食事
2026.02.18
沖縄の野草「さし草」がランチ、スイーツ、ドリンクで楽しめる!さし草屋joy工房&茶屋

こんにちは!日頃リュックと水筒をもって沖縄本島中を散歩しているライターの小鍋悠です。
今回は観光ガイドブックに載らないローカルで隠れた名店をご紹介すべく、沖縄本島南部の南城市大里にある「さし草屋joy工房&茶屋」(以下、さし草屋)に行ってきました!
目 次
身近な野草が美味しく味わえる「さし草屋」

南城市大里の仲程交差点から那覇向けに進んで約1分。少し脇道に入ると、たくさんの木々に囲まれた小さな工房のようなお店が現れます。

中に入ると、木の温もりあふれる店内。メニューには「さし草」を使った料理やスイーツ、コーヒー、お茶のメニューが並びます。

さし草といえば、草むらなどに入ったあと服にくっついてくる「ひっつき虫」と呼ばれるあの野草。
沖縄ではどこにでも生えているセンダングサ属の植物ですが、元はといえば熱帯アメリカ原産。ずいぶん遠いところから沖縄に来てくれています。
世界中に200種以上が分布しており、沖縄でよく見られるのは「タチアワユキセンダングサ」など。沖縄では「さし草」という愛称(方言)で呼ばれています。

さし草が食べられるのは意外に沖縄県民でも知らない人が多く、沖縄在住45年の筆者の周囲でも「え?食べられるの?」と驚く人が多いです。

店長で代表取締役の與儀喜美江さんのおすすめメニューは「さし草担々麺 1,100円」。カシューナッツの辛味噌と豆乳スープが合わさった体に優しいメニューです。
食後のスイーツは「さし草ロールケーキ 450円」をオススメしてくれました♪

さし草屋の飲食メニューは豊富で、営業時間も10時~18時と長いのが特徴。ランチ使いやスイーツ、コーヒータイムと、自分の用途に合わせてお店を訪れることができます◎。

お料理を待っている間には「さし草茶」を飲むことができます。
野草というと苦そうなイメージですが、さし草は苦みや臭みが全くなく、むしろ美味。口にしやすい風味で、筆者は最初飲んだ時、とても沖縄の道ばたや公園などに生えている野草とは思えずびっくりしました笑
単品orランチセットを注文すると、「さし草茶」の飲み放題がついてきますよ♪

店内にある本棚は店長の喜美江さんの手作り。木材店で材料を買って自らDIYしたそうです。
実はこのお店、喜美江さんの実家にあった木工所の事務所を改装した場所。
「私がお店やる前は、ここは廃墟みたいな状態でしたよ(笑)。でもこの空間が好きだったので、自分でリフォームしてカフェにしました。おうちのようなカフェを作りたかったので、まさに、そんなカフェになりました」と微笑みます。
さし草の栄養たっぷり!さし草の担々麺とロールケーキ

喜美江さんと喋っているうちに「さし草担々麺(温)」があっという間に登場。2025年に加わったという新メニューです。
一口いただくと、上にのったピリ辛のカシューナッツとモチモチ麺の担々麺の相性が最高。
麺の上に彩られたさし草は、全く臭みや苦みがなくて、ほうれん草かと思ってしまうほどの食べやすさです。

さらに豆乳スープがピリ辛の刺激を和ませてくれて、もう美味すぎて感動。筆者は実は辛いものが苦手で、担々麺を食べられるかちょっと心配していましたが余計な心配でした!笑

食後の「さし草ロールケーキ」は、さし草粉やさし草はちみつを使ったグルテンフリーのスイーツで、原料にこだわり平飼い卵やきび糖を使用しているそう。
生地はしっとりふんわりとした食感。中のクリームがこれまた美味で、ほっぺたが落ちそうでした!
こちらのロールケーキは同じく南城市にある「cafe icoi」さんとのコラボスイーツだそうです♪

