図書館司書の資格を持っているライターの吉田です。今回は宮崎県都城市にある都城市立図書館を訪れました。都城市立図書館はショッピングモールをリノベーションした建物。本好きな筆者は取材が決まってからワクワクしていました。

大空間を活かした壁のない館内。最新で利用しやすいシステム。誰でも訪れたい、まさにショッピングモールのような図書館となりました。今回は、他にはない5つの特徴を案内します。 

特徴その1 柔らかな光が差し込む吹き抜けのホール

館内に入った瞬間「おお！」と思わず声が出ました。吹き抜けの館内は明るくて見通しがよく近代的。一方でノスタルジックさもあり、落ち着けます。オペラホールのような円形の館内は二階の本棚まで見渡せるほど奥行きがあり、映画館のスクリーンで観たハリーポッターのワンシーンのようで、素敵な図書館！

この広いホールを活かして、講演会やワークショップも行われるそうです。そのため完全な静寂ではないものの、本をめくる音や子供達の声、足音までもが心地よいBGMとなりそう。

特徴その2 制作環境が充実

続いて筆者が気がついたのは、制服を着ているスタッフがいないこと。皆さん肩からお揃いのカバンを下げています。

副館長の前田さんにお話を伺うと、「図書館のスタッフといえばエプロンのイメージでしたが、私服とカバン（サコッシュ）にしました。カバンのプリントはティーンズスタジオの中にあるファッションラボで作りました」とのこと。

ティーンズスタジオとは10代優先の利用スペースで、スタジオ内にTシャツやカバンのプリントを制作できるファッションラボがあります。若者のアイデアを表現できる場所とも言えるでしょう。

都城市立図書館では知ることと表現、つまり制作することを一体として支援しており、他にもプレススタジオにはオリジナルの小冊子を作成できる簡易自動製本機があります。

特徴その3 最新のさくいん方法で気になる本がすぐに見つかる！

さらに館内を巡っていると、多数のスタンプが並ぶ柱を見つけました。

都城市立図書館はインデックスさくいんというシステムを取り入れており、気になるワードのQRコードを読み取ることで本が検索できます。

知りたいワードのスタンプをノートやメモ用紙に押して、スマートフォンや館内にあるタブレット端末「大事なものメモリー」で読み取ることができます。自分の気になる言葉で書籍を探せるので、自分のリストをまとめることも可能です。これなら調べ物をスッキリ整理できますね。

特徴その4 特定の用途に特化したスペース

それぞれの利用者が快適に利用できるように、このような場所もありました。

静かな部屋は音を立ててはいけず、パソコンや電卓の使用も禁止のスペース。周りの音を全く気にせずに本が読めます。勉強や本に集中したい時におすすめ。

対面朗読・録音スタジオ。目の不自由な方に向けて図書や雑種などの対面朗読、音訳ボランティアによる録音図書制作などを行なっています。

他にも飲食可のお弁当コーナーや子どもが紙コップを積んだりスタンプを押したりして遊べるこどものにわ、リビングのようにくつろげる席など、用途に合わせて訪ねたいスペースが満載です。

筆者お気に入りの場所は、170タイトルの雑誌が壁一面に並ぶマガジンウォール。雑誌のバックナンバーも同じ場所に配置されているので、探しやすく、今まで気にかけなかったジャンルの雑誌にも出会えます。 

さて、ここまであっという間に半日が過ぎ、発見と驚きの図書館を探検しているような時間でした。

この辺で小休憩をとることに。普通の図書館だったら自販機でコーヒーを買うくらいしかできないですよね。でも都城市立図書館にはカフェがあるんです！

特徴その5 地元生産者の加工商品が並ぶカフェ

1階にあるMall Market（市庭）というカフェには、地元選りすぐりの食材を扱う市庭のように、都城・都城近隣の特産品が集まります。この日は都城市内の農家さん手作りの焼き菓子が販売されていました。メニューにも地元の食材が使われてます。平日ながら満席で、ビジネスマンにも人気。店内は弾むような話し声が響いていました。静寂な図書館から少し離れたひとときです。

地図黒板には、都城市と図書館周辺の街について書かれてます。眺めていると、寄りたい場所や興味を引く情報が発見できるかも。

木の展示台にも様々な企画の情報や資料が並びます。地域の情報や多くの人に共有した方がいい情報は随時更新されるので、チェックしてほしい場所です。

 

図書館という役割に留まらない都城市立図書館では、ショッピングモールのように一日中楽しむことができます。年代や用途に合わせた利用が可能で、ひとりでも、家族でも、充実した時間を過ごせます。筆者もコーヒータイムの後、また館内をぐるりと歩いて図書館散策を楽しみました。多くの方が読書を楽しめるように様々な部屋が用意され、展示の本やインテリアも魅力的なのでウインドウショッピングのようにも楽しめます。

利用カードの登録は「日本国内に住居されている方で、本人確認書類をお持ちの方」となっています。県外からの出張や旅行でも利用できるのは嬉しいですね。

［基本情報］都城市立図書館
宮崎県都城市中町16-15
0986-22-0239
開館時間：9:00~21:00
定休日：なし
駐車場：あり（無料）