観光
2020.02.14
島全体が農園のような「喜界島」で、ここにしかないものを見に行こう!
奄美大島の北東に位置する喜界島は、隆起サンゴ礁で出来た島。琉球石灰岩と呼ばれるアルカリ性の地質で構成されています。そのため喜界島は、毒蛇のハブがいないだけでなく、島特有の自然がもたらす恵みが沢山あふれています。
そんな喜界島で、期間限定の風物詩や、島の農業を有機栽培(オーガニック)で盛り上げる人々、そして珍しい在来馬を訪ねてきました。
目 次
喜界島でしか見られない!期間限定の「セサミストリート」
喜界島の海沿いの道路を車で走っていると、堤防沿いに薄い布が敷いてあり、その上に枯れた草のようなものがずらりと立てかけられていました。
「何だろう?」と近づいてみると、なんとゴマの束!
実は喜界島は国内の白ごまの最大生産地。
国内で販売される白ごまの99.9%は輸入品、残り0.1%が国産。 その国産白ごまの6割が喜界島産なのです。
喜界島ではサトウキビを栽培していない時期に、ゴマを栽培しているそうです。
7月から10月ごろの収穫時期になると、収穫したゴマを束ね穂を上にして立て、鞘が茶色になるまで10日ほど乾燥させます。島じゅうあちこちの道沿いに天日干しする様子がこの時期の喜界島の風物詩。通称「セサミストリート」と呼ばれる、この時期、この島でしか見られない風景です。
立てかけてあるゴマをよく見ると、鞘の中に白いゴマが綺麗に並んでいます。
喜界島産の白ごまは、島に古くから伝わる在来種。
輸入品の白ごまより粒が小さく、香りが強くて濃厚。一口食べただけで口の中に広がる香りが全然違います。手間暇かけて生産しているので輸入品より値段も高いですが、この香りの違いはぜひ体験してみてください。
喜界島産の食材にこだわった「ゆいカフェ」
お腹が空いたら、喜界島ならではの食材を使ったランチを。
空港から車で10分ほど。農産物加工センター内に喜界島産にこだわったお料理を提供している「ゆいカフェ」があります。
この日頼んだのは「島ミカンのクリームパスタ」(単品 780円+税)。ゆずのような香りが爽やかでおいしい一品でした。
このほか、「ゆいカフェ」にはトーストやケーキ、アイスクリームなど、それぞれが喜界島で採れた野菜や果物などを使った島ならではのオリジナルメニューがあります。ドリンクとのセットメニューもあるので、ランチや休憩などゆっくり楽しむことができます。
カフェ併設のお土産ショップでは、ゴマや豆、黒糖の加工品など喜界島ならではのお土産がたくさん。有機栽培のものもたくさんあるので、パッケージにもこだわったおしゃれで体によいお土産をゲットできます。
[基本情報] ゆいカフェ
住所:鹿児島県大島郡喜界町湾1298 喜界町農産物加工センター内
TEL:0997-65-0958
営業時間:9:30 ~ 17:00(平日)
10:00 ~ 16:00(土・日・祝)
定休日:年末年始
Free Wi-Fiあり
https://www.facebook.com/kikaijimayuicafe/
「南国の貴婦人」と呼ばれる優雅な蝶を観察
農産物加工センター内には、喜界島の保護蝶であり日本最大級の蝶「オオゴマダラ」の観察施設もあります。
「南国の貴婦人」と呼ばれるオオゴマダラは、時期によっては島のあちこちで見られたりします。
他所で見ることができなくても、ここに来れば必ずオオゴマダラを近くで見ることができるので、おすすめです。
有機栽培で盛り上がる、安心・安全でおいしい喜界島の黒糖や野菜
ゆいカフェや併設のお土産屋さんなどにも、喜界島で有機栽培されたものを使ったお土産品が多くありました。
喜界島は農業が非常に盛んです。その秘密は隆起サンゴ礁による平らでミネラル豊富な土壌に、温暖な気候と塩分を含んだ潮風。そして日照時間が長い南の太陽なのだそうです。
こうした恵まれた条件により、ビタミンやミネラルなどの栄養が豊富で、とてもおいしい野菜やサトウキビが育ちます。
そこで、喜界島で有機栽培を行なっている農家を訪ねてみました。
喜界島で有機農家を営む杉俣 絋二朗(すぎまた こうじろう)さんは、喜界島の黒糖を食べておいしさに感動し、安心・安全でおいしい黒糖をたくさんの人に伝えたいと思って有機農業を始めたそう。
今はサトウキビや白ゴマを有機栽培し、製品として出荷しています。杉俣さんの黒糖は日本で初めて有機JAS認定を受けました。
杉俣さんのように有機農業を始める人が喜界島では増えてきているそうで「喜界島にもっと多くの有機栽培農家を増やして、島全体を『オーガニックアイランド』にしていきたい」という農家が集まり、オーガニックアイランド喜界島というNPOも立ち上げて活動していると伺いました。
おいしい黒糖や野菜・フルーツのたくさんある喜界島。これからますますおいしくて安全なものが増えるのが楽しみですね。
大人気の写真映えスポット!サトウキビの一本道
さて、サトウキビ畑の中を車を走らせると、島の中ほどに、およそ2.5kmのひたすらまっすぐな道が続いています。
周りは見渡す限りのサトウキビ畑、まっすぐ行くと東シナ海。
なのでこの道は「シュガーロード」、またの名を「東シナ海へと続く道」とも呼ばれているそうです。
ここは写真撮影の人気ポイント!
みんなジャンプするのが恒例のよう。タイミングよく飛ぶと、宙に浮いているように写真が撮れます。
私が行った日は、ちょうどカップルがウェディングフォトの撮影をしていました。ウェディングフォトの撮影ポイントとしても人気だそうです。
稀少な喜界馬が見られる「グローリー牧場」
サトウキビ畑の一本道の北端から少し行くと、喜界島唯一の牧場「グローリー牧場」があります。
この牧場は観光施設ではありませんが、道路からなら自由に見学することができます(無料)。
ここには、喜界島から鹿児島までの間に点在するトカラ列島の一部、中之島で育った喜界馬(トカラ馬)のグラッシー(メス)がいます。
喜界馬とは、もともと喜界島に生息していた暑さに強いポニー種の小型の馬。ところが喜界島では絶滅してしまい、その後トカラ列島で農耕馬として利用されて続けてきたのだそうです。
日本原種の在来馬の1種と言われる稀少な馬で、鹿児島県の天然記念物にも指定されています。
私が見に行くと、グラッシーは柵の近くまで来て、草を食べていました。大事に育てられてきたので人懐っこく、とてもかわいいですよ。
喜界馬のほかに牛たちも放牧されていて、どこまでも続く緑豊かな牧場の風景は、奄美群島のなかでもここにしかない風景です。
「ここにしかない風景」と「おいしい島の恵み」が盛りだくさんの喜界島。奄美空港から飛行機で5分と気軽に行けてしまうので、一度足を延ばしてみてはいかがでしょう?
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