試食や撮影をしながら喜美江さんのユニークなお話を聞かせてもらっていたら、いつの間にか夕暮れ近く。
外は曇り空でしたが、そのしっとりとした景色がお店を包み込んで、店内の雰囲気がさらに素敵に。
取材中はひっきりなしにお客様が訪れていたので、落ち着いた頃、喜美江さんがインタビューに応じて下さいました。
さし草は壮絶な人生と偶然の賜物!~欲しいものはいつでも目の前にあった〜

左から與儀ひかりさん(web担当)、喜美江さん、誠也さん(営業担当) 。
高校卒業後、名古屋の専門学校に進学した喜美江さん。当時の名古屋は、喫茶店のモーニング文化が全盛期。朝早くからカフェに足を運び、焼きたての小倉トーストを楽しむのが日常でした。
「地下街のJAZZ喫茶などにもハマってね。『いつか私もカフェをやりたいな。将来は夫婦でモーニングしたいな』なんて憧れていました。あの頃からカフェの空間が好きでした」。

その後、沖縄に戻った際に、自宅の周辺にたくさん生えていたさし草と出会います。
沖縄に自生しているフクギやアカバナ(ハイビスカス)などを使い、布や手ぬぐいなどを染める「草木染め」にハマっていた頃、住んでいたアパートの駐車場に生えていたさし草に目が止まり、「これだ!」と運命を感じたのだとか。
「主人と一緒に『さし草を使った草木染めの手ぬぐいを販売してみる?内職にする?』など相談して試作まで作っていましたが、半年後に主人は亡くなってしまいました」。

当時、小学生から大学生まで4人の子供がいた喜美江さん。どうにかして子供たちを育てないといけないと思い、そこでさし草を商売にしようと決めました。
しかし当初から「これが売れる、儲かる」と思って始めたわけではなく、さし草を見た時になぜか「これしか選択肢はない、世に出てほしい」という使命感を感じ、それに突き動かされるように、さし草での商売を始めたと言います。
「今考えたら無茶でしたよね。雑草で4人の子どもを育てるなんて(笑)」と、明るく笑います。

2012年の7月、さし草屋をオープン。
未経験ながら、さし草の畑も作りました。しかし一般的には「雑草」と認識され、除草剤で駆除される存在のさし草。周りの農家などから嫌がられることもあったそうです。
周囲から寄せられるクレームに謝罪しながら山を切り開き、さし木にしたり、種や根の実験を重ねたりしながら育てていきました。
「あるとき畑を2〜3ヶ月放置していたら、さし草が他の草を淘汰したんです。見事なさし草畑になりました。さし草は生命力があって繁殖力があって栄養があって、作らなくてもどこにでもある、とんでもない植物だと改めて分かったんです。農業の可能性も感じました」。

そこからさらに、喜美江さんの追い風となったのが、専門機関によるさし草の栄養分析でした。
「栄養分析って40万円近くかかるんです。私は当時まだ4人の子どもを育てていて、お金の余裕がなく無理だと思っていましたが、『今あなたに必要なのは栄養分析でしょ?』とお金を貸してくれる方が現れて。本当に助けられましたね。私は本当に幸運でした」。

それまでは企業にも全く相手にされなかった野草、さし草。栄養分析をしたあと風向きが変わり、色んな企業からお声がかかるようになりました。
さらに、寒天ゼリーという「入口商品」を開発。テレビにも取り上げられ、一気に認知が広がります。
「もし最初からお茶や粉だけだったら、ここまで来れなかったと思います。寒天ゼリーは突破口でした」
多くの協力も得て、沖縄のさし草のカフェのパイオニアとして大活躍中の喜美江さん。そのパワフルな人生の秘訣・人生の開き方をもう少し深堀りしたく、インタビューを続けてみました。

喜美江さんは、自身も小学5年生の頃に交通事故でお父様を亡くされています。悲しみと失意の中、兄弟7人で母を支え、豆腐作りをしてどうにか生計を立ててきたと言います。
「まさにどん底から這い上がってきました。実家のこの場所で、私は木工所のまきを使った窯で豆腐やおからを作っていましたし、釜洗いもしました。豚小屋もあって鶏もいて、卵や豆腐を売ったり、サトウキビも作っていました」。

