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伝統

2020.09.17

博多から1時間弱。わざわざ行く価値ありの現役木造芝居小屋「嘉穂(かほ)劇場」

博多から1時間弱。わざわざ行く価値のある現役の木造芝居小屋「嘉穂(かほ)劇場」

レトロ建築が大好きなライター勝です。

博多から電車で40分ほどの町、飯塚にわざわざ足を延ばす価値のある、とてもレトロな芝居小屋があると聞いて行ってみました。

大正10年に建てられた前身「中座」から現在に至るまでの再建の歴史

嘉穂劇場

飯塚は、かつて「筑豊炭田」で栄えた国内最大の炭鉱の町。

テレビもラジオもない時代、芝居は炭鉱で働く人々の最高のエンターテインメントでした。当時は町中に芝居小屋が50軒以上もあったそうです。

その中で唯一、現存しながら今も現役で使われている貴重な存在なのが「嘉穂劇場」です。

嘉穂劇場

嘉穂劇場の建物は、もともと大阪の道頓堀にあった「中座」を模した3階建ての劇場として大正10年(1921年)に建てられました。名前もあやかって「中座」としたそうです。

こけら落としの公演には六代目尾上菊五郎が出演するなど、大変に賑わったとの記録があります。その後、歌舞伎をはじめとして演劇・歌などの様々な公演が行われてきました。

嘉穂劇場

しかし、昭和3年に漏電による火事で中座は全焼。その後すぐに再建されましたが、1年もたたないうちに今度は台風で倒壊という悲劇にみまわれます。

それを、地元の伊藤隆(いとう たかし)氏が並々ならぬ苦労の末、規模を2階に縮小して昭和6年に再建し、それが現在の嘉穂劇場となりました。

しかしこの建物も平成15年の台風で1.8mの高さまで水に浸かり、大変な被害を受けました。そこからたくさんのファンの募金や災害の助成金等で復旧し、現在に至ります。

このような数々の災害を乗り越え、嘉穂劇場を愛する人達によって再建され保存されてきた歴史的価値が、今では魅力のひとつとなっています。

舞台の裏も見学可能!大人気の見学コース

博多から1時間弱。わざわざ行く価値のある現役の木造芝居小屋「嘉穂(かほ)劇場」

嘉穂劇場は、江戸時代の劇場の様式を継承する入母屋(いりもや)造り。1200名を収容可能な大きさなのに木造でいまだ現役、と聞いただけでもびっくりします。

木造の芝居小屋としてはもちろん国内最大級。国の登録有形文化財および近代化産業遺産に指定されている、世界的にも珍しい建物です。

現在でも、演劇・コンサート・落語・ダンス・さらにはサーカスなど、さまざまなイベントがここ嘉穂劇場で行なわれています。出演している有名人も多数。

エグゼクティブマネージャーの伊藤 真奈美(いとう まなみ)さん

エグゼクティブマネージャーの伊藤 真奈美(いとう まなみ)さんによると、公演やリハーサルが無い日は劇場内部を自由に見学可能

「順路」という矢印や、ポイントごとに説明用のパネルが置いてあるので、それらを利用しながら内部を巡ることができます。詳しいスタッフの方がいるときは、質問するといろいろ答えてもらえます。写真撮影も自由にしていいそうです。

今は外国人の見学者はほとんどいないそうですが、コロナ騒動以前は外国人もたくさん訪れ、特にフランス人の旅行客に劇場見学はとても人気があったそうです。

嘉穂劇場舞台

舞台中央には直径16メートルの廻り舞台、東西2本の花道などを備え、中央に升席、左右に差桟敷席。そして2階の席からも舞台を見下ろせる造りになっています。

椅子ではなく、畳に色とりどりの座布団を敷いて座って鑑賞するのが、何とも情緒がありますね。

桟敷席

左右の壁沿いにある桟敷席(さじきせき)。ゆったりくつろいで観られるので、この桟敷席が最も良い席となります。

売店

売店には、嘉穂劇場ならではのグッズが並びます。

舞台の袖

舞台の袖に回ると、ずらりと並んだ綱。緞帳や照明などの装置は、バトン(棒)に吊ってあり、こちらの綱を人力で昇降させて動かします。

舞台の裏から、奈落に降りてみます

舞台の裏から、奈落に降りてみます。「奈落の底」という言葉がありますが、奈落の底に降りたのは初めて!

廻り舞台を人力で回すための棒

階段を降りると目の前にあるのは、廻り舞台の地下の部分。

廻り舞台を人力で回すための棒が12箇所についていて、12人で棒を押して回す仕組みになっています。

このような木製の廻り舞台は、通常は4~5人で回すものが多いそうです。ここは12人で回すというところからも、いかに大きい廻り舞台かがわかりますね。

廻り舞台のほかに、役者を舞台に登場させたりするための昇降装置「迫り(せり)」も見ることができます。

花道の真下

こちらは、花道の真下。こちらにも花道に上がる「迫り」があります。

見学順路案内

見学は、人数が多い場合は予約が必須。少人数の場合も予約した方が良いようですが、現地に着いてからスタッフに声をかければ対応してくれるそうです。

もしも劇場が閉まっている場合は、お問合せ用の番号「0948-22-0266」に電話してみてください。

コロナウィルス感染症対策でアーティストを支援

夢舞台プラン

現在は、アーティストを支援するために、無観客でのオンラインイベントを撮影して配信や収録するパッケージ「夢舞台プラン」を期間限定で破格で実施しています。(2020年9月現在。実施期間についてはお問合せください)

コロナウィルス感染症予防対策

コロナウィルス感染症予防対策としては、劇場全体の換気を頻繁に行い、消毒用のアルコールを随所に設置しています。

出演者は出演時以外はマスクを着用し、入場者には入り口でのマスク着用と検温、名簿への記入、劇場内では密を避ける行動をお願いしているそうです。

熱・咳がある方、体調不良の方の入場はご遠慮くださるよう、ご協力をお願いいたします。

 

[基本情報]嘉穂劇場
住所:福岡県飯塚市飯塚5-23
TEL:0948-22-0266
開館時間:9:00~17:00
見学定休日 水曜日、年末年始、公演日
見学料金:大人300円 小学生100円(公演日などは見学不可)
アクセス:JR「飯塚駅」から徒歩約15分(タクシーで5分)
駐車場:普通車50台 大型バス2台(有料)
URL:http://kahogekijyo.com/

 

勝朝子
この記事を書いた人勝 朝子
東京出身。2012年から奄美大島と神奈川県湘南エリアとの二拠点居住。 奄美の自然・文化・人が大好きな私には、島は日々発見の宝庫!隅々まで探索中です! このライターの記事一覧

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