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食事

2021.06.07

【沖縄の古民家を訪ねて】ひなたぼっこしながら家庭料理を味わう浜比嘉島の「古民家食堂 てぃーらぶい」

うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

目に映った瞬間に歴史を感じ、中に入るとどこか懐かしく、ほっと落ち着けるのが古民家。日本全国各地に多数あり、その土地ならではの家屋作りの工夫で、時を経た現在も人々の暮らしに根付いています。

沖縄県内にも多くあり、現在は飲食施設として新たな魅力を放つ古民家も。ぜひ訪ねてほしい古民家の飲食店を、一軒ずつ探しながら紹介していきます。

3回目の今回は、昔ながらの沖縄の暮らしがイメージできる、うるま市・浜比嘉島の「古民家食堂 てぃーらぶい」を紹介します。

【沖縄の古民家を訪ねて】過去のシリーズはこちら▼

築90年の古民家 浜比嘉島で日常の沖縄の暮らしを再現

うるま市 海中道路 浜比嘉島

うるま市の海中道路を走ると見えてくる浜比嘉島は、神聖な雰囲気がありパワースポットとして注目を集めている島。

そんな浜比嘉島の集落になじみつつ、存在感を放っているのが「古民家食堂 てぃーらぶい」です。

うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

「てぃーらぶい」とは沖縄の言葉で「ひなたぼっこ」という意味。那覇の中心をはじめとした市街地にいると想像できないくらい、静かでゆったりとしている島時間。

その中でひなたぼっこをするようにほのぼのと過ごすことができるこの食堂は、築90年を数える古民家が店舗になっています。

店内 内観 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

のどかさを感じる庭を抜け店内に入ると目につくのが、壁に貼られている子どもが描いた絵や「古民家食堂 てぃーらぶい」と書かれた命名札など。それらを見ていると、身近な人の家におじゃましてごはんを食べているような気分になります。

「非日常ではなく、日常感にこだわっています」と語るのはオーナーの中山直樹さん。その言葉通りに沖縄の日常を再現。

さらに言うと「沖縄のお家あるある」がしっかりと再現されていて、ほっとひと息つける空間として人気があることに納得。なんと秋篠宮殿下がいらっしゃったこともあるそうですよ。

島の風情や生活感のあるエピソードがつまった店内

外観 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

元々は観光業に就いていたという中山さんですが、訪れた浜比嘉島の風景にほれ込み2011年にこのお店をオープン。

「うるま市出身ですが、近くにこんなに良い古民家があったのをゆっくりと歩いて初めて知りました。観光客が訪ねたいと思える沖縄の風景だと、すぐにイメージできたんです」と中山さん。自らの足で理想の古民家を探し、たどり着いたのが現在の家屋だったとのことです。

内観 店内 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

リニューアルに4カ月半かけた内装にもたくさんのこだわりが。壁を極力なくすことで差し込む優しい日差しからは、惜しみない島の風情を感じます。

トートーメー 仏壇 店内 内観 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

驚いたのが、トートーメー(仏壇)が最近まで実際に使われていたこと。沖縄の年中行事である清明祭(シーミー)や旧盆などには家主の家族や親戚が集まるので、休店日にしていたのだそう。

ボンボン時計 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

また趣を感じるのが、中山さんが友人に贈られたという振り子付きのボンボン時計。実はぜんまいがなく動かない状態が続いていたそうですが、トートーメーを片付けていた時にぜんまいを発見。無事に動かせるようになったそうです。生活感のあるエピソードが本当にたくさんあるようです。

「島のお母ちゃんのおうち料理」島の家庭料理をメニューに

2021年の7月、「てぃーらぶい」は10周年を迎えます。オープン当初の心境として中山さんが教えてくれたのは「自分ひとりではできない」という思いが強かったこと。地元住民の協力が必要だと考え、オープン前に料理コンテストを開催したそうです。

「地元の方19人が、27種類の家庭料理を出品してくださいました。ご自身の台所で料理を作ってもらうので、応募者の自宅に出向いて採点したんです。ポイントは普段家庭で食べている料理であることで、上位3品をメニュー化しました」。

メニュー 沖縄そば うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

ということでこの食堂のコンセプトは「島のお母ちゃんのおうち料理」。

地元の方の協力で考案されたメニューを半年ごとに変え、<昔ながらのオバァのそば>を提供する「沖縄そば」の期間(6月〜11月)と、<沖縄の2大汁料理>を紹介する「汁もの(ソーキ・中身)」の期間(12月〜5月)に分けています。

