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2020.01.17

超速で隆起した珊瑚礁の島!鹿児島の「喜界島」を観光して地球のパワーを感じよう

鹿児島 喜界島 観光

奄美大島の北東約25kmに位置する喜界島。奄美空港から飛行時間たったの5分で行けて、空港東側にその姿を見ることができます。

島は一周が約48.6kmで、最高地点でも海抜211mと、ほぼ平坦。1時間半ほどあれば車で一周できます。

喜界島はコンパクトながら、古代から中世にかけての遺跡が多数見つかっています。平安時代に平清盛討伐を企てて失敗し、流刑になった俊寛が流されたのが喜界島という説も。また、第二次世界大戦中は日本軍の基地が置かれており、考古学的にも歴史学的にも注目されています。

鹿児島 喜界島 観光

喜界島は約10万年前から珊瑚礁が何度か隆起を繰り返して誕生。過去約10万年間で211m(年平均2mm)という隆起スピードは世界で3本の指に入ります。

その極めて速い隆起速度により、非常に珍しい平坦なサンゴ礁段丘を形成しているそう。その最高地点にまずは行ってみます。

喜界島の最高地点!七島鼻(しちとうばな)

鹿児島 喜界島 観光

空港から車で30分。百之台(ひゃくのだい)と呼ばれる台地の頂上にある、この芝生の広場が七島鼻です。喜界島の最高地点(211.96m)で、「ポイント211」とも呼ばれています。

七島鼻は、第二次世界大戦中に日本軍の電波探知(レーダー)基地として、重要な役目を担っていた場所で、今でも基地跡があります。

この広場は現在、パラグライダーの離陸場として利用されています。最高地点といっても広くて平らなので、まさにパラグライダーに最適。助走をつけて飛び立ちたくなります。

珊瑚の石垣が圧巻!阿伝(あでぃん)集落

鹿児島 喜界島 観光

七島鼻から東の海岸沿いに降り、北に向かうと、阿伝集落が見えてきます。

喜界島では台風に備えて珊瑚の石垣で家を囲っていました。それが非常によくわかるのが太平洋側にある阿伝集落。家によって新旧様々、積み方もいろいろですが、集落中の家の垣根がすべて珊瑚で作られていて圧巻です。

珊瑚礁が隆起してできた島であることを実感しますね。

鹿児島 喜界島 観光

隣の奄美大島では、石垣の隙間にはハブが住み着くと言われ、危ないので石垣の間をコンクリートで埋めたり、石垣を取り払ったりするところもちらほら。しかし喜界島にはハブがいないため、昔ながらの珊瑚の石垣が今も多く残っています。

なぜここに?巨大な珊瑚の岩から大木が生えている末吉神社

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619号線沿いに車を走らせると、神社の鳥居を頻繁に見かけます。それもそのはず。なんと喜界島には神社が51社もあります。島の広さを考えるとかなり多く、それだけ島民の信仰心が厚かったのでしょう。

阿伝集落から少し北には末吉神社があります。ここの境内には、びっくりするほど大きな珊瑚の岩がありました。

周りは平らなのに、なぜここにぽつんとこんな大きな珊瑚の岩があるのでしょう。そしてもっと不思議なことに、その岩から大木が生えているのです!

実はこの神社には「据石伝説」という話が伝えられています。
海で拾った神聖な神石を、そうと気づかず石垣に使っていたら、良くないことが続いたので、末吉神社に祀ったという伝説です。

この大きな岩が伝説の神石か?と言われているそう。いかにも伝説になりそうな岩ですね。

天然記念物「巨大ソテツ」

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阿伝の北、嘉鈍(かどん)には、樹齢約300年と推測されている喜界町指定の天然記念物「巨大ソテツ」があります。
数本のソテツに見えますが、よく見るとこれで一本の木。

南国の植物は成長が早そうですが、ソテツは1m伸びるのに40年もかかるといわれるほど成長が遅いことで有名。なので、1本の株でこれだけ大きいのはかなり珍しいようです。

一つ注意。道路から標識は出ているものの、その先の標識がわかりづらく私はかなり迷いました。できれば、地元の人に聞いて行くのがおすすめです。

天然記念物「巨大なガジュマル」と日本最大級の蝶

鹿児島 喜界島 観光

徳之島にも巨大なガジュマルがありましたが、喜界島の南端に近い手久津久(てくづく)にも巨大なガジュマルがあります。

喜界島の巨大ガジュマルは、畑の中の雑木林の一角に生えていて、枝幅42m、幹回り16m。喜界町の天然記念物に指定されています。
樹齢100年を超えると言われていて、島一番のパワースポット。木の左下に立つ人と比べてみると、その巨大さがよくわかります。

鹿児島 喜界島 観光

この日、ガジュマルの下の茂みには、喜界島の保護蝶であり日本最大級の蝶「オオゴマダラ」がいました。
羽を広げると15㎝ほどにもなります。動きがゆっくりであまり逃げないので非常に優雅。「南国の貴婦人」と呼ばれています。さなぎは自然のものとは思えないほど、金色に輝くのだそう!

