったところが染まらないことを発見。

このように染まった部分と染まっていない部分のある糸を織ることで模様を生み出すことを考案したのだそうです。

現在ではこのように出来上がりのデザインになる様に染め分けた糸を織ったテキスタイルを「絣」と呼びます。

機織り機

「久留米の人たちは、小さいころから井上 伝の話を聞いているので、知らない人はいないのです。」と、池田さん。

久留米絣の糸が藍染されるまで

藍の葉を刻んで発酵させた「スクモ」

藍染めには、藍の葉を刻んで発酵させた「スクモ」を使います。稲わらの包みの中から出して見せていただいたのが、スクモ。土のような色をしていました。

藍は、かつては全国で生産されていましたが、現在では限られた地域のみで生産されています。池田絣工房では徳島の藍を使っているそうです。

甕

先ほどのスクモを水に溶かして発酵させて使います。かきまぜた瞬間に見える茶色、緑色、藍色の液体。その上に浮かぶ「藍の華」と呼ばれるブクブクを見ていると、藍が生きているのだなと感じる瞬間でした。

池田絣工房では、発酵の度合いによって20本の陶器製の甕(かめ)を使い分けているとのこと。これだけの数の甕があるのは珍しいそうです。

図案

染める前に、まずは図案に従って木綿糸の染めない部分を手作業でくくっていきます。緻密な作業です。

綿の糸をくくり終えると、このような感じ

綿の糸をくくり終えると、このような感じになります。優しい光に包まれて美しい色でした。

先ほどのくくったものを藍で染めると、このように藍一色になります。

くくり糸をほどくと、くくってあった部分がくっきりと白く残っています。これが絣模様になっていきます。伝さんが発案した技術の再現ですね。

この糸を手織りで織りあげていくと、最初の図案のような模様が出てきます。

いよいよ藍染体験スタート!

藍染体験

藍染体験は、久留米絣の製作工程のうち、「染め」の部分を体験します。私は持参した白いキャンバス地のバッグを染めることにしました。

まずは染め上がりの模様を考えて、染めたくない部分をひもやゴムで縛ったり板などで挟んで、下準備をします。ここで、どんな模様にするか結構迷います。

次に、実際に職人さんが藍染に使っている工房に移動します。

使い捨てのエプロン・手袋と長靴を借りて準備完了。まず、縛ったり挟んだりしたままの布地を水で濡らします。

それから、藍の甕に浸して、揉んで、出して、絞って、空気に触れさせることを藍の濃さに応じて繰り返します。布が重なっているところの近くには色が入りにくいので、揉んだり叩いたりしながら、しっかり色を入れていきます。

甕から出した直後の布は緑色。これが酸素に触れることであっという間に青く変色します。化学の実験をしているようで、面白いですよ。

3回くらい繰り返すと薄いブルー。10回ほど繰り返すと濃いブルーになります。浸ける位置をずらしていけばグラデーションにすることも可能。

甕

写真の中央右にある甕と甕の間のくぼみは、染めた布を叩く為の場所だそう。叩くことで繊維の中まで藍をしみこませます。

染め終わったら、水で洗い流し、縛っていたものを外します

染め終わったら、水で洗い流し、縛っていたものを外します。

外すまで、模様がどの程度出ているのかわからないので、外す瞬間はドキドキです。

完成

完成したものを脱水して、干したらできあがりです。人によって、それぞれ個性が出て面白いですね。

染めたい物の持ち込みもOK!自分だけのオリジナル作品を

藍染体験は、ハンカチ(大判)、Tシャツ、トートバッグ、ストールがあり、何を染めるかによって料金が変わります。自分が持ち込んだものを染めることも可能なので、色の褪せたシャツや枕カバーなどを持ち込んで、新たな色で復活させるのもおすすめ。

自然素材がよく染まるそうで、化学繊維は染まってもすぐに落ちやすいとのことでした。藍染したものには、防虫・防臭・抗菌などの効果もあるそうです。

持ち込む物の量によって持込料が変わるので、予約時に相談しましょう。

自然素材の藍を使って、自分オリジナルのものを染める体験。そして、今から200年以上前に発案された久留米絣の伝統を知る体験。どちらも本物を作り続ける工房だからできる貴重な体験でした。体験は予約制なので、旅先で伝統工芸に触れてみたい方はぜひ池⽥絣⼯房のサイトのお問合せフォームまたは電話で問い合わせてみてください。

[基本情報]池⽥絣⼯房
住所:福岡県筑後市久富1840
TEL:0942-53-2416
営業時間:10:00~17:00(月~土)※日曜は要予約
藍染体験:要予約
https://ikedakasuri.jp/

勝朝子
この記事を書いた人勝 朝子
東京出身。2012年から奄美大島と神奈川県湘南エリアとの二拠点居住。 奄美の自然・文化・人が大好きな私には、島は日々発見の宝庫!隅々まで探索中です! このライターの記事一覧

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