沖縄そばのメニューは「てぃーらぶいの沖縄そば膳」で1650円(税込み)。「県民が愛してやまない中身すば」、「塩味付けソーキの入ったソーキすば」、「しょう油付けソーキの入ったソーキすば」という3つの中から選び、小鉢2品と甘味1品が付くセットになります。

てぃーらぶいの沖縄そば膳 県民が愛してやまない中身すば うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

この日は迷わず「県民が愛してやまない中身すば」を注文しました。

中身とは豚モツのことで、苦手な方や、他店で食べた中身汁の印象から遠慮したいと思う方がいるかもしれません。ですがこのお店の中身は違うと断言。食べやすくてくさみもなく、太めの麺とやさしいスープとの相性でおいしくいただけるんです。

うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

小鉢はまず「大根とモズクのさっぱり和え」。ヘルシーで口直しにもなります。

そして「ジーマミ豆腐」。ジーマーミとはピーナッツのことで、冷たくしてタレをかけていただくのが一般的ですが、ここでは素揚げにしたジーマミ豆腐が出てきます。沖縄県民もビックリのおいしさだと言えるでしょう。2個あるので1個は素揚げの味わいを楽しみ、2個目はそば出汁にひたして食べるのがオススメですよ。

甘味の「紅イモのナーントゥ(沖縄の蒸もち)」はきれいな紫色に目を引かれます。上品な甘さとモチモチ感を最後に味わい、おいしい御膳をいただいたと満足感いっぱいになりました。

てぃーらぶい汁膳 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

汁メニューの「てぃーらぶい汁膳」は1370円(税込)。「県民が愛してやまない中身汁」か「骨付き豚あばら肉のソーキ汁」どちらかを選び、ごはんも「もずく入りジューシー」もしくは「もずくの佃煮のせごはん」を選びます。

デザート うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

食事の他にデザートもあり、メニューをよく見ると「でじゃーと」と書かれています。沖縄のオジー・オバーがデザートと口にする時の言い方を文字にしてみたそう。

さらにぜんざいが「じぇんざい」と書かれていたり、4コマ漫画や文字で沖縄の暮らしが伝わる笑い話や会話が書かれていたり、思わず笑いがこぼれてしまうユニークなメニュー表です。

里帰り気分を大切に

店内 内観 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

メニューから遊び心を感じ、料理や空間からはおもてなしの真心が伝わってくる中で、中山さんは「中身汁やソーキ汁という昔ながらの沖縄の家庭料理に新たな可能性を感じていますし、沖縄そばは丁寧に作ることを心がけています。膳としてセットメニューで提供していますので、小鉢の内容などバランスの取れた食事になるよう常に考えているんです」と言います。

素晴らしいロケーションはもちろん、こだわり抜いたおいしい料理がお店の人気を裏付けています。

店内 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

来客は通常、県外のお客さまが多めだったそうですが、沖縄県民からは「懐かしい。今度オジーとオバー連れて来ようね」と言われることもあるのだとか。

昔ながらの石垣に小道、フクギなどの沖縄らしい木や花に囲まれたこの古民家食堂を訪ねると、沖縄出身の私たちでも「今もこういう風景が残っていて、実際に来ることができるんだ」と何とも表現できない思いがこみ上げてきます。

外観 うるま市 古民家 食堂 てぃーらぶい ランチ 浜比嘉島

最後に中山さんから「開店して9年過ぎましたが、まだまだこれからという気持ちでいます。お客さまのうれしそうな顔を見た時に、お店のコンセプトは間違っていなかった事が確認できます。気軽に足を運んでいただける食堂でありたいですし、ぜひお越しください」とメッセージ。

他の場所にはない、その土地ならではの資源を活かしたすてきな空間。古民家体験はもちろんのこと、島の風情とおいしい料理を求め、里帰りする感覚で訪ねてみてはいかがですか。

【沖縄の古民家を訪ねて】過去のシリーズはこちら▼

[基本情報]古民家食堂てぃーらぶい
住所:沖縄県うるま市勝連浜56
電話:098-977-7688
営業時間:11:00~15:45
定休日:火曜日、水曜日
駐車場:あり

※諸事情による臨時休業などは、「てぃーらぶい」公式サイト・公式インスタグラムにてお知らせしています。
https://www.t-love-e.com
Instagram @t_love_e_hamahiga

●執筆協力:Shotaro
●撮影・編集:饒波貴子

nohatakako
この記事を書いた人饒波 貴子
那覇市出身・在住。OL生活、週刊レキオ編集室勤務を経て、フリーライターに。現在は沖縄のエンターテインメントおよび店舗紹介を中心に取材・執筆。ウェブマガジン「琉球新報Style」、雑誌「porte」ほかで執筆中。 このライターの記事一覧

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