珊瑚礁研究の“聖地”に立つ「喜界島サンゴ礁科学研究所」

鹿児島 喜界島 観光

喜界島の東部、石垣の阿伝集落から北に車で15分ほど。塩道(しおみち)という海沿いの集落に「喜界島サンゴ礁科学研究所」があります。

廃校になった早町小学校を利用して2015年に設立され、国内外のサンゴ礁の研究がおこなわれています。喜界島の化石サンゴ礁からは過去10万年の気候変動なども研究しているそうです。

研究所内には展示室があり、喜界島の隆起サンゴ礁の化石や周辺の海に広がるサンゴ礁などの展示がされています。また、熱帯・亜熱帯のサンゴ礁環境を再現したミニ水族館も併設。

研究活動のほかに、全国の小中高校生を対象にサイエンスキャンプなどを開催して教育活動にも力を入れています。

鹿児島 喜界島 観光

喜界島サンゴ礁科学研究所の普及部門で広報とデザインを担当されている安田 暢子さん(写真前列一番右)に、お話を聞きました。

「喜界島は世界中の珊瑚礁研究の研究者から“聖地”と呼ばれています。10万年前から現在までの珊瑚の化石が、陸地で観察できる非常に珍しい島なのです。」

喜界島はサンゴ礁が海から陸に上がってできた奇跡の島だそうです。

地殻変動により海底が隆起し、浅場となったところにサンゴが住みつき、サンゴ礁を形成したのが喜界島の始まり。その後、さらに隆起して海の中にあったサンゴ礁が島になりました。

それから10万年間、隆起するたびに島の周りにサンゴ礁が広がりまた隆起する、というのを繰り返して現在の形になったのだとか。

喜界島ほどサンゴ礁研究に恵まれた場所はないそう。喜界島がそんな聖地だったとは!

 鹿児島 喜界島 観光

校門だった入り口から入ると、正面に大きなガジュマル。ウッドデッキを利用したオープンカフェの「サンゴCAFE」が何とも気持ちよい空間でした。ガジュマルにはハンモックがかかっていて、訪れた人にも人気です。

カフェは、地元の人・研究関係者・旅人が交わる場にしたいとの思いで始めたそうです。

土・日・月の11:00-16:00のみの営業ですが、ランチやスイーツ、ドリンクを気持ちの良い風を感じながら頂くことができ、最近人気のスポットとなっています。

鹿児島 喜界島 観光

カフェの奥にあるのはミニ水族館。綺麗な珊瑚と熱帯魚の水槽が展示され、かわいらしいお土産などが並んでいます。

この水族館は入場無料。自由に座って時間を過ごすことができます。

ミニ水族館の横には宿泊できるホステル「サンゴロッジ」が2019年7月にオープン。宿泊客は閉館後もミニ水族館をラウンジのように自由に使うことができます。ニモがまるでペットのよう。熱帯魚好きにはたまらないですね。

 

のどかでありながら地球のパワーを感じる喜界島。

訪れた方はきっとゆっくりとリラックスしながら、人や自然から活力をもらえるでしょう。

  [基本情報]
喜界島サンゴ礁科学研究所
住所:鹿児島県大島郡喜界町大字塩道1508
TEL:0997-66-0200
営業時間:11:00 ~ 16:00
定休日:年末年始・ほかに臨時休日あり
駐車場:あり
https://kikaireefs.org/

サンゴCAFE
営業時間:土日月曜日 11:00 ~ 16:00
https://www.instagram.com/sangocafe/

サンゴロッジ(宿泊)
https://www.airbnb.jp/rooms/38734190?s=67&shared_item_type=1&virality_entry_point=1&sharer_id=296215788

勝朝子
この記事を書いた人勝 朝子
東京出身。2012年から奄美大島と神奈川県湘南エリアとの二拠点居住。 奄美の自然・文化・人が大好きな私には、島は日々発見の宝庫!隅々まで探索中です! このライターの記事一覧

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