そういった環境で、小さい頃から何でも「買う」のではなく、身近に「ある」ものから生み出すことを身につけました。それが、さし草を商売にできた私の原点です、と話す喜美江さん。
「父は哀しい亡くなり方をしてしまいましたが、40年も廃墟みたいだったこの場所がカフェになって、たくさんの人が来てくれて。ここに来てくれた人がさし草で『命救われた』、『人生変わった』と言ってくれて。あぁ、父の死は無駄にならなかったなと、今ようやく感じています」。
父がいたから。木工所があったから。どん底から這い上がってきた今の私がいます、と喜美江さんは力強く話してくれました。

ほぼ水や肥料を与えなくても栽培でき、どこにでも勝手に生えてくるというさし草の生命力。
「私が使っているつもりで、逆に元気をもらっています。この店が14年続いたのも、さし草のおかげですね」
そして喜美江さんは笑います。
「人間の方が、まだこの植物の力に追いついていないと思います」

もともと「カフェ」という空間が好きだという喜美江さん。実際に県内のさまざまなカフェを利用しているそうです。
そんな中で、ご自身のお店は「皆さんに『初体験』を提供するカフェです」と話します。
「お客様はお店に来ると、『さし草って食べられるの?』『さし草って厄介よね〜』という会話から始まります(笑)。小さなカフェなので、お客様との距離が近く、話しかけられやすいのがいいですね。私も話しかけやすいですし、見知らぬお客様同士が仲良くなって話し始めて、いつの間にかつながっていって。そんな風景を見るとうれしいですね」と微笑みます。

お客様の層は圧倒的に地元の方が多く、たまに観光客の姿も。遠くから来店してくれるお客様が多いと話します。
小さな工房のように見える外観と、落ち着いたカフェの雰囲気のギャップも魅力の一つ。
お店の奥には15名ほどで利用可能なカフェスペースがあり、個室として1時間500円で利用することも可能です。

お店の名前「joy工房」の小文字の「j」は、上の点がさし草の自然の恵み、勾玉を表しています。また「joy」は、喜美江さんのお名前にある「喜ぶ」という意味も含めました。
「みんなで喜びを分かち合えたら、人生も仕事も楽しいでしょう?どうせなら、面白いほうがいいじゃない(笑)」
喜美江さんはさし草が心底大好き。そのさし草の魅力や効用を知ってもらいたくて、カフェや料理教室や講演会、メディア出演など幅広く活躍されています。
さし草は、まだ可能性の途中

店内の商品棚を見ると、さし草を使った茶葉、食品、スイーツ、化粧品などの商品が約30種類。
「さし草屋」はランチ、スイーツ、コーヒータイム、お土産商品購入のみなど、いろんな用途で訪れることができるのが大きな特徴です。

南城市大里にドライブに寄った際には、素朴ながらエネルギーにあふれるさし草屋に寄ってみませんか?
さし草は沖縄のどこにでも生えていますが、県民も食べたことがない人がいるほどニッチで、さまざまな魅力を秘めた生命力のあるパワフルな植物。
ローカルな大里エリアで濃すぎる沖縄の魅力「さし草」に触れて、驚愕して、笑って楽しんでいると、まだまだ沖縄の魅力は「ある」ことが分かります。「いつだって目の前に答えが落ちている」とさし草が教えてくれているよう。
そして今日も、誰かが雑草と呼ばれていた植物に出会い、少しだけ人生を変えて帰っていきます。
沖縄リピーターや沖縄ファン、沖縄を味わいつくした人ほど、ぜひおすすめのお店です。
〔基本情報〕さし草屋「joy工房&茶屋」
住所/沖縄県島尻郡南城市大里仲間937(仲間交差点からすぐ)
電話/098-988-1209
営業/10時~18時
定休日/土曜
駐車場/6台
その他/禁煙、子供大歓迎、ランチ、ドリンクのみいつでもOK、禁煙。
※個室(レンタルルーム)有り<1H500円/約15席>
https://sashikusaya.com
https://www.instagram.com/joy34938

この記事を書いた人小鍋 悠Keyword:



















